某勇者パーティに最も大事にするべき仲間について語ってみた件

ふくまめ

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ふ、増えたー!

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「…それで?なぜあなたが直接来ることになるんです。
 ご説明いただけますか?」
「説明も何も、あの時言った通りですよ。
 中途半端な人間に任せるわけにはいかない、自分で言い始めたからには自分で動く。これに尽きます。」
「…本当に?」

お城での会議の翌日。
本当にカイル王子はすずらんへとやって来ていた。
両親に事情を説明したら、ひっくり返りそうになっていた。
そりゃ何度もお城に呼び出されてるって思ってたら、今度は王子が来るなんて言ったら、ねぇ。

「俺たちも、不思議には思っていますよ。お城だったら、優秀な人なんていくらでもいそうじゃないですか。
 何でわざわざ王子様が?」
「この件に関しては、優秀なだけでは任せられないんですよ。
 何せ、城の人間のほとんどはあなた方に引っ込んでいてほしいと考えている人間ばかりですから。」
「…監査って言うのは、そういった感情が入らねぇようにするもんじゃないのかね。」
「本来であればそうですが、城の人間はそんな綺麗事を気にしたりしませんよ。」

お偉いさん方にそう感じるときは正直あるけど、お城側の人間がそう言っていいものなのかしら。

「端的に言えば、あなた方がどんなに頑張ろうとも、その結果を歪めて報告される可能性が高いということですね。
 ですが、私が来たからには安心です!
 あなた方の活躍を、余すところなく、報告しますので!」
「全く安心できないんですが。」

それ絶対あなたも情報歪めて報告しますよね?ただ歪める方向が違うだけですよね?
ともかく、正確にお伝えしてもらわないと、今は良くても後々に揉めることは必至。
正々堂々、私たちの活動がどれだけ役に立っているかを知っていただかないと!

「まずは、私たちの活動を大まかに知っていただこうかと思います。
 始めに寄せられた相談依頼書を集めて―――」

今日一日、王子には基本的に私についてもらって活動の流れを説明しながら活動することになった。
他の3人の動きは特に変りないけれど、それぞれお店でも働きながら活動しているから、
見えないところでの活動も説明していく。
…なかなかに疲れるわ。普段の何倍も働いた気分。
でも一日中王子と一緒にいたせいか、良くも悪くも緊張はしなくなって気持ち的には楽になったわ。
感覚がマヒしたとも言うわね。

「…一通り、こんなものでしょうか。今日は特に緊急の依頼はありませんでしたし。
 何か確認したいことはありますか?」
「ふむ…。本当に4人だけで活動しているのですね。」
「えぇ。人を雇おうにも、依頼を解決しても報酬を決めていないので、賃金を用意することが難しくて…。
 正式な雇用として募集することはできないんですよ。」
「なるほど。しかし実際問題、4人での活動には限界がありますよね?」
「そうですね…。正直私たちの話が広がれば広がるほど、難易度の高い依頼も寄せられるようになって。
 お断りさせていただく依頼も増えている状況です。
 もちろん、無責任に突き放すわけではなく、
 代案を提案させていただくなどできる限りのお手伝いはさせていただいています。」

そう。私たちはまさに師匠が言っていた状況にぶつかっていた。
どんなに依頼が寄せられても、私たちの手に余る依頼がやってくる。
こちらの力不足で困っている人を助けられないのはとても悔しいけど、無茶をすることもできない…。
私は最近、すずらんの執務室の一角でこの件について頭を悩ませていた。

「現実的な問題として、人手不足は否めないというわけですね。
 城の対応も褒められたものではありませんが、人員が足りなければ最終的にああなる可能性が高いです。
 丁寧な対応を心掛けるうえでも、十分な人手は不可欠です。」
「それは分かっているのですが…。」
「ここで思い切って、報酬に関しても請求するようにしたらいかがです?」
「困っている人はたくさんいても、お金を支払えるような人はそう多くありませんよ。」
「報酬の内容に関しても要相談、とすればいかかですか?
 正直、依頼内容に難易度の違いがあるならば、報酬額もそれに即したものとするべきですからね。」

まぁそうかもしれないけど…。
報酬を支払うことになってまで、私たちのところに依頼を持ち込んでくれる人がいるかしら?
依頼のそもそもの数が減ったら、元も子もないと思うのよね。

「現状依頼を断ることになっても、手ぶらで帰すわけではないので何とかなっていますが、
 このまま依頼を断る数が増え続ければ、遅かれ早かれ評判が落ち込んで依頼は寄せられなくなってくるでしょう。
 それこそ身動きが取れなくなってしまいます。」

…一理ある。毎回断られるようなところにわざわざ相談事を持ち込む人はいないわよね。
ましてや悩み事は他人に話しにくいって人も多い。
折角相談するなら、しっかり依頼を受けてくれるところに持ち込みたいと思うのは当然のこと。

「まぁ行く行くは国からも委託料、のような形で国が費用をお支払いすることになるとは思いますが…。
 現状そのようなことを考えるような段階にないわけですから。
 自力で何とかする方法を考えておくに越したことはありません。」
「そうですよねぇ…。」
「ともかく、そういった相談をしていくためにも人手は増やさなくてはなりませんね。
 と、いうわけで…。聞いてましたね、アル。」
「はい!兄様!」

バーン!と執務室の窓を開け放って知らない男の人が身を乗り出していた。
いや誰!!??

「紹介します。彼はアルバート。
 私のいとこにあたる人間で、今回の外部委託の件も関心を持っているとのことで、ついてきたんですよ。」
「アルバートです!兄様がお世話になると聞いて、いてもたってもいられなくて…。
 僕もこちらで勉強させていただきたいのです!」
「はい?」
「アルには、今回の監査に参加してもらおうかと思っているのですよ。」

勝手に決めないでくださいよ!でも私たちに拒否権はないんですよね、知ってます!
もう1人監査に参加することになった、しかも高貴な身の上の人だということを両親に説明したら、
今度こそ本当に2人ともひっくり返ってしまっていた。
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