平和の狂気

ふくまめ

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愛してる⑦

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「おらガキンチョ!この状況で何でそんな判断すんだ!」
「ガキンチョじゃない、僕はルイズ!」
「口答えすんなガキンチョ!もー一回だ!…こんな状況で、仕入れ先にするんだったらどっちの店から商品買うんだ?」
「えっと…こっちの店。」
「そうだ。んじゃ売りに出すんだったらどうすんだ?」
「…こっち…?にこの値段で…。」
「だーから違うっつってんだろ。こいつは金もあって余裕があるわけだ。こっちに売るんだったらもっと値を吊り上げ…。」
「おい、何教えてんだ。」

身の上話を一通りしたのち、エリザは私、ルイズはロランさんという形で勉強会を開催していた。
ちなみにエリザとルイズはニコとサンゴの本名だそうだ。あの男に拾われ、父親を亡くしてから完全に偽名で呼ばれるようになったらしい。理由は聞かされなかったようだが、これは彼らの個性を壊すような行為、腹立たしいことをするものだ。
ギャーギャーと言い合いながらも、ロランさんはこれから生きていく上で、商品の売買について知っておいて損はないだろう、とルイズにノウハウを教え込んでいる。女の子であったならともかく、子供に教えるなんてのは意外だったな。心配なのかギルさんもそばについているが、取引相手によって商品の値段を操作する術を伝授しようとしているロランさんに少し引き気味である。
一方私はというと…。

「…お姉さん、この植物は?」
「あぁ、これは…腹痛に効くの。ただ、摘み取ってそのままにしておくとすぐに鮮度が落ちて効果も出なくなってしまうから。保存方法も一緒に教えるね。」
「はい!」

私が教えられること、植物の選別や保存方法、活用手段なんかをエリザに説明している。私たちに接触してきたのも、一応とはいえ薬草の販売だったわけだったし。正確な知識がなかっただけで手先も器用だし、なかなか見込みはありそうだ。

「だーから!なんでそこで引き下がるんだよ、もっと攻めろ!」
「これ以上値段上げて買ってもらえなくなったらどうすんだよ!」
「そうならないように今こうして匙加減を教えてんだろが!」
「そんなことより身を守る方法を習得した方がいいと思う。」
「黙ってろ脳筋!お前の言う身を守る方法ってさっさと相手を制圧する方法だろうが!できるかんなもん!!」
「第一僕今ケガしてるんだけど…。」
「…ダメか。」

何やら危うい雰囲気も感じるが、まぁ何とかなるだろう。二人ともケガを治すことは優先してほしいし、腕っぷしを磨くよりも知識や技術を身に着ける方が、先々身を助けることになると私は思っている。
…ギルさんの言い分も、分からなくはないんだけども。いかんせんその、何かとパワーで解決しようとするというか…うん、それはちょっと。

「…だが、俺たちもそう長くここにいられるのか?」
「エリザちゃんの話じゃ、兵士連中が見回ってくるのが不定期、かつそう多くはないらしいからなぁ。それ次第ってとこだな。まぁ来たところでそこまで真剣に仕事している連中かどうかも怪しいぜ。」
「…そうだといいんですが。」
「そんな時こそギル君の出番でしょうが、な!」
「あぁ、任せろ。」
「…お兄さん、どうしてそんなに強いの?」
「…必要だったからな。」
「え?」
「おらガキンチョ、まだ基本の部分も終わってねぇぞ。集中しろ!」
「あ、う、うん。」

私たちは幸運なことに、この後数日間兵士たちに出くわすことなく、勉強と治療に専念することができた。二人は若く、自身の治癒能力も高かったことから完治までもう少しのところまでこぎつけていた。勉強の面でも、私たちが教えていることが今後自分たちの役に立つものであることを理解したのか、非常に真面目に取り組んでくれて優秀だった。もう少し進んだ内容を教えられるようになるかもしれない。
そう思っていたある日、エリザとルイズが息を切らせて駆け込んできたのだった。

「お姉さん、お兄さん!」
「あらエリザ、そんなに慌てて。まだ無茶な動きは…。」
「兵士の人たちが!」
「何?」
「今朝早くにここに来たんだって。誰か探してるみたいだったって、みんなその話題で持ちきりだよ!」
「…来たか。どうする?さっさとずらかるか。」
「無駄に争う必要はないからな。」

ギルさんにも戦いを避けるという考えがあってよかった。
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