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身の危険④
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「あはは、ごめんごめん!」
「もー、検査着に着替えてってちゃんと言ってよ!紛らわしい言い方しないで。」
「そうだね、確かに!いやー女性に対して配慮が足りなかったです、すみません。」
「いや、まぁ、いいけど…。」
突如服を脱ぐように、なんて何事かと思えば…。なんてことはない、検査しやすい服装になれということだったようだ。そりゃそうだ。スーツのまま検査なんてしないだろうし。いやはや、子供の言うことに取り乱したりなんて、大人としてみっともない。恥ずかしさから内心ため気を吐きつつ、案内された小部屋で渡された検査着に腕を通す。ボタンやチャックのない薄い水色をした、病院を彷彿とさせる服。金具がついたものは身に着けないように、とのことだったので下着も外す。健康診断の時もこの少しの不安感というか、落ち着かない感じは苦手だ。脱いだスーツをサッとたたみ、部屋を後にする。
「お待たせしました。」
「うんうん、似合ってるよ!」
「あ、ありがとう…?」
「それ褒めてんのか?」
「もちろんだよ、なんかこう守ってあげたいというか助けてあげたくなるような格好だよね。さ、まずはこっちの機械から!」
ナイン君の独特な感性に苦笑いで返しつつ、さっそく検査が始まった。少し不安に思っていたが、ナイン君は医療に詳しくない私にも分かりやすいように、それぞれの検査の前に内容と何を調べるものなのかを説明を挟んでくれた。やればできるんじゃない、これなら安心そう。
「…いやー、ユキさんはなかなかいける口だね!」
「いやいやそれほどでも!」
「…はぁ。」
検査をいくつかこなしていくうちに気がついたことがある。それは、ここが検査機器のある研究室であろうともあのナインの自宅の一部であるということだ。程よい高さの機械の上には何かのフィギュアが飾られているし、机の隅には読みかけであろうマンガが置いてある。極め付きは…。
「まさか二十年くらい前の戦隊もののテーマソングを知っているとは思わなかったなぁ。」
「ちょっと、年代がバレちゃうじゃないの!ボカしてボカして!」
「あ、ごめんごめん。」
十分ほどじっとしていなければならない機械に寝かされた時、暇だろうからとナインが曲でもかけるよと提案してくれたのだ。検査機器に音楽を流せるようなスピーカーが内蔵されていることにまず驚いたのだが、それ以上に選べる曲の多さに驚きが隠せなかった。定番であるクラシックはもちろん、ジャズ、ポップス、果てには演歌まで。選び放題の曲の中でつい反応してしまったのは、自身が子供の頃に見ていた戦隊もののテーマソング。某日曜日の朝早くに放送しているあれだ。あの時間帯は一応男児向けと女児向けの番組を放送していると思うのだが、私は断然男児向けの方が好きなタイプの子供だった。もちろん女児向けの方も見てはいたのだが、派手な戦闘シーンがかっこいいと、子供心に釘付けになっていたものだ。
そんなこともあって、耳に刻み込まれた曲が流れた瞬間に懐かしい!とつい反応してしまったのだ。それにナインが食いついて、あの作品良かったよね、仲間たちとの関係性が再確認できるエピソードが、あの俳優さんはやっぱり売れたよね、と談義が深まってすっかり意気投合してしまったというわけ。いやー同士よ!
「他にもいろんな曲があったんだけど…テンション上がっちゃって検査に支障が出ても困るしね。」
「えへへ、面目ない。」
「結局選んだのバラードだったね。何か理由が?」
「ううん、特にないよ。曲調が落ちついてた方が検査的にいいのかと思って。」
「なーんだぁ。失恋ソングだったから何かあるのかと思ったのに。」
「…あはは。あ、それよりもさ、あそこに置いてあるのってボトルシップってやつ?私実物って初めて見るんだけど。」
「あれに気が付くとはお目が高い!紹介するよ!」
失恋ソングを選んだことに他意はない。本当だ。でも、あまり長話をしていたい話題でもなかったので、ナインの後ろに置かれているボトルシップに話を返る。それはナインのお気に入りだったようで、話題を変えたことは何とも思われなかったようだ。ボトルシップを見るのが初めてなのは本当なので、ナインの説明に素直に耳を傾ける。
「僕もボトルシップを集めてるわけじゃないから、詳しいわけじゃないんだ。でもね、この中にある船が重要なんだよ!」
「中の船?…これって海に浮かんでる普通の船じゃないやつ、かな?」
「え!分かるの!?」
ナインの表情が驚きながらも嬉しそうなものへと変わる。分かる、というか…。この船に似たような見た目の物はたくさんあるのかもしれないが、少なくとも私が思い浮かぶのは某宇宙へと旅立った船だ。アニメ自体は世代じゃないし、見たことはないが、伝説的な作品だから存在は知っている。…なんだか急にナインに親近感を持ち始めている自分がいる。そう思うと嬉しくなってきてまた作品談議に花を咲かせようとしたら、話が終わるのを待っていたらしい郡司さんがついにしびれを切らして、二人して怒られてしまった。…検査のことすっかり忘れてた。
「もー、検査着に着替えてってちゃんと言ってよ!紛らわしい言い方しないで。」
「そうだね、確かに!いやー女性に対して配慮が足りなかったです、すみません。」
「いや、まぁ、いいけど…。」
突如服を脱ぐように、なんて何事かと思えば…。なんてことはない、検査しやすい服装になれということだったようだ。そりゃそうだ。スーツのまま検査なんてしないだろうし。いやはや、子供の言うことに取り乱したりなんて、大人としてみっともない。恥ずかしさから内心ため気を吐きつつ、案内された小部屋で渡された検査着に腕を通す。ボタンやチャックのない薄い水色をした、病院を彷彿とさせる服。金具がついたものは身に着けないように、とのことだったので下着も外す。健康診断の時もこの少しの不安感というか、落ち着かない感じは苦手だ。脱いだスーツをサッとたたみ、部屋を後にする。
「お待たせしました。」
「うんうん、似合ってるよ!」
「あ、ありがとう…?」
「それ褒めてんのか?」
「もちろんだよ、なんかこう守ってあげたいというか助けてあげたくなるような格好だよね。さ、まずはこっちの機械から!」
ナイン君の独特な感性に苦笑いで返しつつ、さっそく検査が始まった。少し不安に思っていたが、ナイン君は医療に詳しくない私にも分かりやすいように、それぞれの検査の前に内容と何を調べるものなのかを説明を挟んでくれた。やればできるんじゃない、これなら安心そう。
「…いやー、ユキさんはなかなかいける口だね!」
「いやいやそれほどでも!」
「…はぁ。」
検査をいくつかこなしていくうちに気がついたことがある。それは、ここが検査機器のある研究室であろうともあのナインの自宅の一部であるということだ。程よい高さの機械の上には何かのフィギュアが飾られているし、机の隅には読みかけであろうマンガが置いてある。極め付きは…。
「まさか二十年くらい前の戦隊もののテーマソングを知っているとは思わなかったなぁ。」
「ちょっと、年代がバレちゃうじゃないの!ボカしてボカして!」
「あ、ごめんごめん。」
十分ほどじっとしていなければならない機械に寝かされた時、暇だろうからとナインが曲でもかけるよと提案してくれたのだ。検査機器に音楽を流せるようなスピーカーが内蔵されていることにまず驚いたのだが、それ以上に選べる曲の多さに驚きが隠せなかった。定番であるクラシックはもちろん、ジャズ、ポップス、果てには演歌まで。選び放題の曲の中でつい反応してしまったのは、自身が子供の頃に見ていた戦隊もののテーマソング。某日曜日の朝早くに放送しているあれだ。あの時間帯は一応男児向けと女児向けの番組を放送していると思うのだが、私は断然男児向けの方が好きなタイプの子供だった。もちろん女児向けの方も見てはいたのだが、派手な戦闘シーンがかっこいいと、子供心に釘付けになっていたものだ。
そんなこともあって、耳に刻み込まれた曲が流れた瞬間に懐かしい!とつい反応してしまったのだ。それにナインが食いついて、あの作品良かったよね、仲間たちとの関係性が再確認できるエピソードが、あの俳優さんはやっぱり売れたよね、と談義が深まってすっかり意気投合してしまったというわけ。いやー同士よ!
「他にもいろんな曲があったんだけど…テンション上がっちゃって検査に支障が出ても困るしね。」
「えへへ、面目ない。」
「結局選んだのバラードだったね。何か理由が?」
「ううん、特にないよ。曲調が落ちついてた方が検査的にいいのかと思って。」
「なーんだぁ。失恋ソングだったから何かあるのかと思ったのに。」
「…あはは。あ、それよりもさ、あそこに置いてあるのってボトルシップってやつ?私実物って初めて見るんだけど。」
「あれに気が付くとはお目が高い!紹介するよ!」
失恋ソングを選んだことに他意はない。本当だ。でも、あまり長話をしていたい話題でもなかったので、ナインの後ろに置かれているボトルシップに話を返る。それはナインのお気に入りだったようで、話題を変えたことは何とも思われなかったようだ。ボトルシップを見るのが初めてなのは本当なので、ナインの説明に素直に耳を傾ける。
「僕もボトルシップを集めてるわけじゃないから、詳しいわけじゃないんだ。でもね、この中にある船が重要なんだよ!」
「中の船?…これって海に浮かんでる普通の船じゃないやつ、かな?」
「え!分かるの!?」
ナインの表情が驚きながらも嬉しそうなものへと変わる。分かる、というか…。この船に似たような見た目の物はたくさんあるのかもしれないが、少なくとも私が思い浮かぶのは某宇宙へと旅立った船だ。アニメ自体は世代じゃないし、見たことはないが、伝説的な作品だから存在は知っている。…なんだか急にナインに親近感を持ち始めている自分がいる。そう思うと嬉しくなってきてまた作品談議に花を咲かせようとしたら、話が終わるのを待っていたらしい郡司さんがついにしびれを切らして、二人して怒られてしまった。…検査のことすっかり忘れてた。
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