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第四章 百鬼夜行
捕食される草食動物のような気分になる②
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「じゃあ、さっきの狐の話をしようか。生まれながらに霊力の高い狐はね、妖狐になるんだって。そして三百歳になる年に人間の魂を喰らうと、今度は白狐になれる。稲荷神の眷属さ」
淡々と話す尾崎の低い声に引き込まれ、続きを催促するように紗良は頷いて見せた。
「昔々あるところに、病弱な女の子がいてね。年の頃はキミと同じくらいかな。その子はいつも床に伏せていたらしいよ。外にも行けなかったからね、庭に毎日遊びに来る子狐だけが唯一の友達だった」
「子狐?」
「そう、まだ妖狐ですらない、普通の狐」
尾崎はそう言ってにっこり笑った後、「だけどね」と続ける。
「ある時、三百歳を迎える妖狐が彼女を見つけ、魂を食べようと狙いを定めた。霊力も高く、何よりも死期が近いのが良かった。どうせ死ぬ子の魂なら、食べても良心はさほど痛まないと思ったんだろうね。妖狐は人のふりをして彼女に近づいた。彼女は警戒することなく妖狐を受け入れ、自分の知らない外の世界の話を『もっと聞かせて』と目を輝かせてせがむんだ。いつしか妖狐も、彼女の元へ通うのが楽しみになっていた」
紗良の反応を伺うように、尾崎はそこで言葉を区切った。電車が大きくカーブして、尾崎の濡羽色の髪が揺れる。紗良は眠る前に絵本を読み聞かせて貰っているような感覚で、思ったまま疑問を口にした。
「何ですぐに食べなかったんですか? 仲良くなったら、余計食べにくいのに」
淡々と話す尾崎の低い声に引き込まれ、続きを催促するように紗良は頷いて見せた。
「昔々あるところに、病弱な女の子がいてね。年の頃はキミと同じくらいかな。その子はいつも床に伏せていたらしいよ。外にも行けなかったからね、庭に毎日遊びに来る子狐だけが唯一の友達だった」
「子狐?」
「そう、まだ妖狐ですらない、普通の狐」
尾崎はそう言ってにっこり笑った後、「だけどね」と続ける。
「ある時、三百歳を迎える妖狐が彼女を見つけ、魂を食べようと狙いを定めた。霊力も高く、何よりも死期が近いのが良かった。どうせ死ぬ子の魂なら、食べても良心はさほど痛まないと思ったんだろうね。妖狐は人のふりをして彼女に近づいた。彼女は警戒することなく妖狐を受け入れ、自分の知らない外の世界の話を『もっと聞かせて』と目を輝かせてせがむんだ。いつしか妖狐も、彼女の元へ通うのが楽しみになっていた」
紗良の反応を伺うように、尾崎はそこで言葉を区切った。電車が大きくカーブして、尾崎の濡羽色の髪が揺れる。紗良は眠る前に絵本を読み聞かせて貰っているような感覚で、思ったまま疑問を口にした。
「何ですぐに食べなかったんですか? 仲良くなったら、余計食べにくいのに」
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