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第一章 波乱と契約婚の花嫁生活幕開け
辺境伯ブルク家ご令嬢(1)
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「いい感じだわ」
私は満足して額の汗を拭った。
キッチンの窓から空が見える。空はとても晴れていて、開け放った窓から新鮮な空気が部屋に入ってくる。手縫いのカーテンから気持ちの良い風が吹き込んできた。
ここからは発酵にスキルを使う。少しだけ発酵タイムを置けばすぐにパンチ、分割、丸めができるだろう。時短術だ。
その間に私はそっと母の様子を見にいった。母は寝室のベッドでぐっすり眠っているようだ。
自分のための小さな部屋に入り、身支度を整えた。第一聖女は私のことを『褐色の肌に薔薇色の頬』と褒めてくれた。地味で冴えない私でも、笑顔になるとエクボができる。せめて自分が心地よければ、美醜を超えて他人を心地よくさせることができると私は信じている。
そうでもしないと、大好きな人の隣に平気なふりをして立っていることはできない。
こざっぱりとした身なりだが、国が認めた聖女として最低限の身なりを保つよう気をつけたつもりだ。このドレスは少しずつお金を貯めて買い揃えたもので、王国の世継ぎのスティーブン王子と行動を共にするときはこの数枚のドレスを着まわして大切に着ていた。
ドレスの上に全てをおおうエプロンを身につけた。これは第一聖女にもらったもので、わざわざ彼女は数枚私にも仕立ててプレゼントしてくれた。美しいとも言えるエプロンだ。
ドレスが汚れてしまうことを気にしてはいられないほどの極限状態や、着飾ってなどいられない場面に、しばしば聖女は遭遇する。そのためにこういったエプロンを持ち歩いている。
キッチンに戻った。分割して丸めるとまたスキルを使ってベンチタイムを短縮した。形を整えて、もう一度発酵スキルを使ってパン生地を素早く発酵させる。
そして、家のすぐ裏庭にあるパン焼きがまに火を起こして、形を整えたパン生地を慣れた手つきで並べた。焼くのにもスキルを発動した。
間もなくパンが美味しく焼き上がるだろう。そうすると、すぐに近所の子供達がやってくるだろう。子供達にパンを無償で分けてあげるのも私のいつもの習慣だ。ここまでくると気分はすっかり上がってきていて、晴れ上がった空と同じくらいに私の気分はぐっと回復していた。
母のために大麦粥をお皿によそって、お茶を用意した。寝室の隅に置いた小さなテーブルに運んだ。あとでパンも一緒に食べてもらおう。根菜のスープも昨晩作ったのが残っているので、もう一度鍋を温めて、スープ皿によそって運んでおいた。
――これでよしっと。
その時だ。
コンコンと玄関の扉が誰かに遠慮がちにノックされた。私は小窓からそっと外を覗き、玄関口に貴族令嬢がやってきているのに気づいた。ため息が出た。
嫌な客ではないが、断るべき依頼を持ち込む客だろうと思った。
「ああ、フランソワーズ、ちょっといいかしら?」
私が玄関を開けると、貴族令嬢の彼女は遠慮がちに私を見つめて言った。自宅まで彼女が押しかけてきたのは初めてだ。あちこちに広大な領地を所有するブルク家当主の娘である。18歳のゾフィー令嬢だ。
ブロンドの髪が美しくカールをしていて、天使のような愛らしい青い瞳を持つ令嬢だ。唇は小さく、全てにおいて小さく愛らしくまとまっていて、有名画家に描かせた彼女の絵は大評判になったと聞く。
実物も素晴らしい。
強大な力を持つ辺境伯のご令嬢がこんなところに押しかけてくるなんて、私にとっては良い話ではないはずだ。都に構えているあの豪華な別邸から馬車で訪ねてきたのだろうと私は思った。
――何の用かしら?
外では話しずらい依頼だと推測して、私は仕方なく家に彼女を入れた。
「突然、押しかけてきてごめんなさい。あなた今一人なのかしら?」
ゾフィー令嬢は私の家の中を面食らったように見つめて、そっと私に聞いてきた。あまりに質素な家に驚いたのだろう。国から手当をもらっている正式な聖女なのに、手当のほとんどを借金取りに法外な利子をつけて巻き上げられている私の事情は、大金持ちの彼女は知らないことだ。貧しい調度の家に彼女が驚いても仕方がない。
――こんなにみすぼらしい家で恥ずかしいけれど……仕方ないわ。
窓の外を見ると豪華な馬車が待たせてある。侍女二人が馬車の外に立っていてこちらを見つめていた。
「病気の母が奥の寝室で寝ていますが、他には私だけですわ」
私は最低限の礼儀正しさを込めて答えた。
「そうなの。あなたにお願いがあるの。極秘のお願いよ。その……媚薬が欲しいの」
ゾフィー令嬢は顔を赤らめて小さな声で私に言った。彼女は緊張していて、恥ずかしいお願いをしているという自覚があるようだ。唇を噛み締めていて緊張していた。
――媚薬……?
私は想像すらしていなかった言葉に戸惑った。
「どなたに媚薬を使われたいのですか?恋人でしょうか?」
「その……私が恋をしているのは、王位継承権第一位のスティーブン王子なの」
……みんなスティーブン王子に恋焦がれているのね。
私の頭に崖の上で泣き崩れている彼の姿がよぎった。彼が第一聖女に心底惚れてしまっていて、今でも苦しんでいるのは私と彼の間だけの秘密だ。第一聖女は若くして彼の婚約者となりながら、彼をフッて、つい最近隣国の王妃となったお方だ。
残念だが、王子であらせられる彼の視界には第一聖女しか今も映らない。フラれて、第一聖女の幸せを願いつつ、彼女に心を奪われたままでもがき苦しんでいる彼の状況からすると、ゾフィー令嬢には全く勝ち目がないだろう。
いくら恋をしても無駄な相手なのが今のスティーブン王子だ。
「スティーブン王子様ですね」
私はうなずいた。王子の状況から、今の彼はやめておいた方が良いという言葉が出そうになったが、私は黙った。
「そうなの!私は家柄としても彼と釣り合うと思うの。でも、肝心の彼は私の方をさっぱり振り向いてくださらなくて……」
ゾフィー令嬢の最後の方の言葉は消えいるようだった。恋に悩む貴族令嬢が、最後に聖女の作る薬に頼りたくなる気持ちも分からなくはない。
でも、私の頭の中にあるのは、彼が地面に膝をついて泣き崩れている、泥が顔につきながらも美しい顔で大粒の涙をこぼして声を殺して泣き続けている姿だ。
――あの方に媚薬を使うの?自分を振り向かない人を、無理やり自分のモノにするために?
「私は媚薬が作れないのです……本当にごめんなさい。私にはあまりスキルがないのです」
私は嫌悪感を隠して丁寧に断ろうとした。
「……お礼ならいくらでも払いますわっ!ほら……謝礼に新しい家と土地をご用意しますわ。それに第一聖女が隣国の王妃になった今は、あなたが第一聖女でしょう?」
ゾフィー令嬢は食い下がってきた。彼女も必死だ。気持ちはわからなくもない。でも、二番手は所詮二番手なのだ。一番手がいなくなったからと言って、一番手の聖女と同じスキルが発動できるようになるわけではない。彼女と私の間には決定的なスキルの差が存在した。地味で冴えない私に比べて、彼女は才能溢れるだけでなく、美しく輝くような、人々を幸せにできる女神のような容姿と心を持っていた。私は全面的に第一聖女に憧れていた。しかし、現実には彼女と私では雲泥の差がある。見た目の印象だけでなく、実力の面で。
私は頭を振った。断りの仕草だ。
「そんな……気休めの薬でもいいから作ってくださりませんか。王子がほんの少し私を振り返ってくださるだけでもいいのです。このままでは、私は死んでしまいたい」
ゾフィー令嬢は泣き出しながら私にすがった。床に崩れ落ちて泣いている。ピンクの丸い頬を涙がつたい、唇が震えている。青い瞳は私に助けを求めて、後から後から涙が溢れてきていた。
死んでしまいたいなんて、滅多に口にしてはならない言葉だ。
私は言霊を信じているので、すぐさま周囲を確認した。妙な影は認められないが、この美しく愛らしい令嬢を暗い影に引き摺り込みたいと願う悪い精霊はいるだろう。
私は満足して額の汗を拭った。
キッチンの窓から空が見える。空はとても晴れていて、開け放った窓から新鮮な空気が部屋に入ってくる。手縫いのカーテンから気持ちの良い風が吹き込んできた。
ここからは発酵にスキルを使う。少しだけ発酵タイムを置けばすぐにパンチ、分割、丸めができるだろう。時短術だ。
その間に私はそっと母の様子を見にいった。母は寝室のベッドでぐっすり眠っているようだ。
自分のための小さな部屋に入り、身支度を整えた。第一聖女は私のことを『褐色の肌に薔薇色の頬』と褒めてくれた。地味で冴えない私でも、笑顔になるとエクボができる。せめて自分が心地よければ、美醜を超えて他人を心地よくさせることができると私は信じている。
そうでもしないと、大好きな人の隣に平気なふりをして立っていることはできない。
こざっぱりとした身なりだが、国が認めた聖女として最低限の身なりを保つよう気をつけたつもりだ。このドレスは少しずつお金を貯めて買い揃えたもので、王国の世継ぎのスティーブン王子と行動を共にするときはこの数枚のドレスを着まわして大切に着ていた。
ドレスの上に全てをおおうエプロンを身につけた。これは第一聖女にもらったもので、わざわざ彼女は数枚私にも仕立ててプレゼントしてくれた。美しいとも言えるエプロンだ。
ドレスが汚れてしまうことを気にしてはいられないほどの極限状態や、着飾ってなどいられない場面に、しばしば聖女は遭遇する。そのためにこういったエプロンを持ち歩いている。
キッチンに戻った。分割して丸めるとまたスキルを使ってベンチタイムを短縮した。形を整えて、もう一度発酵スキルを使ってパン生地を素早く発酵させる。
そして、家のすぐ裏庭にあるパン焼きがまに火を起こして、形を整えたパン生地を慣れた手つきで並べた。焼くのにもスキルを発動した。
間もなくパンが美味しく焼き上がるだろう。そうすると、すぐに近所の子供達がやってくるだろう。子供達にパンを無償で分けてあげるのも私のいつもの習慣だ。ここまでくると気分はすっかり上がってきていて、晴れ上がった空と同じくらいに私の気分はぐっと回復していた。
母のために大麦粥をお皿によそって、お茶を用意した。寝室の隅に置いた小さなテーブルに運んだ。あとでパンも一緒に食べてもらおう。根菜のスープも昨晩作ったのが残っているので、もう一度鍋を温めて、スープ皿によそって運んでおいた。
――これでよしっと。
その時だ。
コンコンと玄関の扉が誰かに遠慮がちにノックされた。私は小窓からそっと外を覗き、玄関口に貴族令嬢がやってきているのに気づいた。ため息が出た。
嫌な客ではないが、断るべき依頼を持ち込む客だろうと思った。
「ああ、フランソワーズ、ちょっといいかしら?」
私が玄関を開けると、貴族令嬢の彼女は遠慮がちに私を見つめて言った。自宅まで彼女が押しかけてきたのは初めてだ。あちこちに広大な領地を所有するブルク家当主の娘である。18歳のゾフィー令嬢だ。
ブロンドの髪が美しくカールをしていて、天使のような愛らしい青い瞳を持つ令嬢だ。唇は小さく、全てにおいて小さく愛らしくまとまっていて、有名画家に描かせた彼女の絵は大評判になったと聞く。
実物も素晴らしい。
強大な力を持つ辺境伯のご令嬢がこんなところに押しかけてくるなんて、私にとっては良い話ではないはずだ。都に構えているあの豪華な別邸から馬車で訪ねてきたのだろうと私は思った。
――何の用かしら?
外では話しずらい依頼だと推測して、私は仕方なく家に彼女を入れた。
「突然、押しかけてきてごめんなさい。あなた今一人なのかしら?」
ゾフィー令嬢は私の家の中を面食らったように見つめて、そっと私に聞いてきた。あまりに質素な家に驚いたのだろう。国から手当をもらっている正式な聖女なのに、手当のほとんどを借金取りに法外な利子をつけて巻き上げられている私の事情は、大金持ちの彼女は知らないことだ。貧しい調度の家に彼女が驚いても仕方がない。
――こんなにみすぼらしい家で恥ずかしいけれど……仕方ないわ。
窓の外を見ると豪華な馬車が待たせてある。侍女二人が馬車の外に立っていてこちらを見つめていた。
「病気の母が奥の寝室で寝ていますが、他には私だけですわ」
私は最低限の礼儀正しさを込めて答えた。
「そうなの。あなたにお願いがあるの。極秘のお願いよ。その……媚薬が欲しいの」
ゾフィー令嬢は顔を赤らめて小さな声で私に言った。彼女は緊張していて、恥ずかしいお願いをしているという自覚があるようだ。唇を噛み締めていて緊張していた。
――媚薬……?
私は想像すらしていなかった言葉に戸惑った。
「どなたに媚薬を使われたいのですか?恋人でしょうか?」
「その……私が恋をしているのは、王位継承権第一位のスティーブン王子なの」
……みんなスティーブン王子に恋焦がれているのね。
私の頭に崖の上で泣き崩れている彼の姿がよぎった。彼が第一聖女に心底惚れてしまっていて、今でも苦しんでいるのは私と彼の間だけの秘密だ。第一聖女は若くして彼の婚約者となりながら、彼をフッて、つい最近隣国の王妃となったお方だ。
残念だが、王子であらせられる彼の視界には第一聖女しか今も映らない。フラれて、第一聖女の幸せを願いつつ、彼女に心を奪われたままでもがき苦しんでいる彼の状況からすると、ゾフィー令嬢には全く勝ち目がないだろう。
いくら恋をしても無駄な相手なのが今のスティーブン王子だ。
「スティーブン王子様ですね」
私はうなずいた。王子の状況から、今の彼はやめておいた方が良いという言葉が出そうになったが、私は黙った。
「そうなの!私は家柄としても彼と釣り合うと思うの。でも、肝心の彼は私の方をさっぱり振り向いてくださらなくて……」
ゾフィー令嬢の最後の方の言葉は消えいるようだった。恋に悩む貴族令嬢が、最後に聖女の作る薬に頼りたくなる気持ちも分からなくはない。
でも、私の頭の中にあるのは、彼が地面に膝をついて泣き崩れている、泥が顔につきながらも美しい顔で大粒の涙をこぼして声を殺して泣き続けている姿だ。
――あの方に媚薬を使うの?自分を振り向かない人を、無理やり自分のモノにするために?
「私は媚薬が作れないのです……本当にごめんなさい。私にはあまりスキルがないのです」
私は嫌悪感を隠して丁寧に断ろうとした。
「……お礼ならいくらでも払いますわっ!ほら……謝礼に新しい家と土地をご用意しますわ。それに第一聖女が隣国の王妃になった今は、あなたが第一聖女でしょう?」
ゾフィー令嬢は食い下がってきた。彼女も必死だ。気持ちはわからなくもない。でも、二番手は所詮二番手なのだ。一番手がいなくなったからと言って、一番手の聖女と同じスキルが発動できるようになるわけではない。彼女と私の間には決定的なスキルの差が存在した。地味で冴えない私に比べて、彼女は才能溢れるだけでなく、美しく輝くような、人々を幸せにできる女神のような容姿と心を持っていた。私は全面的に第一聖女に憧れていた。しかし、現実には彼女と私では雲泥の差がある。見た目の印象だけでなく、実力の面で。
私は頭を振った。断りの仕草だ。
「そんな……気休めの薬でもいいから作ってくださりませんか。王子がほんの少し私を振り返ってくださるだけでもいいのです。このままでは、私は死んでしまいたい」
ゾフィー令嬢は泣き出しながら私にすがった。床に崩れ落ちて泣いている。ピンクの丸い頬を涙がつたい、唇が震えている。青い瞳は私に助けを求めて、後から後から涙が溢れてきていた。
死んでしまいたいなんて、滅多に口にしてはならない言葉だ。
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