【完結】二番手聖女の私は失恋して片思い中の王子を慰めていたら、契約婚をすることになり、幸せな花嫁になりました

西野歌夏

文字の大きさ
8 / 37
第一章 波乱と契約婚の花嫁生活幕開け

契約婚(2) ※

しおりを挟む
 私はいけないと自分に喝を入れた。つい、卑下する方向に考えがちだが、私は国から手当をもらえる国に認められた聖女なのだ。気をしっかり持って王子を無事に送り届けなければならない。

 私情に流されてはダメだ。

 大好きな人が私の肩に寄りかかっているその部分の熱が、どうしようもなく温かくてこのままずっと時が止まればいいのにとすら思えてきた。

 夏のバラが鮮やかに別邸までの道のりを彩り、馬車の外を眺めると、美しい湖のようなお堀に囲まれた優美な別邸が姿を現していた。あらゆる人の胸を打つほど美しいと言われるニーズベリー城だ。 

 王子がぐったりと座っている馬車が別邸に着くと、慌ただしく門が開き、お堀の上の橋の石畳を馬車はがたことと音を立てて走った。このニーズベリー城に着くと、私はいつもあまりの広大さと美しさに見惚れてしまう。城の前で従者が迎えに飛び出してきた。私は王子を彼らに任せた。

「では、あとはよろしくお願いいたします」

 私が素早く身を翻して去ろうとすると、「だめだ」と王子が私の腕を掴んだ。

「まだ解毒されていない。危険だ。引き続き解毒を試みて欲しい」

 王子は真剣な眼差しで私に言った。
 私の職業は聖女だ。確かに解毒が終わっていなければ、引き続き解毒を行う必要はある。

「かしこまりました」

 私はそう告げて、従者に運ばれる王子の後について行った。

「一体何の毒を盛られたのでしょうか?」

 侍女や従者に聞かれたたが、私は「お命には問題ない状況でございます」と答えるだけにとどめた。


 別邸には何度も来たことがあるが、王子の部屋に通されたのは初めてだ。別邸の薬草室にあるものは何でも使っても良いと言われて、私は別邸の台所を借りて解毒剤を作った。

「どういった成分の媚薬かわからないため、効くかどうかは分かりませぬが、解毒剤を調合してみました」

 私は眠っている王子にそっと声をかけた。王子は目を開けて私をぼーっと見つめた。

 私は褐色の肌に薔薇色の頬とほめてくださった第一聖女の言葉を胸に、務めて明るい笑顔で王子に解毒剤を入れたカップをすすめた。

「ありがとう」

 王子は疑いもなくその解毒剤を飲んだ。王子自身が望まぬ貴族令嬢に惹かれてしまうのは私としても嫌なので、本気で解毒剤を調合してみた。効くことを心から願った。

「ちょっとこっちに来てくれるか」

 王子は私に言った。私は逡巡した。王子のベッドに近づくのは、何だか違う気がしたからだ。

「お命には別状ございません。私はここでお話をお聞きします」

 私は王子にそう言って動こうとしなかった。すると、王子はベッドから起き上がって私の方に歩いてきた。

「君がいなくて僕は辛い……」

 王子は私を抱きしめてそうささやいて泣き出した。


 ――えぇっ!?私を第一聖女と間違えている?
 ――怖い。この状況が……怖い。

 私は驚いてビクッと体を震わせて、逃れようとした。でも、王子は私を抱きしめたまま私の唇に温かい唇を重ねてきた。私は稲妻に打たれたような衝撃を受けて、体が固まってしまった。

 大好きな人にキスをされると逃げられない。だめだと分かっているのに、私は思わず応えてしまった。

「君がずっと忘れられないんだ……」

 彼は泣きながら私の瞳を見つめてささやき、私を抱きしめたまま私の首筋に口付けをし始めた。

 あぁっんっ

 私はどうしたら良いのだろう?この媚薬は解毒が効かない。私の力では解毒できないようだ。

「僕から逃げないで……お願いだから、一度でいいから君を抱きしめさせて。最後までしないから。お願い」

 彼は私にそうささやいて、私の服を脱がせ始めた。

 なぜこうなるのか分からない。彼は泣いている。

「聖女の君はいつもこういうエプロンを上につけているよね……」

 第一聖女から頂いた私のエプロンは、第一聖女のものと瓜二つだ。王子は完全に私を第一聖女と間違えている。


 ――抱きしめるだけなら。錯綜した王子をこのまま放置はできない。

 私は覚悟を決めた。私は男女の仲になった人は今まで一人もいない。最後までしないつもりのようだし、何をされるのか分からないが、愛する第一聖女だと私のことを思い込んでいる限り、王子は私を悪いようにはしないだろう。

 もはや、私は自分が何をしているのか分からなくなった。

 服を脱がされ、赤く頬を染め上げた王子が私を愛おしそうに見つめて私のドレスを脱がしていくのを、真っ赤な顔をしたまま受け入れた。罪深い、と言う言葉が頭に浮かんだが、彼を受け止めてあげなければという思いもあった。

 そのままはだけたドレスからこぼれた胸にキスをされて、胸を揉まれた。ここまで来ると、私は逃げようと必死になった。

「待って……待って……あぁんっあんっあぁぁっあっ」

 ベッドに連れ込まれて後ろから抱きすくめられて胸を揉まれて胸の丸く隆起したてっぺんを刺激されて、身悶えしてしまった。

「気持ちよくしてあげる」

 あっあっあん
 待ってくださいっあんっいやっ殿下っあんっんっ

 やめっあぁんっあっぁあんっ殿下っあぁんっっあぁんっ

 王子と第一聖女の間に何があったかは知らない。確かに一時期二人は婚約していた。こういう関係が二人の間にあったのかと私は悟った。泣きたかった。


 自分の感情がよく分からない。嫉妬と後ろめたさと、ダメだと言う思いと大好きな人に抱きすくめられているという思い。

「綺麗だ」

「いつにも増して君は美しいよ。大好きだ」

 私は泣いた。彼は私を愛おしそうに頬を赤らめて見つめて、私の体を優しく愛撫した。腰が動いてしまう。

 あんっあっあぁんっ
 やっんめってっあんっあぁっんっ
 
 気持ち良すぎて声が漏れ出て甘い喘ぎ声に自分でもびっくりして、どうにかなりそうだった。猫のような自分の声ではないような声が出て、私はおかしくなりそうな快感に喘いだ。

 ドレスをたくし上げられて私の股の間に王子の手がそっと当てられ、後ろから抱き抱えられたまま私は胸と股の間を愛撫されて、王子の胸の中で悶えた。

 きゃっいやっあぁんっでっんっかぁんっあんっ

 気づけば身につけていたドレスも下着も全て脱がされて、王子の指と舌で私は愛撫されてわけのわからない感情の波に溺れた。最後に体がわななくようになった時、王子は私をそっと抱きしめて「ありがとう」と言った。

 私はハッとして王子を見つめた。私が誰だか気づいてくれたのだろうか。

 しかし、王子はそのまま眠ってしまった。王子は服を着たままだった。私一人が服を脱がされたままで、しばらく呆然とベッドの中にいた。

 男性に愛撫されたことが今までなかったので、最後までしないと言われても、美しい瞳に熱に浮かされたような性急さを漂わせ、色っぽい破壊力のある魅力を溢れさせた最愛の王子に長い指をあそこに入れられて、なすすべもなく翻弄された私は、呆然と放心状態だった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

処理中です...