【完結】二番手聖女の私は失恋して片思い中の王子を慰めていたら、契約婚をすることになり、幸せな花嫁になりました

西野歌夏

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第一章 波乱と契約婚の花嫁生活幕開け

喝采 ダニエル・ポーSide

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 男は驚いたように叫んだが、男の急所を拳で殴りつけた。

「ぎゃあっ!」

 私も自分でしてこれほど痛いとは思わなかったので、驚いて悶絶した。だが、男は大人しくなった。

「お前は悪魔か?」

 男が掠れた声で言うのを聞いたが、私は無視した。

 男の体を私の意志で動かす。紙を取り出した。

「私、ジットウィンドは、王妃を罠にはめました。嘘の証拠を捏造しました。姦通罪を王妃が犯してしまったかのように、嘘の手紙を私の手で書きました。私は愚かで許されない罪を犯しました。どうぞ、私を処刑してください」

「お前っ!何をっ!」

 私の体から反論を告げる声が上がったので、もう1っ発急所を拳で殴ってやった。

「ぎゃあっ!やめてくれっ」

 私も痛みが応えたが、私はやるべきことがある。その手紙に当時の大法官を処刑にするためにやったジットウィンドの悪事を書き連ね、日付をしてサインをした。サインは男の他の書類にあったものを真似た。私が今男自身なのだから、そっくりなサインになった。

「お前がやったことは全てお見通しだ」

 私は声を出して言った。

「お前は一体誰だ?神か?悪魔か?」

 彼は乾いた声で聞いてきたが、無視した。

 その手紙を封にしまい、机の上にあったシーリングスタンプを押した。そして、私はレンハーン法曹院を飛び出した。誰かの所有する黒い牝馬が目の前の木に手綱を括りつけられて主人を待っていた。

 私はその馬に飛び乗って手綱を取り、近くのヴィザー城まで駆けた。私の今の姿では、ヴィザー城の門は顔パスで通過できた。そのまま後の世の者だけが知っている秘密の執務室まで走りに走った。国王は詳細をご存知ないはずだ。この自白の手紙があればという思いだった。馬は庭に乗り捨てた。

 この時私は、なぜかそうしなければならないと思ったのだ。

 秘密の執務室に入って机の上にその手紙を置いた瞬間、誰かの声がして私は慌てて部屋の隅にあった戸棚に隠れた。

 どうやら、王と愛人のようだった。愛人は侍女の姿をしていた。ということは、今の王妃を処刑した後に王妃になる者だろう。

 二人はお盛んで、吐き気がするほどイチャイチャとし始めた。頭にきた私が叱り飛ばそうかと思ったその時、誰かが部屋の中に入ってきた。

 思わぬ人だった。

 ――王妃さまっ!

 処刑された王妃がそっと執務室に入り込んできて、机の上にあった手紙類一気にそばにあった皮袋に放り込んだ。

 ――な、何をやっているの……?

 私は王妃のやっていることをあっけに取られて見ていた。さらになんと引き出しから手紙が勝手に皮袋に流れ込み始めた。

 ――王妃はスキルが使えるの?

 私はあまりの事態に驚愕してしまった。

 ――待って待って?よく考えるのよ。王妃がスキルを使えたなら、歴史が変わる。処刑された王妃は何者なの?

 そこで私はある真実に辿り着いた。私はさっき死んだ。死んだと思ったら、過去の世界のジットウィンドになっていた。私と同時刻におそらく命を失った者がいたことに私は気づいた。

 私たちは群衆が溢れるあの通りに二人ともいた。片方は第二聖女フランソワーズ嬢で、そしてもう片方は私だ。

 ――フランソワーズ嬢?

 ――もしも、フランソワーズ嬢が王妃に乗り移ったならば。

 彼女はジットウィンド枢機卿を撃退できる証拠を欲しがっているはずだ。

 もしも、あのタイミングで死んだフランソワーズ嬢が処刑された王妃に乗り移ったことに気づいたのであれば、王妃の立場で私と同じことをするのではないか。ジットウィンドの横暴を暴く証拠を集めて握るはずだ。

 これから何が起きるか知っているのだから、きっと証拠を掴もうとするはずだ。

 その後、王妃は窓の外に皮袋を投げた。そして、王にかなりの剣幕で詰め寄って強烈な平手打ちをした。

 私は心の中で喝采をした。女を軽んじる男は最低だから。

 王への彼女の詰め寄り方は見ものだった。私は胸がすく思いで戸棚から見ていた。

 やがて、格好よく颯爽と王妃が部屋を去った後、王と侍女は放心状態でベッドにヘタリ込んでいた。

 私は扉からそっと這い出して、部屋をダッシュして外に飛び出した。そのまま命からがら逃げるようにして、ヴィダー城の外に飛び出した。幸い、乗ってきた馬はのんびり草を食べていた。

 私はその黒い牝馬に飛び乗り、そのまま城から一目散に撤収した。私が持ってきた手紙は王妃によって持ち去られたと思った私は、内心喝采する思いだった。

 ――最高だ!証拠を王妃に差し出したのだから!

 レンハーン法曹院までの道のりは、木陰を馬で進んだり、道端の花を愛でたりしてのんびり駆けることができ、気持ちが良かった。

 もし、浮気を捏造された王妃が事前に捏造を把握して対処できたなら、歴史は変わる。ただ、二十年後に女王になる人はもはや変わらない。嫡子の順は何があってもひっくり返らないからだ。

 私が乗り移っている悪の道に堕ちた若き法律家は、レンハーン法曹院が近づくと、また暴れ出した。本来の自分に指令を出したいようだ。

「大人しくしなさいっ!さもなければ、もう一発行くよ」

 私は渾身の力を振り絞って、警告した。若きジットウィンドには心底腹が立って仕方がない。

 いけしゃあしゃあと嘘の手紙を書いて、無実の女性を罠に嵌めて姦通罪として処刑させようとするなんて。しかも仮にも我が国の王妃を処刑させるのだ。

 私は平手を自分の頬にした。

「いたっ!」

 涙声が出た。時々暴れるジットウィンドを宥めながら、レンハーン法曹院まで辿り着くと、私は馬から降りた。酒を飲まないとやってられない気分になり、近くの酒場を探した。パブがあった。

 私はフラフラとパブの中に入り、1杯エールを頼んだ。

「あいよ」

 目の前に、大きなジョッキ1杯に並々に注がれたエールがでてきた。私は一人で乾杯した。
 
 ――苦くないわっ!

 私が再びジョッキに口をつけようとしたその時、周りの景色がひっくり返った。
 

◆◆◆ 

 次に目を開けていたとき、私は中央刑事裁判所に急ぐために馬に乗っていた。ハッとして右を見ると、フランソワーズ嬢が胸から血を流して倒れいていたところには、元気なフランソワーズ嬢がいた。王子が駆け寄って彼女を熱烈に抱き締めて、王子はそのまま口付けをしていた。

 私は王妃になっていたフランソワーズ嬢もこちらの世界に戻ってこれたことを知った。

 ――何かが変わったのね?だから運命が変わって、私たち二人は生かされたのだわ。

 となると、あのジットウィンド枢機卿の手紙を入れた皮袋がどこにあるはずだわ。あれは証拠として使える。裁判で証拠として出せば、完全勝利できるはずだわ。

 ジットウィンド枢機卿をその位置から引きずり下ろすのに十分な威力がある。

 私は素早く中央刑事裁判所の方向に馬を進めた。人通りが少なくなったところで、スピードを上げて駆けた。とにかく、今日予定している依頼人の裁判を無事にやり遂げたら、フランソワーズ嬢と作戦を練ろう。

 彼女が王子に熱烈に愛されているのは間違いない。そのことに対して、私の心は平和なようだ。昨晩や今朝と違って、もう私の心は乱れない。

 さあ、予定通り法廷で依頼人を救ったら、作戦を練ろう!


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