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第一章

最初の出会いへ

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 私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。

 ただ、その前に最初の死神との出会いについて話さなければならない。

 私は合計4回死神に会った。彼が私を連れ去る5分前で、彼は一旦時を一時的に止めてくれた。私が死を回避できる選択を過去に戻ってできれば5分の間に結果が変わる。


 最初の死神との出会いは最悪だった。

 私は大好きな人に捨てられた。私に見る目が無かったからなんてそんな綺麗事を言えるわけがない。馬車を薄着で下ろされ、死因は凍死。凍てつく寒さの中で死に至る瞬間、死神がやってきた。

 ここまでくると私が大好きだった人は犯罪者と言えるかもしれない。貴族の顔をした犯罪者に騙され、危うく死に至る瞬間に私の元に死神がやってきたのだ。


「君がなんと言われているか知っているかな?」

 彼の家に向かう馬車の中でそれは突然始まった。私は彼の両親に会わせると言われて彼が迎えに来た馬車に乗っていた。私は外の冬景色をぼんやりと眺めていた。緊張もしていた。彼の両親に会わせると言い出した彼の誘いは驚く話だったから。

 私は外の景色から彼の顔に視線を移した。

「君は没落令嬢だよ」

 私は驚いてすぐには言葉が出なかった。

 ――何を言い出すのかしら?

「僕の愛人になって、食べ物を工面してもらうぐらいしか君には生きる道はないだろう?」

 私は富裕層特有の鼻持ちならない気取った話し方をする彼の口から、信じられない言葉を聞いた。

「……」

 彼の手が私の肩に触れた。私はビクッとして思わず身をよじった。彼の手を振り払った。

「いやですっ!」
「嫌じゃないだろう?」

「愛人になんてなりませんっ!ここで馬車を下ろしてください」
「君の家には金がない。こうでもしなければ生きていけないんだろう?」

「手を離してください。私から離れてください」

「……ったく、聞き分けがない娘だ。もう知らん。勝手にしろ」

 私は凍えるような寒さの中で馬車から降ろされた。コートを馬車の中に置いたままだ。コートは彼が馬車の中で引っ張って脱がしたままだった。

 私を下ろした馬車はそのまま走り去った。信じられない思いでいると、雪がひらひらと舞って落ちてきた。

「お母様、マリアンヌお姉様、ごめんなさい」

 私は涙が溢れてきたが、手がかじかみ、ガタガタと震え、はく息が白く濁るのを見つめて、必死で涙を堪えようとした。

 ――泣いている場合ではない。
 ――生きるためには、歩いて家に帰らねば。

 雪が後から後から降り注いできた。その日、他の馬車はその道を通らなかった。私はトボトボと歩き続けて、目の前が見えなくなるほどの雪が舞ってきた時についに雪の中に倒れた。

 ――もうダメかもしれないわ……

 公爵家に続くその道は、その日は雪が降るほど寒い日ということもあり、人っこ一人通らなかった。私を途中で馬車から降ろした人物は公爵家の次男だ。

 私はバカだ。彼を立派な人物だとずっと好意を持っていた。好意どころではおさまらず、大好きだった。

 ――お母様、お姉様、本当にごめんなさい。不甲斐ない娘で、どうしようもない妹で本当にごめんなさい。

 私は私の体に降り積もる雪を感じながら、そのまま意識を失った。



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