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第三皇女ミラ・フォードオーロラ・ウィンドハット側視点
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<皇女ミラサイド>
「なんで、お前が生きているのよ」
うっ……あぁっ
姉は私の髪の毛を引っ張り、動けない私をずりずると引きずった。髪の毛が引っ張られて痛いという強烈な感覚は最初だけで、すぐに麻痺してしまった。私は自分の体が血だらけなのを知っている。
隣で戦ってくれていたリズの剣を持つ腕が、ピクリと動く。目の端でそれをみた私は少しほっとした。
――よかった。リズはまだ生きている……
ずるずると、私の大事な仲間の第八騎士団が次々と足を引っ張られて、腕を引っ張られて崖の淵まで寄せられていく。
うっ……
意識を保とうと必死になるけれども、気が遠くなる。
姉は私の髪の毛を引きずり回すことをやめた。そのまま力一杯私を崖の下に突き落とした。空が見える。私の上からどんどん第八騎士団のアイラ、リズ、オリヴィア、サイラスの体が降り注ぐように落ちてくる。彼らも崖から落とされたのだ。
私は一瞬気を失ったが、ハッと目を覚ました。崖下衝突寸前で、呪文を唱えた。
――死んでしまうより、金塊の契約の方がマシだ!
回復魔法や製薬魔法とは次元が違う、魔女に教わった呪文を唱えた。
***
私が最後に姉の第一皇女のエレノア・フォードオーロラ・ウィンドハットの姿を見たのは、この時だった。第八騎士団と私は円深帝と契約を交わして1年が経とうとしていた。
頑張ってはいるものの今ひとつパッとしない。そんな膠着状態が続いていた。異世界で金塊を大量につかむためには状況を打破するための何か蘇生剤のようなものが欲しい。
そんな頃、新しくジョシュアとグレースが仲間に加わった。二人の参入は私たちにとって非常に刺激的で気分を高揚させる出来事だった。
「なんで、お前が生きているのよ」
うっ……あぁっ
姉は私の髪の毛を引っ張り、動けない私をずりずると引きずった。髪の毛が引っ張られて痛いという強烈な感覚は最初だけで、すぐに麻痺してしまった。私は自分の体が血だらけなのを知っている。
隣で戦ってくれていたリズの剣を持つ腕が、ピクリと動く。目の端でそれをみた私は少しほっとした。
――よかった。リズはまだ生きている……
ずるずると、私の大事な仲間の第八騎士団が次々と足を引っ張られて、腕を引っ張られて崖の淵まで寄せられていく。
うっ……
意識を保とうと必死になるけれども、気が遠くなる。
姉は私の髪の毛を引きずり回すことをやめた。そのまま力一杯私を崖の下に突き落とした。空が見える。私の上からどんどん第八騎士団のアイラ、リズ、オリヴィア、サイラスの体が降り注ぐように落ちてくる。彼らも崖から落とされたのだ。
私は一瞬気を失ったが、ハッと目を覚ました。崖下衝突寸前で、呪文を唱えた。
――死んでしまうより、金塊の契約の方がマシだ!
回復魔法や製薬魔法とは次元が違う、魔女に教わった呪文を唱えた。
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私が最後に姉の第一皇女のエレノア・フォードオーロラ・ウィンドハットの姿を見たのは、この時だった。第八騎士団と私は円深帝と契約を交わして1年が経とうとしていた。
頑張ってはいるものの今ひとつパッとしない。そんな膠着状態が続いていた。異世界で金塊を大量につかむためには状況を打破するための何か蘇生剤のようなものが欲しい。
そんな頃、新しくジョシュアとグレースが仲間に加わった。二人の参入は私たちにとって非常に刺激的で気分を高揚させる出来事だった。
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