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王太子閣下が結婚の許しを請う(3)

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「お嬢様っ!」
「おめでとうございます!」

 私はマリアに泣かれた。子供の頃から実家にいる執事にも泣かれた。私の母はもっと声をあげて泣いて喜んだ。


「三ヶ月後に式をあげたいのですが、よろしいでしょうか」
「えっ!お支度が間に合うかしら?」
「申し訳ない。キャロライン嬢は私の初恋の人でして、私の妻にしたくていてもたってもいられず……」

「お嬢様っ!王太子閣下の初恋の思い人だったですって、なんてロマンチックなのでしょう!」
「マリア、落ち着いてー」
「式まで三ヶ月しかなくても全力で準備いたしますわっ!」
「お母様、落ち着いてー」
「王太子閣下のお気が変わらないうちに、挙式をあげてしまいましょう」
「お母様、王太子閣下のご面前でなんと失礼なー」

「いえいえ。私が急いであなたを妻にしたいとお願いしているのですから、まったく構いませんよ」

 私は急に降りかかった身に余るような愛に包まれて体が震える思いだったが、私の周りの興奮もかなり激しかった。
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