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花嫁衣装と誕生日(3)

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「その……明日は祝う時間が取れないはずなので、今日のあなたの時間を少し私にくださいませんか」

「はい、王太子閣下」

 突然、王太子閣下は振り向いて私の肩に直にそっと手をおいて、私の唇にキスをした。私のむき出しの肩に直接手を触れた男性は、王太子閣下が初めてだ。私はその温かな心地にふわっと気持ちが高揚し、思わず顔から火が出そうなほど熱くなった。

「我慢できなかった、キャロライン。あまりにあなたが美しくて魅力的なので」

 王太子閣下は潤んだ瞳で私を見つめてそれだけささやくと「外で待っています」と小さな声で言い、部屋から出ていった。

 ――心臓の鼓動が聞こえてしまいそうだわ!

 恥ずかしいこと、私は腰がよろけてしまいそうになる程の衝撃を味わった。
 そっと部屋に戻ってきたマリアと母に助けられながら着替えを済ませて、私を待つ王太子閣下の元に急いだ。

 私の胸は高鳴っていた。伯爵家で味わったつらい記憶は新たに始まった幸せな出来事で上書きされようとしていた。王太子閣下の温かな人柄と熱意で、私の辛かった感情はどこかに消え去り、幸せな将来を思い描けるようになりそうだった。

 ――さあ前に進むのよ、キャロライン!
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