夫である伯爵に裏切られましたが、王家に輿入れすることになりました

西野歌夏

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置かれた立場で奮闘(5)キャロライン

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*** 
「用意、アクション!」
 
 会長の代役を務める私は、目の前の美しい女性を見つめた。熱のこもった瞳で彼女の揺れる瞳を見つめる。彼女の光に揺れる瞳の中に会長が映っている。

 ――素晴らしい美貌の持ち主だわ。こんなに美しい瞳で見つめられたら、どんな男性だって見惚れてしまうわ。

 私はそのまま彼女に近づいた。バルコニーを吹きぬける涼しい夜風に揺れる彼女の髪をそっと直して、そのまま両頬を手で優しく包んだ。そのまま彼女の顔をのぞきこんで、「幸せにする」と甘くささやき、彼女の唇に優しくキスをするふりをした。

 私の中ではこれは手順通りにやっているという作業だ。頭の中では愛しい王太子閣下の仕草をとても忠実に再現したつもりだ。

「はいカット!」

 声がかかって、私はよくわからないが彼女から離れた。美しい彼女は頬を赤らめて私を見つめていた。

 ――大丈夫だったかしら?不快な思いをさせなかったかしら?私は王太子閣下にこれをされて、心がときめいたのだけれど私は王太子閣下ではないから自信がないわ。

「素晴らしいっ!魔法がかかったようだった……」
「とても良かったわ……」

 あちこちから称賛の声が聞こえた。すぐにリョウタが微笑んで私に駆け寄ってきて、耳元でささやいた。

「いつもよりずっと良かった。やってくれてありがとう!」

 私はほっとして目の前の美しい女性に会釈をしてその場を去ろうとした。すると、ビッグスターであるらしいその美しい女性は、私の腕にそっと手をかけて艶っぽく微笑んでささやいた。

「女性アレルギーってあの噂は嘘ね。あなたとても素晴らしかったわ。あなたが芝居をした瞬間、私の心はかつてないほどとてもときめいたわ。次のシーンもよろしくね」
「ありがとう」

 私はなんだか分からないが彼女が頬を赤らめてそうささやくので、私のやったことは上手く行ったのだと思った。そして、そのままリョウタに連れられてその場を後にした。
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