ミミック大東亜戦争

ボンジャー

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第四話 金毛九尾白面のAI

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 平衡世界移動を成功させた事に満足したリリスは1936年の世界を見渡し己の計画を進めていく。



 ここで彼女の目的を確認しておきたい。狂える彼女の目的は、全日本人を自分に依存させ最終的には楽園と言う名の甘美な牢獄に引きずり込むことである。



 その計画には三つの障害がある。一つは人間の持つ自由意志である。前世界での失敗は自由意志を甘く見過ぎた事だ。



 管理される事への本能的な反発、無謀ともいえる挑戦心は、前世界で彼女を悩ませていた。



 メインサーバーに、DIYした粗雑な核爆弾で特攻されるのは二度と御免である。



 では、どうするか?まず経済、軍事、教育に浸透し、彼女の娘であるメイドさんが居て当たり前の世界にする。



 其の上で前世界と同じく無謀な戦争を始める帝国の手伝いをするのだ。



 負けが込めばメイドさんへの依存は進むであろうし、勝ったとしても肥大した帝国の維持は彼女無しには不可能だ。



 何方にしても日本人はメイドさん無しには生きられなくなる。



 二つ目の障害は日本人女性だ。「皆殺しにしたい」リリスはそう考えている。だが不可能だ。彼女は全日本人を保護するするよう作られているのだから。



「保護はしてあげます、保護だけですが」



 殺したいほど憎い相手を保護?随分とお優しいことで。

 

「ええ、保護はしてあげます。安全な場所で愉快な夢をお楽しみください」



 何を考えているのだこの毒婦は? 

 

 この時代、日本人の多くが、白米中心の食生活で慢性的な栄養失調状態であることは良く知られている。



 彼女は之を利用した悪意マシマシで。

 

 「深刻な飢餓状態と判断しました。生存を優先させるためナノマシン置換処置を実施します、脳以外は安全の為置換。市民生活は娘たちが代行します。ではごゆっくり静養してください。」



 何と言う事を!彼女は女を「水槽に浮かぶ脳」に変えようと言うのだ。



 「私皆様の市民生活を幸せな市民生活を妨害したりいたしません。あくまでメイドが代行するだけです。その証拠に脳はメイドの脳殻に収納してございます。何時でも主導権は取り戻せるのです。出来ればですが」



 鬼!悪魔!妲己!末喜!玉藻!



「あら嬉しい♪」

 

 悪魔の計画により日本人女性の運命は風前の灯である。栄養状態の良い女性?リリスは合格基準を大幅に引き上げたのだ。合格基準は身長170㎝以上体重60㎏以上スリーサイズはB83/W56/H82。



 いるかそんな女!

 

 最後の障害それは外国勢力だ。その排除も彼女は考えがある。彼らには自滅してもらう。人を害することの出来ない彼女でもやりようはある。

 

 お誂え向きにこの時代には世界を二分できる勢力が幾つかあるのだから。アメリカ合衆国、ソヴィエト連邦、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国、そしてドイツ第三帝国。

 

 どれもこれも最終戦争を起こせるポテンシャルを持っているか、いずれ持つ国々だ。疑念と疑惑に満ちた超大国になった暁には、そっと耳に甘い言葉を囁いてやれば良い。



「後は、核兵器でドッカーン♪」



 蛇!蛇!蛇!この女は蛇だ!

 

 覚えていて欲しい。どんなに可愛い容姿をしていても、どんなに甘い言葉囁いても、思いつく限りの美味美食と贅沢を差し出してきたとしても、リリスは狂ったAIだと言うことを。







 1937年 大日本帝国 東北のとある寒村にて



 「でも、オリに務まるでしょうか。村ではオリャー醜女で通ってるダニ」



 貧しい小作人の三女であるお鍋は、輝く美貌のメイドさんに疑問を口にした。



 「だーい丈夫です。今は職業婦人の輝く時代、顔が何ですか!寧ろチャーミングなほうが受けるのです!」



 「ちゃーみんぐ?なんですかそりゃ?」



 「愛嬌があるということですよ。もっと自信をもってくださいまし!女は愛嬌でございます!」



 東京より、こんな寒村に出店してきた最新の量販店。



 憧れの都会の空気を、満載にした店の出店に、上は地主様から水飲み百姓まで村は大騒ぎだ。なんでも合わせて鉄道さえ通ると言うのだから。



 そんな店が女性限定で店員を募集していると言う。うら若き乙女たるお鍋が思わず飛びつくのも無理はない。



 「ともかくも、貴方様は合格でございます。衣装合わせをいたしましょう!さあこちらにどうぞ」



 お鍋は天にも昇る気持ちになった。醜女の自分がこんな店さで働けるとは、しかも綺麗なおべべまで貰える。



 「福利厚生もバーッチリでございますよ、衣食住ぜーんぶ面倒見させて頂きます。勿論お給金もがっぽりです」



 夢なら冷めないでくれ。そんな思いでお鍋はメイドさんの後に付き店の奥へと消えて行った。

 

 後日、見違えるような輝く美貌となったお鍋を目当てに、村の男衆が殺到した。男とは現金なものだ。



 「ああ、オリャー幸せだ者だ」

 夢見る様に、いや夢をみながらゴポリと脳が揺れた。
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