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第七話 明るい家族計画
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会議は続いている。
大日本帝国の滅亡はある意味で回避されている。なぜならば集合意識として列島の人間は統合され、日本国民は大日本帝国と言う一つの生命体となったからである。
大日本帝国を滅ぼしたければ帝国を構成する全ての国民を殺害する必要がある。
現在の日本帝国の中心は天皇個人であるが、彼が何がしかの攻撃でもって無力化されたとしても、すぐに別の存在が群れの中心を構成するため、米国と云えども既存の物理法則を無視した存在と化した国民全てを殺しきることなど不可能であろう。
「我々は国外にいる家族を一刻も早く呼び戻す必要がある、我々は孤独のうちにある家族を看過することは出来ない。」
会議の中心にして全国民の中心たる天皇は口を開いた。その言葉は提案と言うより、自分自身の考えを確認するような響きがあった。
「沖縄を放棄した以上、米軍の本土上陸は早まるでしょう、新たな家族を迎え入れる為にも急ぐ必要があります」
陸軍大臣阿南惟幾が後を継いで発言した、彼の言葉には本土決戦という未曽有の事態に対する悲壮感は無い、むしろ待ち遠しいと言いたげな喜色が含まれていた。
「海軍としましては、目下、遠征部隊の実験中であります。近日中にも太平洋に取り残された家族の回収を行います」
海軍大臣米内光政は焦燥にも似た声色で発言した、外地に派遣した兵員の親族たちの意識が彼をせかしているのである、自身の精神をせっつく無数の声が彼の心を不安定にさせている。
「大陸にいる家族は、満州と朝鮮半島に回収します、台湾、朝鮮、満州の群れは順次新たな家族として統合予定です。急ぎたいのは山々ですが、やはり数が多いので現状では時間がかかります」
総理大臣鈴木貫太郎の声は不満げである、彼の声には列島の朝鮮台湾出身者たちの声が含まれているからである。
彼ら大日本帝国の統合には現在問題点がある、言語、精神性の異なる人種を統合するとき、時間がかかってしまうのである。
列島内の外国人は比較的少数であったため問題は無かったが、これが一千万単位、億単位の精神となると簡単にはいかない、それゆえ同じ言語と似たような精神を有する日本人の回収、統合が急がれている。
この問題も集合意識が広がっていくにつれ解消されていくであろう。
「「早く分かれた家族と一つになりたい、一人は寂しい、孤独は嫌だ、子に、孫に、兄弟に。夫に、妻に早く会いたい、一つになりたい、統合、家族、家族」」
鈴木首相の発言が終わったと同時に議場にいる天皇以外が一斉に唱和しだした。彼らに繋がる帝国人たちの偽らざる本音が彼らの口から飛び出したのである。
「今次大戦の意味は大きく変わった、我々はあの迷惑な来訪者たちにより後戻りできない変化を遂げてしまった」
唱和が終わり、静まり返る議場に天皇の言葉が響いた、言い聞かせる様であり、決意を表明するような声でもあった。
「彼らは、我々を一つにし我々は過ちに気付いた、我々は孤独であったが故に、他者を拒絶し、己の利益のみ享受しようとした」
その声は帝国の今までの所業への後悔であった。陸海軍代表達は下を向いた、己たちの所業を振り返ったからである。
「だが、今、我々は孤独ではない、我々は過ちを認め正すことができる。」
「我々はこの喜びを世界と分かち合わなければならない、孤独から世界を救わなければならない、それが我々の犯した過ちへの贖罪であり、犠牲にしてきた者への贖罪であると朕は信じる。皆同じ気持ちでいるであろう」
同意の声が亜空間リンクを通して列島内に広がった。
「「世界を一つに、皆を一つに、八紘は一宇、家族、家族、家族」」
再び唱和が始まり、米国人たちが見たならば白目を剥くであろう会議は続いていった。
宇宙の彼方で日本人たちを観測していた集合意識精神体は「若いというのは良い、自分たちもあのような時もあった」と感想を全銀河に響かせた。
大日本帝国の滅亡はある意味で回避されている。なぜならば集合意識として列島の人間は統合され、日本国民は大日本帝国と言う一つの生命体となったからである。
大日本帝国を滅ぼしたければ帝国を構成する全ての国民を殺害する必要がある。
現在の日本帝国の中心は天皇個人であるが、彼が何がしかの攻撃でもって無力化されたとしても、すぐに別の存在が群れの中心を構成するため、米国と云えども既存の物理法則を無視した存在と化した国民全てを殺しきることなど不可能であろう。
「我々は国外にいる家族を一刻も早く呼び戻す必要がある、我々は孤独のうちにある家族を看過することは出来ない。」
会議の中心にして全国民の中心たる天皇は口を開いた。その言葉は提案と言うより、自分自身の考えを確認するような響きがあった。
「沖縄を放棄した以上、米軍の本土上陸は早まるでしょう、新たな家族を迎え入れる為にも急ぐ必要があります」
陸軍大臣阿南惟幾が後を継いで発言した、彼の言葉には本土決戦という未曽有の事態に対する悲壮感は無い、むしろ待ち遠しいと言いたげな喜色が含まれていた。
「海軍としましては、目下、遠征部隊の実験中であります。近日中にも太平洋に取り残された家族の回収を行います」
海軍大臣米内光政は焦燥にも似た声色で発言した、外地に派遣した兵員の親族たちの意識が彼をせかしているのである、自身の精神をせっつく無数の声が彼の心を不安定にさせている。
「大陸にいる家族は、満州と朝鮮半島に回収します、台湾、朝鮮、満州の群れは順次新たな家族として統合予定です。急ぎたいのは山々ですが、やはり数が多いので現状では時間がかかります」
総理大臣鈴木貫太郎の声は不満げである、彼の声には列島の朝鮮台湾出身者たちの声が含まれているからである。
彼ら大日本帝国の統合には現在問題点がある、言語、精神性の異なる人種を統合するとき、時間がかかってしまうのである。
列島内の外国人は比較的少数であったため問題は無かったが、これが一千万単位、億単位の精神となると簡単にはいかない、それゆえ同じ言語と似たような精神を有する日本人の回収、統合が急がれている。
この問題も集合意識が広がっていくにつれ解消されていくであろう。
「「早く分かれた家族と一つになりたい、一人は寂しい、孤独は嫌だ、子に、孫に、兄弟に。夫に、妻に早く会いたい、一つになりたい、統合、家族、家族」」
鈴木首相の発言が終わったと同時に議場にいる天皇以外が一斉に唱和しだした。彼らに繋がる帝国人たちの偽らざる本音が彼らの口から飛び出したのである。
「今次大戦の意味は大きく変わった、我々はあの迷惑な来訪者たちにより後戻りできない変化を遂げてしまった」
唱和が終わり、静まり返る議場に天皇の言葉が響いた、言い聞かせる様であり、決意を表明するような声でもあった。
「彼らは、我々を一つにし我々は過ちに気付いた、我々は孤独であったが故に、他者を拒絶し、己の利益のみ享受しようとした」
その声は帝国の今までの所業への後悔であった。陸海軍代表達は下を向いた、己たちの所業を振り返ったからである。
「だが、今、我々は孤独ではない、我々は過ちを認め正すことができる。」
「我々はこの喜びを世界と分かち合わなければならない、孤独から世界を救わなければならない、それが我々の犯した過ちへの贖罪であり、犠牲にしてきた者への贖罪であると朕は信じる。皆同じ気持ちでいるであろう」
同意の声が亜空間リンクを通して列島内に広がった。
「「世界を一つに、皆を一つに、八紘は一宇、家族、家族、家族」」
再び唱和が始まり、米国人たちが見たならば白目を剥くであろう会議は続いていった。
宇宙の彼方で日本人たちを観測していた集合意識精神体は「若いというのは良い、自分たちもあのような時もあった」と感想を全銀河に響かせた。
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