13 / 25
第十三話 葬列なんかくだらねぇ 俺の筋肉を食らえ
しおりを挟む
はるか上空から焼夷弾の雨を降らせる爆撃機と低空より機銃掃射を仕掛けてくる艦載機、どちらが恐ろしいだろうか?
被害と言う意味では爆撃機だろう、だが、逃げ惑う自分たち目掛けて襲ってくる艦載機は形を持った死の恐怖その物といえるのではないだろうか。
あの日あの時、必死に逃げ込んだ草むらで少年は罪を犯した、わが身可愛さのあまり一緒に逃げていた友達を敵機の前に差し出したのである。
差し出したは語弊がある、しかし、恐怖のあまり突き飛ばした初恋のあの子は F4U コルセアの餌食となった。
それは少年の消えない罪だ。
だからこそ、今、少年は満身の力を込めて、獲物を探すコルセアに圧縮された鉛の塊を投擲した。
狙いたがわず鉛はコルセアのエンジン部分を貫通し機体は失速していく、あの様子では村の方に落ちていくだろう、目を閉じて繋がった意識の糸を辿れば後を追う大人たちの姿が見える。
少年は隠れていた草むらより身を起こすと、次の獲物を探すため走り始めようとした。
その筋肉に覆われた肩にフワリと降り立つ影がある、猛禽類の羽を持つそれは、先ほど少年が撃墜したコルセアを上空より追跡していた人物であった。
大日本帝国は、比較的小型の女性で構成される上空警戒班と、地上で攻撃を行う大型の男性班で構成される警戒網を全土に配備し始めていた。
集合意識によりタイムラグなく管制されるこの警戒網は大きな戦果をあげ始めている。
肩に乗る人物を見上げ、少年は再びあの日を思い出していた。
少女を殺してしまった恐怖に逃げ出した自分。
布団を被り罪悪感に震えていた通夜の晩。
もしや自分の罪を見たものがいないであろうかと、怯えながら参列した野辺の送り。
突如乱入してくる全裸の巨人、次々と統合される逃げ惑う人々。
棺桶の蓋を跳ねのけてこの世に舞い戻ってきたあの子(どうやら新鮮な死体も統合と変異は問題ないらしい)
そこまで思い出し、なにか思い出を汚された気がして少年は追想を取りやめた。
肩に乗る少女はいつまでもうじうじする少年にあきれながら口を開いた
「許すって言ってるんだから、いつまでうじうじしない!それとも初恋のお姉さんの言葉は聞けないの?」
日本人全員の意識が繋がっている以上、彼の淡い恋心は彼女も承知している。
瞬間、少年の意識には「若いな」「自分もそのようなときがあった」「朕は二人の仲を祝福するぞ」などの言葉が亜空間リンクを通して届けられた。
溢れる家族の声に少年は赤面した。
少年の肩に乗る少女、大日本帝国女子挺身航空隊所属の彼女は、笑いながら空に飛び立った。
この異常なる戦争の中にも青春はあるのだ。
被害と言う意味では爆撃機だろう、だが、逃げ惑う自分たち目掛けて襲ってくる艦載機は形を持った死の恐怖その物といえるのではないだろうか。
あの日あの時、必死に逃げ込んだ草むらで少年は罪を犯した、わが身可愛さのあまり一緒に逃げていた友達を敵機の前に差し出したのである。
差し出したは語弊がある、しかし、恐怖のあまり突き飛ばした初恋のあの子は F4U コルセアの餌食となった。
それは少年の消えない罪だ。
だからこそ、今、少年は満身の力を込めて、獲物を探すコルセアに圧縮された鉛の塊を投擲した。
狙いたがわず鉛はコルセアのエンジン部分を貫通し機体は失速していく、あの様子では村の方に落ちていくだろう、目を閉じて繋がった意識の糸を辿れば後を追う大人たちの姿が見える。
少年は隠れていた草むらより身を起こすと、次の獲物を探すため走り始めようとした。
その筋肉に覆われた肩にフワリと降り立つ影がある、猛禽類の羽を持つそれは、先ほど少年が撃墜したコルセアを上空より追跡していた人物であった。
大日本帝国は、比較的小型の女性で構成される上空警戒班と、地上で攻撃を行う大型の男性班で構成される警戒網を全土に配備し始めていた。
集合意識によりタイムラグなく管制されるこの警戒網は大きな戦果をあげ始めている。
肩に乗る人物を見上げ、少年は再びあの日を思い出していた。
少女を殺してしまった恐怖に逃げ出した自分。
布団を被り罪悪感に震えていた通夜の晩。
もしや自分の罪を見たものがいないであろうかと、怯えながら参列した野辺の送り。
突如乱入してくる全裸の巨人、次々と統合される逃げ惑う人々。
棺桶の蓋を跳ねのけてこの世に舞い戻ってきたあの子(どうやら新鮮な死体も統合と変異は問題ないらしい)
そこまで思い出し、なにか思い出を汚された気がして少年は追想を取りやめた。
肩に乗る少女はいつまでもうじうじする少年にあきれながら口を開いた
「許すって言ってるんだから、いつまでうじうじしない!それとも初恋のお姉さんの言葉は聞けないの?」
日本人全員の意識が繋がっている以上、彼の淡い恋心は彼女も承知している。
瞬間、少年の意識には「若いな」「自分もそのようなときがあった」「朕は二人の仲を祝福するぞ」などの言葉が亜空間リンクを通して届けられた。
溢れる家族の声に少年は赤面した。
少年の肩に乗る少女、大日本帝国女子挺身航空隊所属の彼女は、笑いながら空に飛び立った。
この異常なる戦争の中にも青春はあるのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる