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第二十三話 巻きに入ります、又はモンロー氏の帰還
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1946年3月16日、1946年2月1日より続いた日本軍の大攻勢は北はラップランドから南はシナイ半島までを飲み込んだ所で停止した。
無数の人々が化け物たちの胃の腑に消え、大地はがん細胞の如く広がる腫瘍に飲まれたのだ。外側から見れば。
張本人である大日本帝国はのたうち回っていた。もう七転八倒の苦しみである。それはあたかも夏場の牡蠣で当たった時のようだ。
あれは苦しかった。本当に。死ぬかと思ったくらいだ。、、、、話を戻そう。
考えて見て欲しい、一億人超の人間で言語も思考様式も違う人間を10億人以上受け入れたのだ。混乱しないはずがない。
亜空間リンクを飛び交う多言語の嵐と記憶情報に集合意識はオーバーヒートしていた。
もしこの時アメリカ合衆国が、集合意識の中心目掛けて核兵器の集中攻撃を行っていたのなら、世界は救われていたのかもしれない。
だが、そうはならなかった、ダウンフォール作戦反対派がメディアに対して作戦の失敗をぶちまけたのだ。
連合国世論は沸騰した。
ホワイトハウスは作戦参加将兵の遺族に取り巻かれ、全米各地で戦争反対集会が開かれ、反対派と戦争継続派は各地で内乱寸前の暴動にまで及んでいた。
それはそうだろう、勝ちが決まっているからこそ、危険極まりない作戦に渋々賛成をしたものは多いのだ。それが蓋を開けてみれば大敗北、その上、ユーラシア大陸の半分が敵の手に落ちたなど誰が許せるものか。
明けて、同年4月1日、何とか、消化不良から立ち直った大日本帝国は、太平洋での攻勢を開始した。
目的はアメリカ合衆国を単独講和の席上に引きずり出すことだ。
サイパン、グアム、パラオ、トラック、ニューカレドニアの各拠点は順次陥落していった。
その様は時計の針を逆さまに回しているようだ。各地の守備隊は陥落の最中「日本軍からのメッセージを伝える、交渉に応ずるか、全てを失うかどちらかを選べ」との通信を本国に送っている。
この挑発にアメリカ合衆国は応じられない、連合国は単独での講和を許可していないのだ。自分で言い出した言葉が自分の首を絞めている、アメリカ首脳部はルーズベルト前大統領を絞め殺したく思っていた。
同月4月15日 ハワイ陥落、アメリカ太平洋支配の牙城の陥落は西海岸にパニックをもたらした。
明日にでも日本軍が上陸してくるかもしれない。遠く太平洋の向こう側に追いやった戦争が戻ってきたのだ。
同年5月2日 モスクワを進発した巨人の群れは欧州に襲い掛かった。東欧、中欧は瞬く間に崩壊しベルリンを制圧した日本軍はフランス国境で停止した、なおベルギー、オランダは陥落している。
同年5月11日 継戦か和平か揺れるアメリカに衝撃が走る。ダウニング街10番地にお住いのウィンストン・チャーチル氏の自宅を、二匹の巨大蝙蝠が襲ったのだ。
巨大蝙蝠の顔は、混乱の中処刑し損ねたヘルマン・ゲーリング航空大臣とハインリヒ・ヒムラー親衛隊長官の顔をしていた。
ぎこちない笑みを浮かべるウィンストン・チャーチル氏を両側から挟んだ両名は、にこやかに駆け付けた、新聞記者の取材に答えた後、追撃する警察と、軍を蹴散らしながら優々と空へと去って行った。
この事はこの上ないアメリカへのメッセージとなった
「我々は何時でも英国を蹂躙出来る、英国の次はお前だ」と。
同年5月25日 占領下のハワイに一隻の戦艦が入港した、アメリカの秘密交渉団が到着したのだ。ここから長い交渉が始まった。
同年7月26日 大日本帝国とアメリカ合衆国は交渉に合意
同年8月15日、東京湾に浮かぶ戦艦ミズーリーにおいて大日本帝国と米国との間に講和条約が結ばれた。
合意内容は以下の通りである。
大日本帝国とアメリカ合衆国は単独での講和に合意する。
大日本帝国は占領中の太平洋上の諸島をアメリカ合衆国に返還する。
アメリカ合衆国は大日本帝国との不可侵条約を締結し連合国より離脱する。
大日本帝国は南北アメリカ大陸並びにそれを構成する諸島に対して如何な侵略的行動を行わない。
アメリカ合衆国は狼に旧大陸全てを差し出す事で命を長らえると言う屈辱的な条件での講和であった。
1946年8月15日 長きにわたる太平洋戦争は終結した、大日本帝国の勝利と言う形で。
これで全てが終わったのであろうか?そんな訳はない。
統合した住民の消化を待つ大日本帝国が、餓えた目で欧州をアフリカ大陸を見つめている。
アメリカ合衆国は押し寄せる欧州からの難民の群れの中から有用な人材を発見しようと躍起だ。
そう遠くない未来二つに大国は衝突するだろう、それも最悪な形で。
どちらが勝つにしろ、それはホモサピエンスと言う種の終焉を意味する事になるであろう。
1969年7月20日 人類は月に着陸した。南北アメリカ大陸の人類はこの報に歓喜した。世界の半分以上を制圧され新大陸に逼塞している人類にとって、これは久しぶりの明るいニュースなのだ。
ああそうとも明るいニュースだ、人類にとって明るいにニュースだ。ただし人類とは南北アメリカ大陸の住人たちだけを指すものでは無い。
旧大陸に潜む異形の種族も広義には人類である。このニュースは彼らにとっては待ちに待ったものなのだから。つまり収穫の時が来たのだ。
無数の人々が化け物たちの胃の腑に消え、大地はがん細胞の如く広がる腫瘍に飲まれたのだ。外側から見れば。
張本人である大日本帝国はのたうち回っていた。もう七転八倒の苦しみである。それはあたかも夏場の牡蠣で当たった時のようだ。
あれは苦しかった。本当に。死ぬかと思ったくらいだ。、、、、話を戻そう。
考えて見て欲しい、一億人超の人間で言語も思考様式も違う人間を10億人以上受け入れたのだ。混乱しないはずがない。
亜空間リンクを飛び交う多言語の嵐と記憶情報に集合意識はオーバーヒートしていた。
もしこの時アメリカ合衆国が、集合意識の中心目掛けて核兵器の集中攻撃を行っていたのなら、世界は救われていたのかもしれない。
だが、そうはならなかった、ダウンフォール作戦反対派がメディアに対して作戦の失敗をぶちまけたのだ。
連合国世論は沸騰した。
ホワイトハウスは作戦参加将兵の遺族に取り巻かれ、全米各地で戦争反対集会が開かれ、反対派と戦争継続派は各地で内乱寸前の暴動にまで及んでいた。
それはそうだろう、勝ちが決まっているからこそ、危険極まりない作戦に渋々賛成をしたものは多いのだ。それが蓋を開けてみれば大敗北、その上、ユーラシア大陸の半分が敵の手に落ちたなど誰が許せるものか。
明けて、同年4月1日、何とか、消化不良から立ち直った大日本帝国は、太平洋での攻勢を開始した。
目的はアメリカ合衆国を単独講和の席上に引きずり出すことだ。
サイパン、グアム、パラオ、トラック、ニューカレドニアの各拠点は順次陥落していった。
その様は時計の針を逆さまに回しているようだ。各地の守備隊は陥落の最中「日本軍からのメッセージを伝える、交渉に応ずるか、全てを失うかどちらかを選べ」との通信を本国に送っている。
この挑発にアメリカ合衆国は応じられない、連合国は単独での講和を許可していないのだ。自分で言い出した言葉が自分の首を絞めている、アメリカ首脳部はルーズベルト前大統領を絞め殺したく思っていた。
同月4月15日 ハワイ陥落、アメリカ太平洋支配の牙城の陥落は西海岸にパニックをもたらした。
明日にでも日本軍が上陸してくるかもしれない。遠く太平洋の向こう側に追いやった戦争が戻ってきたのだ。
同年5月2日 モスクワを進発した巨人の群れは欧州に襲い掛かった。東欧、中欧は瞬く間に崩壊しベルリンを制圧した日本軍はフランス国境で停止した、なおベルギー、オランダは陥落している。
同年5月11日 継戦か和平か揺れるアメリカに衝撃が走る。ダウニング街10番地にお住いのウィンストン・チャーチル氏の自宅を、二匹の巨大蝙蝠が襲ったのだ。
巨大蝙蝠の顔は、混乱の中処刑し損ねたヘルマン・ゲーリング航空大臣とハインリヒ・ヒムラー親衛隊長官の顔をしていた。
ぎこちない笑みを浮かべるウィンストン・チャーチル氏を両側から挟んだ両名は、にこやかに駆け付けた、新聞記者の取材に答えた後、追撃する警察と、軍を蹴散らしながら優々と空へと去って行った。
この事はこの上ないアメリカへのメッセージとなった
「我々は何時でも英国を蹂躙出来る、英国の次はお前だ」と。
同年5月25日 占領下のハワイに一隻の戦艦が入港した、アメリカの秘密交渉団が到着したのだ。ここから長い交渉が始まった。
同年7月26日 大日本帝国とアメリカ合衆国は交渉に合意
同年8月15日、東京湾に浮かぶ戦艦ミズーリーにおいて大日本帝国と米国との間に講和条約が結ばれた。
合意内容は以下の通りである。
大日本帝国とアメリカ合衆国は単独での講和に合意する。
大日本帝国は占領中の太平洋上の諸島をアメリカ合衆国に返還する。
アメリカ合衆国は大日本帝国との不可侵条約を締結し連合国より離脱する。
大日本帝国は南北アメリカ大陸並びにそれを構成する諸島に対して如何な侵略的行動を行わない。
アメリカ合衆国は狼に旧大陸全てを差し出す事で命を長らえると言う屈辱的な条件での講和であった。
1946年8月15日 長きにわたる太平洋戦争は終結した、大日本帝国の勝利と言う形で。
これで全てが終わったのであろうか?そんな訳はない。
統合した住民の消化を待つ大日本帝国が、餓えた目で欧州をアフリカ大陸を見つめている。
アメリカ合衆国は押し寄せる欧州からの難民の群れの中から有用な人材を発見しようと躍起だ。
そう遠くない未来二つに大国は衝突するだろう、それも最悪な形で。
どちらが勝つにしろ、それはホモサピエンスと言う種の終焉を意味する事になるであろう。
1969年7月20日 人類は月に着陸した。南北アメリカ大陸の人類はこの報に歓喜した。世界の半分以上を制圧され新大陸に逼塞している人類にとって、これは久しぶりの明るいニュースなのだ。
ああそうとも明るいニュースだ、人類にとって明るいにニュースだ。ただし人類とは南北アメリカ大陸の住人たちだけを指すものでは無い。
旧大陸に潜む異形の種族も広義には人類である。このニュースは彼らにとっては待ちに待ったものなのだから。つまり収穫の時が来たのだ。
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