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ようこそアメリカ!この不条理の世界に!
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戦時と言う中でも、和やかな朝のひと時を過ごす事が出来る、特権的身分を享受するアメリカ合衆国の人々は、その日、コーヒーを吹き出し咽こんだ後、目を擦ってもう一度新聞を読み直した。
「大陸反抗作戦失敗!ロバート・キャパ氏、衝撃の写真を公開!ボーイズ、アイスクリームに殺される!」
「文豪アーネスト・ヘミングウェイ氏、語る!「これは真実!!ドイツはジャップから新兵器を手にした!」」
「トラファルガー広場、スパムで埋まる!」
「大英帝国博物館、フィッシュアンドチップスの前に沈没!」
「紅茶の津波に飲まれる人々!チャーチル首相行方不明!」
「大悪臭再び!腐敗に飲まれる大ロンドン!市内は麻痺状態!死者多数!行方不明者算定できず!」
「ウエストミンスター大聖堂、揚げ物の重さに耐えきれず倒壊!」
「シュナップスの雨がポーツマス軍港を襲う!各地の軍港にも酒火災!弾薬庫各地で誘爆」
「ヒトラー総統、英国に降伏を迫る!受け入れなければ、英国全土をスターゲージパイが襲うと脅迫!」
そして、人々は再度紙面を眺めた後、無言で新聞社に抗議の電話を掛ける為、受話器を取った。
「ふざけてんのか!」
「購読料返せ!」
「何時からワシントンポストは三流紙になった!」
「戦時なんだぞ!おふざけは止めろ!」
「スターゲージパイってなんだ?ジャガイモの新兵器の暗喩か?」
抗議の嵐が全米各地の新聞社を襲うが、真実なのだからしょうがない。
BBCもABCもニューヨークタイムスも、現地の特派員は必死に、前代未聞の連合国の危機を伝えている。
アメリカ合衆国の善良な市民たちが、半信半疑ながら、兎も角も大英帝国が何がしかの攻撃をドイツから受け、崩壊の瀬戸際に有ると理解したのは、大統領からの緊急ラジオ談話が発表されてからであった。
内容は衝撃的の一言、新聞の記事は真実であり、大陸反抗作戦は失敗し、英米連合軍は英本土に撤退した。また、英本土も生物的?兵器群の猛攻を受けつつあり、チャーチル首相はその爆撃により死亡したと言うのだ。
「「「ワッツアファック!オーマイゴッド!どうすんだよ!」」
そうであろう。大戦も終盤に掛かろうと言う1944年。大日本帝国はご自慢の海軍を失いつつ在り、ナチスドイツはソ連にひき殺され様としている筈だったのだ。
それがこれ。それも理由は食い物の雨が降ってきたから負けました。
市民の怒るまい事か、怒号を上げてホワイトハウスの前に抗議に行く奴だっている。
米国だって辛いのだ。甘い物だって手に入りにくくなり、塩辛いポップコーンばかりが店先に並び、女だって祖国の勝利に駆り出され汗を流し、買いたくもない戦時国債を御国の為だと思って買っている。
負けたならまだ良い。良くはないが勝利は水物。
情け無用の悪鬼であるナチスと、エンペラーの為なら死をも恐れぬ狂信者の群れに簡単に勝てるだなんて、誰も考えてはいない。
だが
「食い物に殺されました?舐めてんのか?」
「家の子が戦死したって聞いたわ!あの子は立派に戦って死んだのよね!そうと言って!何よ!この揚げ物爆撃って!家の子はイモに殺されたって言うの!」
「ナチどもの新聞を見たぞ!なんだこのお菓子の軍隊大惨敗って!俺は笑いものにする為に子供を戦地に送った訳ではない!どうなってるんだ!」
馬鹿みたいな状況で自分の子弟が死ぬとなったら黙っている者は少ない。
ドイツは盛んに、馬鹿げた死にざまを晒した者を嘲笑する記事を写真付きで新聞各紙に掲載し、プロパガンダに使っている。
曰く。
「お菓子の軍隊、甘い見通しで大惨敗!見よ!これが、べと漬く屍だ!」
「どうだ英国!お代わりどうぞ!今度はミルク付でどうだ?」
「味の分からぬお前らにはウナギゼリーで十分!ハギスもあるぞ!たらふく食え!」
「アメリカよ!次はお前だ!ケチャップ殺してやる!此奴の様にな!(どこで手に入れたか、フィッシュアンドチップスに埋もれて死んでいるチャーチルの写真)
これで怒らない者はいないだろう。そして恐怖しない者もだ。
相手は、訳の分からない事を、訳の分からない方法でとんでもない量ブチかまして来る。
笑い飛ばしたい。
「ミルク付けるなんざ、貧乏人の飲み方だ!それも知らんのかクラウツ!これだから蛮族は!」
位言ってやりたい。
でも明日にも自分の頭の上にステーキとビールの嵐が襲って来るかもしれない。相手はそれが出来る。
「対策を!」「どうすんだ!」「ハギス雨の防ぎ方なんてウエストポイントで教えてない!」「防空!搔き集めろ!一機たりとも本土に近寄らせるな!」「Uボートを殺せ!ボーグ級の生産急がせろ!」
訳も分からず奔走する合衆国人たち。そこに更に最悪のニュースが飛び込んでくる。
「サイパン島攻略失敗!我が方被害甚大!」
後書き編集
「大陸反抗作戦失敗!ロバート・キャパ氏、衝撃の写真を公開!ボーイズ、アイスクリームに殺される!」
「文豪アーネスト・ヘミングウェイ氏、語る!「これは真実!!ドイツはジャップから新兵器を手にした!」」
「トラファルガー広場、スパムで埋まる!」
「大英帝国博物館、フィッシュアンドチップスの前に沈没!」
「紅茶の津波に飲まれる人々!チャーチル首相行方不明!」
「大悪臭再び!腐敗に飲まれる大ロンドン!市内は麻痺状態!死者多数!行方不明者算定できず!」
「ウエストミンスター大聖堂、揚げ物の重さに耐えきれず倒壊!」
「シュナップスの雨がポーツマス軍港を襲う!各地の軍港にも酒火災!弾薬庫各地で誘爆」
「ヒトラー総統、英国に降伏を迫る!受け入れなければ、英国全土をスターゲージパイが襲うと脅迫!」
そして、人々は再度紙面を眺めた後、無言で新聞社に抗議の電話を掛ける為、受話器を取った。
「ふざけてんのか!」
「購読料返せ!」
「何時からワシントンポストは三流紙になった!」
「戦時なんだぞ!おふざけは止めろ!」
「スターゲージパイってなんだ?ジャガイモの新兵器の暗喩か?」
抗議の嵐が全米各地の新聞社を襲うが、真実なのだからしょうがない。
BBCもABCもニューヨークタイムスも、現地の特派員は必死に、前代未聞の連合国の危機を伝えている。
アメリカ合衆国の善良な市民たちが、半信半疑ながら、兎も角も大英帝国が何がしかの攻撃をドイツから受け、崩壊の瀬戸際に有ると理解したのは、大統領からの緊急ラジオ談話が発表されてからであった。
内容は衝撃的の一言、新聞の記事は真実であり、大陸反抗作戦は失敗し、英米連合軍は英本土に撤退した。また、英本土も生物的?兵器群の猛攻を受けつつあり、チャーチル首相はその爆撃により死亡したと言うのだ。
「「「ワッツアファック!オーマイゴッド!どうすんだよ!」」
そうであろう。大戦も終盤に掛かろうと言う1944年。大日本帝国はご自慢の海軍を失いつつ在り、ナチスドイツはソ連にひき殺され様としている筈だったのだ。
それがこれ。それも理由は食い物の雨が降ってきたから負けました。
市民の怒るまい事か、怒号を上げてホワイトハウスの前に抗議に行く奴だっている。
米国だって辛いのだ。甘い物だって手に入りにくくなり、塩辛いポップコーンばかりが店先に並び、女だって祖国の勝利に駆り出され汗を流し、買いたくもない戦時国債を御国の為だと思って買っている。
負けたならまだ良い。良くはないが勝利は水物。
情け無用の悪鬼であるナチスと、エンペラーの為なら死をも恐れぬ狂信者の群れに簡単に勝てるだなんて、誰も考えてはいない。
だが
「食い物に殺されました?舐めてんのか?」
「家の子が戦死したって聞いたわ!あの子は立派に戦って死んだのよね!そうと言って!何よ!この揚げ物爆撃って!家の子はイモに殺されたって言うの!」
「ナチどもの新聞を見たぞ!なんだこのお菓子の軍隊大惨敗って!俺は笑いものにする為に子供を戦地に送った訳ではない!どうなってるんだ!」
馬鹿みたいな状況で自分の子弟が死ぬとなったら黙っている者は少ない。
ドイツは盛んに、馬鹿げた死にざまを晒した者を嘲笑する記事を写真付きで新聞各紙に掲載し、プロパガンダに使っている。
曰く。
「お菓子の軍隊、甘い見通しで大惨敗!見よ!これが、べと漬く屍だ!」
「どうだ英国!お代わりどうぞ!今度はミルク付でどうだ?」
「味の分からぬお前らにはウナギゼリーで十分!ハギスもあるぞ!たらふく食え!」
「アメリカよ!次はお前だ!ケチャップ殺してやる!此奴の様にな!(どこで手に入れたか、フィッシュアンドチップスに埋もれて死んでいるチャーチルの写真)
これで怒らない者はいないだろう。そして恐怖しない者もだ。
相手は、訳の分からない事を、訳の分からない方法でとんでもない量ブチかまして来る。
笑い飛ばしたい。
「ミルク付けるなんざ、貧乏人の飲み方だ!それも知らんのかクラウツ!これだから蛮族は!」
位言ってやりたい。
でも明日にも自分の頭の上にステーキとビールの嵐が襲って来るかもしれない。相手はそれが出来る。
「対策を!」「どうすんだ!」「ハギス雨の防ぎ方なんてウエストポイントで教えてない!」「防空!搔き集めろ!一機たりとも本土に近寄らせるな!」「Uボートを殺せ!ボーグ級の生産急がせろ!」
訳も分からず奔走する合衆国人たち。そこに更に最悪のニュースが飛び込んでくる。
「サイパン島攻略失敗!我が方被害甚大!」
後書き編集
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