超神曼陀羅REBOOT

石動天明

文字の大きさ
65 / 232
第五章 覚醒める拳士

第七節 魔の性戯

しおりを挟む
 広い浴場だった。
 大きな湯船は、贅を凝らした金色で、ライオンの口からお湯が流れている。
 ぎらぎらとした、下品なくらいの光が、壁に埋め込まれた電球の明かりを反射していた。

 巨大な椅子が、浴場には設置されていた。男の胴体程の幅はありそうな肘掛けに、フットレスト。脚はまるでエンタシスの柱のように太かった。それだけ、その椅子を使用する人間の身体が大きく、そして重たいという事だ。

 紀田勝義――

 身長では一七〇を幾らか超えた程度である。だが、たっぷりの脂肪と筋肉を蓄えた天性の肉体は、数値以上の背丈を想起させた。体重は、四半トンに及ぶやもしれない。

 手足の指が、赤ん坊のようにころころとしている。掌も足の裏も分厚く、子供の頭くらいなら包み込んでしまえそうだ。
 でっぷりと飛び出した腹の中には、どれだけの黒々とした欲望が渦巻いているのだろうか。
 ガマガエルのように醜悪な顔をにんまりと歪めた男の股間には、インドで筋力トレーニングに使われる棍棒と言われても信じられるような大層なものが備えられていた。

 その紀田勝義の見下ろす前にマットが敷かれており、二人の男が、一人の女を挟んでいた。

 男と言っても、どちらともまだ若く、線も細い。女ものの服を着せてしまえば、女湯の暖簾を潜る事が出来そうな美男子であった。浴場の温度で火照った身体に、紫色の痣や緊縛痕などが色濃く浮かび上がっており、悶絶する女の身体がその上を撫でる都度、小さく眉を顰めていた。

 二人の美男子に挟まれる女――その両腕は頭の上に持ち上げられ、肘を折り畳まれて手首に縄を巻き付けられていた。両手を結んだ縄は、それぞれの縄尻を反対の足首に結び付けられている。

 横に開いて膝を曲げた右足首に左手首の縄が伸び、片膝立ちになった左脚に右手首からの縄が向かっている。この縄は身体の後ろから、腋の下を通って乳房の中心で交差して瘤を作り、肩に回されて背中と胴体を何度か行き来しつつ股間に這い、脚の付け根を通って太腿に巻き付き、そして足首に到達していた。

 丁度、股間の所で結び目が作られており、ぎちぎちと束縛された身体を僅かに揺するだけでも、包皮を剥き取られた陰核に瘤が触れる事となっていた。

 女の腹には卑猥な連想をさせる刺青が施されており、その所有権が紀田勝義にある事を証明していた。又、縄が作る瘤で虐められる女性器には縫い目が見受けられ、その中に小粒の真珠を埋め込まれているらしかった。

 その女を、美男子らが前後から挟んでいるのだった。

 彼らのものは、身動きの取れない女の前後を貫き、腰を前後させている。しかし、女と向き合った男は逸物を瘤で擦られるのに痛みを覚えているようであった。又、後ろの人物が腰を動かすたびに、女の孔からは褐色の半固体の物体が漏れ出している。

 入れている男も、入れられている女も、自ら望んでの事ではない。だが彼らの持ち主である紀田勝義がそうせよというのであれば、そうしなければならなかった。

 そんな光景を見て、紀田は自らのものを膨らませているのだった。

「もっと気合を入れてやれ」

 紀田が命令した。先端を包む不快な感触に動きを停滞させていた後ろの男が、怯えながらも腰の動きを速くする。すると益々、漏れ出す大便の量が増え始めている。数日に渡って排泄を禁じられた女に、予め浣腸液を注入した上で挿入させ、この刺激で脱糞させようとしているのだ。

 だが、どんなに嫌な事でも理不尽な命令でも、紀田勝義に逆らう事は出来なかった。逆らえばどのような目に遭うのか、三人は重々承知している。

 美野秋葉のように、なってしまう。

 いや、仮に紀田の命令を遵守し、従順な態度を取っていたとしても、彼の気が変わったならすぐに彼女と同じ運命を辿る事になるだろう。それを回避するべく、彼らは少しでも紀田に気に入られようと命令に従っていた。

 彼らも、秋葉と同じような境遇の人間であった。詳しい事情は兎も角、借金などによって生活苦に追いやられ、現状の打破を夢見て勝義会の誘いに乗り、紀田勝義のものとなっている。男女問わず行なわれる性的暴行に耐える事さえ出来れば、旨い料理や温かい寝床が用意されていたし、怪我や病気をしてもすぐに最先端の治療を受ける事が出来る。

 そうして支配欲を満たす事で、紀田勝義は自分の力の絶対性を知り、日々の生活の中に幸せを感じているのであった。

 と、浴場の出入り口のすりガラスの向こうに、紫色のシルエットが浮かび上がった。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...