いつかまた、バス停で。

おぷてぃ

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第3話「樹と千鶴」②

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    そんな時だった。

「じゃあ、アイス持ってくね!」明るく元気な女の子の声。

《ガタッ、バタン》

    何かを開け閉めする音がして、パタパタという足音と共に声の主が現れた。
    ひまわり畑の写真がプリントされた、白いTシャツに短パン。茶色い紳士用サンダルを履き、ヨットのワッペンが縫い付けられた紺の帽子を被っている。身長からして中学生くらいだろうか。なんともちぐはぐな格好が『夏休み満喫中』といった感じだ。
    大抵が年寄りばかりの田舎なので、どこかの家に親と共に帰省してきたのだろうと勝手な想像をした。

「あーっちー!」

    どかっとベンチに座ったかと思うと、早速アイスを頬張っている。足を組み、威張ったふうに背もたれに体を預ける。
    物珍しさと騒がしさからしばらくちらちらと様子を見ていると、女の子がこちらに顔を向けた。そして、ビニール袋をがさっとこちらに差し出しながら言った。

「食べる?」
「え?」

    突然の申し出に戸惑っていると、女の子はアイスの封を開け中身を取り出しながら続けた。

「はい」

    そう言って、取り出したアイスをこちらへと突き出した。別に開けてくれと言った覚えはない。数秒にらみ合っても、こちらへマイクのように向けたアイスを引っ込めるつもりは無いらしい。なので、しぶしぶ受け取ることにした。

「あ、ありがとう…ございます」礼を言いながら隣へ腰掛ける。
「どういたしまして」

    女の子はそう言うとまた前を向いて、しゃくしゃくと続きを食べ始めた。色味からして向こうはサイダー味で、こちらはコーラ味か。口を伝って清涼感が身体を駆け巡る。暑さが和らいで人心地ついた。なんだ、いい子じゃないか。変わってるけど。
    見知らぬ子どもにアイスを与えられ、並んで座ってそれを食べている。傍目はためにはどう映るだろうか。そんなことをぼんやり考えていた。

「…く。……よ」
「え?」

女の子が何かつぶやいた。上の空だったので、思わず聞き返す。

「それ、毒入ってるよ」
「ぶーーーっ。ぺっ!ぺっ!」理解と反射。
「毒!?おまっ!え?」

    慌てふためく様子を見て、女の子はけらけらと笑い出した。それを見て、一杯食わされたのだと気が付いた。

(なんてやつだ…)そんなことを思いながらも、アイスを手放しはしなかった。

「あのなぁ…人のことを、ましてや人生の先輩をそうやってからかうもんじゃないぞ」

取り乱した気恥ずかしさもあり、少しだけ威張って言ってみた。
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