いつかまた、バス停で。

おぷてぃ

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第7話「見上げた夜空」⑥

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「でも、まだまだこれからだしな。なんとでもなるよ」

    これは本心だった。知らず知らず、千鶴とのやり取りで毒気が抜かれている自分がいた。

「ふーん。まあ…頑張りな」
「お前こそな。宿題やって、歯磨いてとっとと寝ろよ」
「うっさい。名付け方乙女野郎」
「うるせえ。ジュース二本買い女」

「樹ってさあ、意地悪ってよく言われない?」
「言われないね」

    そんなやりとりの後、どちらともなくクスクス笑い出した。なにげなく夜空を見上げれば、今日はとても美しい星空だった。
    たった今気付いて、自分でも驚いた。悩んでることが馬鹿らしくなってきた。

「せっかく待っててやったというのに。つれないねえ」
「今日もたまたまなんだろ?」
「勉強がうまくいかなくて落ち込んでるであろう君に、おかえりを言ってあげたかったのさ」
「なんで落ち込んでる前提なんだよ」
「なんででしょーね」

    そう言うと、千鶴は立ち上がった。そして、『んー』と伸びをしながら言った。

「じゃあ…帰った帰った」
「ああ、言われなくてもそうするよ」

    バス停裏に停めた自転車を引っ張り出した。


「じゃあ…またな」
「またね。ばいばい」

    千鶴に見送られながら、今度こそ家路を急いだ。


「ただいまー…」

    ガラガラと玄関の引き戸をあける。ジジが玄関マットの上で丸くなって寝ていた。俺を待っていたのだろうか。抱き上げて、頭を撫でてやる。
    そして、どっしどっしという足音を連れ、父が現れた。その表情を見るに、すんなり『夕飯でも食え』とはいかない様子だ。俺は意を決してこう言った。

「テストの結果、Dだった…ごめん」

    俺はそう言って、深々と頭を下げた。その瞬間、後頭部に激痛がはしる。

「そこじゃねぇよ…馬鹿やろう…。ったく、心配させやがって」

    父はそう言って、のそのそと自室に戻って行った。

「ってー」

    後頭部をさすり、ジジを抱えたまま台所へ行って、遅めの夕飯を一緒に食べた。俺の分はしっかり用意されていた。その後風呂に入ってからは何も手をつけず、早めに休むことにした。
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