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第8話 心碎
しおりを挟むBL熱夏日記(ねつなつ にっき)
心碎 第8話
By 二月永 (イオルリョン)
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一言も発さずに私の後を追っていたユンスの喉元に剣を突きつけると、その場で立ち止まった。
「余が直々に聞こう。ありのままに申せ」
喉元に突きつけられた剣を避けるどころか、微動だにせず、何事もなかったかのように―
「訴状に申し上げた通りにございます」
「参議パク・ユンスは学問を極めんとする志が篤く、他国にて見聞を広めんとする ―そういうことか?」
「左様にございます、殿下」
たかがそんな理由で……
「答えをやろう」
私の傍を――
「許さぬ」
去ろうとしたのか……
「殿下……」
「この国のどこを探しても、お前ほどの見識を持つ者を見たことがない」
言わずとも、余の心を鏡のように映すのは、この国の空の下、お前ただ一人だけだ。
「お前が求める答えも、見たいと願うものも、宮の中でも外でも、すでに知るに足る」
「小臣が望むのは、将来この国の聖君となられる殿下のために、微力ながらもお力添えをすることにございます」
「……………」
「殿下には、この国の哀れな民を顧みられ、朝廷の公論をまとめ、国政をお執りになることに、一点の不足もあってはなりません。
ゆえに小臣は―」
「……何があろうとも傍にいる、と言わなかったか」
「……………」
「梅花園で、そう言わなかったか」
「……………」
「余の傍にいると」
By 朴允洙(パク・ユンス)
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あの時、
梅花園で私を見つめていた殿下の姿を、一時たりとも忘れたことはない。
上王殿下と世子殿下を失い、その深い悲しみに耐えていた我が主君の御顔を、どうして忘れることができようか。
込み上げる悲しみを抑え込む殿下の前で、私は何もして差し上げることができず、
心の奥底に秘めていた 深い愛が溢れ出してしまうことを恐れ、
代わりに臣下たちを口実に身を隠した。
「臣 朴允洙(パク・ユンス)、殿下の御前で誓います。必ず殿下の元へ戻ってまいります。」
殿下にとって必要な者として、殿下を支える力となる者として、
殿下にすべてを捧げる者として—
「この卑しい臣を、お信じくださいませ。」
「…………」
「殿下……」
「まったく、不忠の臣だな、允洙(ユンス) お前は]
そうおっしゃりながら、我が主君は優美で眩い輝きを放つ—
「母上が唯一、私に残してくださった遺品だ。」
透き通るような玉の指輪を—
「允洙( ユンス) この指輪を受け取ってくれ。」
「殿下、それはなりませぬ。このように貴い指輪を、どうして私などが—」
「お前もまた、私にとって大切な人だ。」
震える手で、震える心で—
「足の先ひとつ傷つけることなく、そのままの姿で私の元へ帰ってくることを約束する証だ。この指輪は。」
受け取り、指にはめてみる。
「よく似合っているな。」
そう微笑まれながら、殿下は遠ざかっていった。
その御体のひとつひとつを目に焼き付けて持ち帰ることができるなら、
影に潜みながら息を繋ぐことができるなら、
これ以上望むことはない—。
手渡された玉の指輪を胸に抱き、私は十八歳で母国を離れ、異国の地へ学びを求めに向かうこととなった。
後に無念さに苛まれ、自らを責めることになるとしてもㅡ
こうして、
熱夏国へ
旅立ったのだった。
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