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第六章 簒奪編
第117話 王宮の戦い
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王都の城門は、民衆の蜂起により開かれた。ミレーヌの軍は粛々と王都への突入を開始し、ブローリ公爵も、ミレーヌの軍が動いたのを見て、王都への突入を命じた。王都を守備していたカッツー王国の兵の多くは住民に虐殺されるか、逃げてしまい、一部は、ミレーヌやブローリ公爵に投降した。
予めミレーヌからの指示を受けていたゲオルクは、平民出身の自由兵たちに命じ、王都の住民に必要な物資を配給する場所を数か所設けさせる。配給する自由兵たちは、ミレーヌ公爵の慈悲である旨を大々的に宣伝し、民衆は銀髪の女性が自分たちの救世主であることを実感した。こうして、ミレーヌは、民衆の蜂起をなだめ、そして自分の印象操作を巧みに行った。
こうして民衆の支持を得たミレーヌは、王都の中心にある王宮を包囲する。遅れて到着したブローリ公爵が、ミレーヌの本陣にやってきた。
「王宮には、セリアやジュノイー侯爵などがいるのか……」
「ジュノイー侯爵は死んだそうです。死体はわからないみたいですが」
そして、ミレーヌはブローリ公爵に、王宮にはまだ五百から六百程度の兵がいるとの情報を伝えた。これは投降した騎士たちから集めた情報であった。
「そうか。降伏でも勧告するか?」
「いえ、降伏するような女ではないでしょう。もはや逃げ出すこともできません。王宮内には数千の兵がまだいるとは思いますが、一気に勝敗を決しましょう」
「相談なのだが、最初に王宮に突入してもよいか?」
ミレーヌに王都の民衆の慰撫をミレーヌに奪われたブローリ公爵は、内心焦っており、セリアを討ち果たすことで、ミレーヌと対等の立場になろうと思っていた。
そんな心中をみすかしたミレーヌであったが、おくびにも出さずに了承した。
「いいですわ。お任せします」
ミレーヌは微笑んでブローリ公爵に言った。ブローリ公爵が自陣に戻った後、ジャックはミレーヌに懸念を伝えた。
「ブローリ公爵が功を独り占めにする可能性がありますが、よろしいでしょうか?」
「無理に決まってるわ。だって、例の男がいるじゃない」
「確かに」
「それで、ジャック。悪いけど、ゲオルクを呼んできて。突入は彼の部隊にやらすわ」
ジャックは一礼してミレーヌの前から下がった。こうして王宮の突入作戦が始まった。
◇◆◇◆
セリアは、王宮の一室にいた。老執事のアルビンが主人に膝まづいて謝罪している。
「アルビン、お父様は?」
「民衆を宥めるために向かわれた後、消息不明です。残念ながら……」
「そう……」
強欲の主人は王軍の敗戦や王都を包囲などの報を聞くたびに気落ちし、以前の彼女とは思えないほど普通の女性に戻っていた。
「お嬢様、残念ながら、ここまでかと思います」
その言葉にセリアは覚悟を決めたようにアルビンに懇願した。
「……わかったわ。アルビン一つお願いがあるの」
「何でございましょうか?」
「この部屋には誰一人入れないで」
「畏まりました」
アルビンは、一礼して部屋を出た。そして残った部下たちにこの扉を死守することを厳命した。すると、部下の一人がアルビンに問いかけた。
「アルビン様、どちらへ?」
「そろそろ、お客様が玄関から来るようだから、出迎えに行ってくる。裏手の守りはどうか?」
「指示のとおり、残りの兵四百を回しました。あと入り口に家具などを積み上げ容易に侵入するのは難しいかと」
「よろしい」
その言葉に頷いたアルビンは、腰に携えた二つの剣を抜き、正門へ向かった。
◇◆◇◆
「これで、八度目だぞ。何をしている!」
本陣のテントで、ブローリ公爵は、報告に来た騎士に怒鳴った。公爵の手勢は、毎回百名規模で、王宮に八度挑んだが、その全てが撃退されていた。
部下が言うには、たった一人の剣士が行く手を阻んでいるとのことであった。その剣士は鎧もづけず執事の服装のまま、両手に剣を持った老人とのことであった。
「頭を使え! 銃を使えばよかろうに」
「それが、銃弾を死体などを盾にして防ぐ始末でして……。尋常な動きでありません」
「では、人数を増やせ」
「しかし、人数を増やしても被害が増えるばかりかと……」
すると、テントに入った部下が一礼して公爵に言上した。
「公爵様、ミレーヌ公爵様の使者がいらっしゃいました」
「通せ!」
しばらくして、髭を蓄えた中年の騎士がテントに案内され、公爵の前で跪いた。
「ミレーヌ公爵家の騎士団長のジャックと申します、ご苦労されているようですので、我らが助力させていただこうと思いますがいかがでしょうか?」
(助力だと……功を独り占めにするつもりか。そうはいっても、我が方の損害も馬鹿にならない。ここはミレーヌに、老剣士を始末させたのち同時に突入し、先にセリアの身柄を抑えるべきか)
公爵は、瞬時に損得勘定を終えると、鷹揚な笑みをジャックに向けた。
「おお、助かる。お申し出を感謝するとミレーヌ公爵にお伝えしてくれ」
こうして王宮攻略の選手は交代することとなった。
予めミレーヌからの指示を受けていたゲオルクは、平民出身の自由兵たちに命じ、王都の住民に必要な物資を配給する場所を数か所設けさせる。配給する自由兵たちは、ミレーヌ公爵の慈悲である旨を大々的に宣伝し、民衆は銀髪の女性が自分たちの救世主であることを実感した。こうして、ミレーヌは、民衆の蜂起をなだめ、そして自分の印象操作を巧みに行った。
こうして民衆の支持を得たミレーヌは、王都の中心にある王宮を包囲する。遅れて到着したブローリ公爵が、ミレーヌの本陣にやってきた。
「王宮には、セリアやジュノイー侯爵などがいるのか……」
「ジュノイー侯爵は死んだそうです。死体はわからないみたいですが」
そして、ミレーヌはブローリ公爵に、王宮にはまだ五百から六百程度の兵がいるとの情報を伝えた。これは投降した騎士たちから集めた情報であった。
「そうか。降伏でも勧告するか?」
「いえ、降伏するような女ではないでしょう。もはや逃げ出すこともできません。王宮内には数千の兵がまだいるとは思いますが、一気に勝敗を決しましょう」
「相談なのだが、最初に王宮に突入してもよいか?」
ミレーヌに王都の民衆の慰撫をミレーヌに奪われたブローリ公爵は、内心焦っており、セリアを討ち果たすことで、ミレーヌと対等の立場になろうと思っていた。
そんな心中をみすかしたミレーヌであったが、おくびにも出さずに了承した。
「いいですわ。お任せします」
ミレーヌは微笑んでブローリ公爵に言った。ブローリ公爵が自陣に戻った後、ジャックはミレーヌに懸念を伝えた。
「ブローリ公爵が功を独り占めにする可能性がありますが、よろしいでしょうか?」
「無理に決まってるわ。だって、例の男がいるじゃない」
「確かに」
「それで、ジャック。悪いけど、ゲオルクを呼んできて。突入は彼の部隊にやらすわ」
ジャックは一礼してミレーヌの前から下がった。こうして王宮の突入作戦が始まった。
◇◆◇◆
セリアは、王宮の一室にいた。老執事のアルビンが主人に膝まづいて謝罪している。
「アルビン、お父様は?」
「民衆を宥めるために向かわれた後、消息不明です。残念ながら……」
「そう……」
強欲の主人は王軍の敗戦や王都を包囲などの報を聞くたびに気落ちし、以前の彼女とは思えないほど普通の女性に戻っていた。
「お嬢様、残念ながら、ここまでかと思います」
その言葉にセリアは覚悟を決めたようにアルビンに懇願した。
「……わかったわ。アルビン一つお願いがあるの」
「何でございましょうか?」
「この部屋には誰一人入れないで」
「畏まりました」
アルビンは、一礼して部屋を出た。そして残った部下たちにこの扉を死守することを厳命した。すると、部下の一人がアルビンに問いかけた。
「アルビン様、どちらへ?」
「そろそろ、お客様が玄関から来るようだから、出迎えに行ってくる。裏手の守りはどうか?」
「指示のとおり、残りの兵四百を回しました。あと入り口に家具などを積み上げ容易に侵入するのは難しいかと」
「よろしい」
その言葉に頷いたアルビンは、腰に携えた二つの剣を抜き、正門へ向かった。
◇◆◇◆
「これで、八度目だぞ。何をしている!」
本陣のテントで、ブローリ公爵は、報告に来た騎士に怒鳴った。公爵の手勢は、毎回百名規模で、王宮に八度挑んだが、その全てが撃退されていた。
部下が言うには、たった一人の剣士が行く手を阻んでいるとのことであった。その剣士は鎧もづけず執事の服装のまま、両手に剣を持った老人とのことであった。
「頭を使え! 銃を使えばよかろうに」
「それが、銃弾を死体などを盾にして防ぐ始末でして……。尋常な動きでありません」
「では、人数を増やせ」
「しかし、人数を増やしても被害が増えるばかりかと……」
すると、テントに入った部下が一礼して公爵に言上した。
「公爵様、ミレーヌ公爵様の使者がいらっしゃいました」
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しばらくして、髭を蓄えた中年の騎士がテントに案内され、公爵の前で跪いた。
「ミレーヌ公爵家の騎士団長のジャックと申します、ご苦労されているようですので、我らが助力させていただこうと思いますがいかがでしょうか?」
(助力だと……功を独り占めにするつもりか。そうはいっても、我が方の損害も馬鹿にならない。ここはミレーヌに、老剣士を始末させたのち同時に突入し、先にセリアの身柄を抑えるべきか)
公爵は、瞬時に損得勘定を終えると、鷹揚な笑みをジャックに向けた。
「おお、助かる。お申し出を感謝するとミレーヌ公爵にお伝えしてくれ」
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