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第一章 神編
アルバ大森林
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ギルドカードはどうやら、魔力で表示を消すことが出来るみたいなので、全属性だけを消しておくことにした。いらぬトラブルを防ぐ為に。
城門の守衛にカードを見せ、更に走る速度を上げてアルバ大森林へ足を踏み入れた。
アルバ大森林はアルバ王国から二時間程走った場所にあり、薬草だけでなくゴブリンやウルフといった異世界ものの定番魔物はもちろん、奥へ進むと中級魔物のカウボアやダガーウルフなどが生息する。奥へ進む程、良質な素材が手に入る。しかし危険も付きまとう為、初級冒険者は手前で実践を積みランクを上げてから奥へと進む。でなければ、命を散らすことになるからだ。
「薬草も良いけど、上位の薬草を採取すればより、お金が手に入るよなぁ」
傍から見れば、命知らずと止められること間違いなしだが、そこはやはり「神なので」で、スルーすることにした。
鑑定しつつ上薬草だけを採取して、十本一束を百束は集めたかなというところで切り上げようと立ち上がると、奥から悲鳴が聞こえた。
空間認識で意識を悲鳴のした方へと向けると、すぐに原因がわかった。赤い毛で覆われた大きな猪に冒険者達が追われていた。赤い魔物は怒り狂っており、冒険者達は攻撃よりも逃げることを優先していた。このままではこちらに来てしまう為、僕は魔物の脳を貫くように小さい水球を高速発射した。
ヒュンッ
一撃で脳を貫かれた赤い魔物は地面を抉り、そしてその巨体は停止した。
僕はすぐにその場を離れ、閉めようとする守衛に待ったをかけて城門へ滑り込んだ。間に合うようにと使用した空間転移がなければ今頃、門の外で一人寂しく野営するところだった。
冒険者ギルドへ駆け込み、受付へ行くと平常運転らしいトリスさんがいたので、すぐに駆け寄った。
軽食スペースで豪快に酒を飲み、騒ぐ冒険者達の視線が背中に突き刺さる感覚を感じながら、ポーチから上薬草を取り出して置いた。
「鑑定させていただきます」
どう見ても引きつった笑顔を貼り付けて鑑定作業をするトリスさんに、僕はニコニコ笑顔で報酬を待った。
「こちらの上薬草は一束銀貨一枚ですので、百束で銀貨百枚となります」
「半分を金貨にして下さい」
お互いに笑顔で会話。
「金貨五枚と銀貨五十枚になります。それと、これから宿をお探しになると思いますのでこちらを」
そう言って渡してくれたのは、冒険者ギルドマークの封蝋がある白い封筒だった。封筒とお金を受け取りポーチに入れた僕は、ギルドを出て宿を探すべく空間認識を使用した。
窓から明かりが漏れ、賑やかな笑い声が響く宿に【空間把握】で空き状況を確認すると二階建てが多い中、唯一の三階建てのその宿屋は冒険者ギルドのすぐ隣にあった。
宿屋『羽休め』。
今日からしばらくお世話になるであろう宿屋の扉を引き、僕は足を踏み入れた。
城門の守衛にカードを見せ、更に走る速度を上げてアルバ大森林へ足を踏み入れた。
アルバ大森林はアルバ王国から二時間程走った場所にあり、薬草だけでなくゴブリンやウルフといった異世界ものの定番魔物はもちろん、奥へ進むと中級魔物のカウボアやダガーウルフなどが生息する。奥へ進む程、良質な素材が手に入る。しかし危険も付きまとう為、初級冒険者は手前で実践を積みランクを上げてから奥へと進む。でなければ、命を散らすことになるからだ。
「薬草も良いけど、上位の薬草を採取すればより、お金が手に入るよなぁ」
傍から見れば、命知らずと止められること間違いなしだが、そこはやはり「神なので」で、スルーすることにした。
鑑定しつつ上薬草だけを採取して、十本一束を百束は集めたかなというところで切り上げようと立ち上がると、奥から悲鳴が聞こえた。
空間認識で意識を悲鳴のした方へと向けると、すぐに原因がわかった。赤い毛で覆われた大きな猪に冒険者達が追われていた。赤い魔物は怒り狂っており、冒険者達は攻撃よりも逃げることを優先していた。このままではこちらに来てしまう為、僕は魔物の脳を貫くように小さい水球を高速発射した。
ヒュンッ
一撃で脳を貫かれた赤い魔物は地面を抉り、そしてその巨体は停止した。
僕はすぐにその場を離れ、閉めようとする守衛に待ったをかけて城門へ滑り込んだ。間に合うようにと使用した空間転移がなければ今頃、門の外で一人寂しく野営するところだった。
冒険者ギルドへ駆け込み、受付へ行くと平常運転らしいトリスさんがいたので、すぐに駆け寄った。
軽食スペースで豪快に酒を飲み、騒ぐ冒険者達の視線が背中に突き刺さる感覚を感じながら、ポーチから上薬草を取り出して置いた。
「鑑定させていただきます」
どう見ても引きつった笑顔を貼り付けて鑑定作業をするトリスさんに、僕はニコニコ笑顔で報酬を待った。
「こちらの上薬草は一束銀貨一枚ですので、百束で銀貨百枚となります」
「半分を金貨にして下さい」
お互いに笑顔で会話。
「金貨五枚と銀貨五十枚になります。それと、これから宿をお探しになると思いますのでこちらを」
そう言って渡してくれたのは、冒険者ギルドマークの封蝋がある白い封筒だった。封筒とお金を受け取りポーチに入れた僕は、ギルドを出て宿を探すべく空間認識を使用した。
窓から明かりが漏れ、賑やかな笑い声が響く宿に【空間把握】で空き状況を確認すると二階建てが多い中、唯一の三階建てのその宿屋は冒険者ギルドのすぐ隣にあった。
宿屋『羽休め』。
今日からしばらくお世話になるであろう宿屋の扉を引き、僕は足を踏み入れた。
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