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第一章 神編
会員制の噂
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「初めましてだ、アース殿。グランツ家当主で宰相のフォルタ・グランツという。娘が世話になっている。あぁ、このスイーツとやら美味かったよ」
真面目な顔で挨拶をする、宰相さん。
「そうですか、初めましてフォルタさん。ところでこの濃茶のアイス、僕が自宅に保管してたんですけど、何故グランツ家にあるのですか?」
こちらはニッコリ笑顔で対応。
「アクロ」
今まで静かだった彼女は宰相さんの低い声を聞き、ビクリと肩を震わせ大量の汗を流し目を白黒させる。
心当たりしかない彼女は、ガバッと机に額をつき叫んだ。
「ごめんなさい!」
ため息を吐き、娘の謝罪を横目で見つつ後は僕に任せると言う宰相さんの言葉に甘えることにした。
宰相さんはふと思い出したかのように、金色の縁取りをしたカードを上着のポケットから取り出した。
「書類整理を頼んでいたハズのある男がこれを手にしていたのだが、見覚えはないか?」
今度は僕が汗を流す番のようでカードにはハッキリと、アルシオン・フォン・アルバの文字が。
頼んだことを放り出してスイーツを注文しようとしたところを、宰相さんが見つけて没収したらしい。
「食の棚という店では、このスイーツが食べられるのか?」
指さすのはもちろん、濃茶アイス入りのケース。
あれー?甘いの嫌いってアクロから聞いたんだけどなー?
ジト目を向けるとスッと逸らされた。
フツフツと沸く苛立ちを抑えて平静を装う。
「このカードは、会員様限定で、夜お越しになる時の通行証になる上、店に行かずとも注文出来る代物なんです」
「貴族達の間で最近噂の、会員制飲食店とやらかな?」
この宰相さんどこまで知ってるんだろう。
というか情報源はどこだ?!
焦る僕の内心を読んだかのように宰相さんは、続きを言う。
「王妃様が貴族の茶会で話していたのを王城のメイドが聞き、私の元に届いたのだよ」
確かに、ミューズさんにもカードを渡したわ……。
そういえばこの間、チーズケーキのホール注文が来てたな。貴族の茶会とやらで出したんだろうか。
心ここに在らずの僕は、宰相さん用のカードを作り、アクロを連れてグランツ家を出た。
そのまま自宅に戻り、カイトに彼女を差し出した。
「やはりあなただったのか!!」
包丁片手にエプロン姿の怒るカイトに爆笑するアクロ。あぁ、今日も平和だ。
厨房で、トントンとリズム良く野菜をカットするカイト。涙目で笑いをこらえるアクロ。心を鬼にしてアクロに指示を出す僕。
どうか、このまま穏やかに時が流れますように。
真面目な顔で挨拶をする、宰相さん。
「そうですか、初めましてフォルタさん。ところでこの濃茶のアイス、僕が自宅に保管してたんですけど、何故グランツ家にあるのですか?」
こちらはニッコリ笑顔で対応。
「アクロ」
今まで静かだった彼女は宰相さんの低い声を聞き、ビクリと肩を震わせ大量の汗を流し目を白黒させる。
心当たりしかない彼女は、ガバッと机に額をつき叫んだ。
「ごめんなさい!」
ため息を吐き、娘の謝罪を横目で見つつ後は僕に任せると言う宰相さんの言葉に甘えることにした。
宰相さんはふと思い出したかのように、金色の縁取りをしたカードを上着のポケットから取り出した。
「書類整理を頼んでいたハズのある男がこれを手にしていたのだが、見覚えはないか?」
今度は僕が汗を流す番のようでカードにはハッキリと、アルシオン・フォン・アルバの文字が。
頼んだことを放り出してスイーツを注文しようとしたところを、宰相さんが見つけて没収したらしい。
「食の棚という店では、このスイーツが食べられるのか?」
指さすのはもちろん、濃茶アイス入りのケース。
あれー?甘いの嫌いってアクロから聞いたんだけどなー?
ジト目を向けるとスッと逸らされた。
フツフツと沸く苛立ちを抑えて平静を装う。
「このカードは、会員様限定で、夜お越しになる時の通行証になる上、店に行かずとも注文出来る代物なんです」
「貴族達の間で最近噂の、会員制飲食店とやらかな?」
この宰相さんどこまで知ってるんだろう。
というか情報源はどこだ?!
焦る僕の内心を読んだかのように宰相さんは、続きを言う。
「王妃様が貴族の茶会で話していたのを王城のメイドが聞き、私の元に届いたのだよ」
確かに、ミューズさんにもカードを渡したわ……。
そういえばこの間、チーズケーキのホール注文が来てたな。貴族の茶会とやらで出したんだろうか。
心ここに在らずの僕は、宰相さん用のカードを作り、アクロを連れてグランツ家を出た。
そのまま自宅に戻り、カイトに彼女を差し出した。
「やはりあなただったのか!!」
包丁片手にエプロン姿の怒るカイトに爆笑するアクロ。あぁ、今日も平和だ。
厨房で、トントンとリズム良く野菜をカットするカイト。涙目で笑いをこらえるアクロ。心を鬼にしてアクロに指示を出す僕。
どうか、このまま穏やかに時が流れますように。
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