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第二章 婚約破棄編
謝罪からの召喚!
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「大変、申し訳ございませんでした!!」
シャイニーの父親であり、ブラン白銀家の当主が見たことのない程に綺麗な土下座を披露。夫人らしき人や執事・使用人・メイドなどもちょび髭さんの真似をしている。彼らを見下ろすのは二人の若者で一人は腕を組んだシャイニー、もう一人は可哀想な人を見るような冷たい目を向けるヴァイス。二人は先程まで、牢に入れられていた夫婦の誤解を解き説得をしていたのだ。
「王国民に知れ渡っていることをアーテル国の先祖が勝手に捻じ曲げただけよ!!」
そんな風に彼女は言っていた気がする。
アーテル聖国は存在しない。
ちょび髭さん曰く国を出た翌日に、なだれ込んだ魔物の群れに耐えきれず城は崩れたらしい。遠くからでもその様子はよくわかり、早めに出て良かったと言っていた。
気になった聖典だが、城の入口近くに飾られていたので恐らく魔物によって切り裂かれているか、瓦礫で埋もれただろうとのこと。
「聖典がなくなりさえすれば」
そう呟くアグエイアスさんの目はとても冷たかった。
《アース様、今よろしいでしょうか》
頭に直接響いて聞こえる…これは念話か。声からして精霊王だと判断したけど、どうしたんだろう。
《珍しいね、アーテル国のこと?精霊のこと?》
《後者になります。闇の大精霊アビスと光の大精霊シャインから、アース様に召喚の願いがあり連絡することにしました》
《ん、わかったよ》
「あー、ゴホン。ちょっと良いかな」
咳払いをしつつ見回すと、ちょび髭さん周辺を含むかなり広い応接室内の全ての人が、僕の方に視線を向けた。
「今から呼ぶ人達がいるけど、不用意に近づいたり叫んだりしないで欲しい」
と言いつつ、ちょび髭さん達を見る。見られたことに対してか、しきりに首を上下に振り肯定を示していた。
「[召喚]闇の大精霊アビス、光の大精霊シャイン」
床に手をやると、闇と光の大精霊が魔法陣から姿を現した。
闇の大精霊アビスは鳥のような漆黒の翼に、額から伸びる二本の角。
光の大精霊シャインは鳥のような翼でありながら、しかし漆黒ではなく純白の翼で頭上に薄黄色の輪っかがあった。
『『感謝しますアース様』』
どうやら、僕ではなくここにいる者か特定の誰かに話があるっぽい雰囲気だ。
『!!!』
突然の魔法に驚いたのか、魔法陣から姿を現した明らかに人族ではない者達が言葉を発したからか、全員驚愕の表情を貼り付け固まった。
本能からか無意識かで即座に反応したのが四人。闇の大精霊を主とする優魔族のヴァイス君、光の大精霊を主とする天陽族のエルシャさん、風の大精霊を主とするハイエルフ族のリゲルさん、今代のアグエイアス国王は、直視しないよう頭を下げてその場で跪いていた。
「白い翼を持つのが、エルシャさんのような天陽族が仕える光の大精霊シャイン。漆黒の翼を持つのがヴァイス君のような優魔族が仕える闇の大精霊アビス。本来は下界…つまりこの世に来ることすらない、上位の存在だよ」
そうしてやっと、目上の者に礼をとらず直視し許しもなく立っていること、この無礼三セットに気いた残りの者達はいそいそと、跪く体勢をとった。
『クククッ、初見で優魔族、天陽族、ハイエルフ族、人族の王が反応するとはな。意外だったのが人族の王、お主だ』
『確かに、人種族以外は対応出来ると思いましたがさすが、国の王を名乗るだけはありますわ』
「誰かに話があるっぽい感じがするけど?」
『はい。我はそこの優魔族に』
『私は、人族のシャイ二ーに伝えることがございます』
二人は、何故自分達が?と思っているのだろうが、まぁ名前で察して欲しいとは思う。
シャイニーの父親であり、ブラン白銀家の当主が見たことのない程に綺麗な土下座を披露。夫人らしき人や執事・使用人・メイドなどもちょび髭さんの真似をしている。彼らを見下ろすのは二人の若者で一人は腕を組んだシャイニー、もう一人は可哀想な人を見るような冷たい目を向けるヴァイス。二人は先程まで、牢に入れられていた夫婦の誤解を解き説得をしていたのだ。
「王国民に知れ渡っていることをアーテル国の先祖が勝手に捻じ曲げただけよ!!」
そんな風に彼女は言っていた気がする。
アーテル聖国は存在しない。
ちょび髭さん曰く国を出た翌日に、なだれ込んだ魔物の群れに耐えきれず城は崩れたらしい。遠くからでもその様子はよくわかり、早めに出て良かったと言っていた。
気になった聖典だが、城の入口近くに飾られていたので恐らく魔物によって切り裂かれているか、瓦礫で埋もれただろうとのこと。
「聖典がなくなりさえすれば」
そう呟くアグエイアスさんの目はとても冷たかった。
《アース様、今よろしいでしょうか》
頭に直接響いて聞こえる…これは念話か。声からして精霊王だと判断したけど、どうしたんだろう。
《珍しいね、アーテル国のこと?精霊のこと?》
《後者になります。闇の大精霊アビスと光の大精霊シャインから、アース様に召喚の願いがあり連絡することにしました》
《ん、わかったよ》
「あー、ゴホン。ちょっと良いかな」
咳払いをしつつ見回すと、ちょび髭さん周辺を含むかなり広い応接室内の全ての人が、僕の方に視線を向けた。
「今から呼ぶ人達がいるけど、不用意に近づいたり叫んだりしないで欲しい」
と言いつつ、ちょび髭さん達を見る。見られたことに対してか、しきりに首を上下に振り肯定を示していた。
「[召喚]闇の大精霊アビス、光の大精霊シャイン」
床に手をやると、闇と光の大精霊が魔法陣から姿を現した。
闇の大精霊アビスは鳥のような漆黒の翼に、額から伸びる二本の角。
光の大精霊シャインは鳥のような翼でありながら、しかし漆黒ではなく純白の翼で頭上に薄黄色の輪っかがあった。
『『感謝しますアース様』』
どうやら、僕ではなくここにいる者か特定の誰かに話があるっぽい雰囲気だ。
『!!!』
突然の魔法に驚いたのか、魔法陣から姿を現した明らかに人族ではない者達が言葉を発したからか、全員驚愕の表情を貼り付け固まった。
本能からか無意識かで即座に反応したのが四人。闇の大精霊を主とする優魔族のヴァイス君、光の大精霊を主とする天陽族のエルシャさん、風の大精霊を主とするハイエルフ族のリゲルさん、今代のアグエイアス国王は、直視しないよう頭を下げてその場で跪いていた。
「白い翼を持つのが、エルシャさんのような天陽族が仕える光の大精霊シャイン。漆黒の翼を持つのがヴァイス君のような優魔族が仕える闇の大精霊アビス。本来は下界…つまりこの世に来ることすらない、上位の存在だよ」
そうしてやっと、目上の者に礼をとらず直視し許しもなく立っていること、この無礼三セットに気いた残りの者達はいそいそと、跪く体勢をとった。
『クククッ、初見で優魔族、天陽族、ハイエルフ族、人族の王が反応するとはな。意外だったのが人族の王、お主だ』
『確かに、人種族以外は対応出来ると思いましたがさすが、国の王を名乗るだけはありますわ』
「誰かに話があるっぽい感じがするけど?」
『はい。我はそこの優魔族に』
『私は、人族のシャイ二ーに伝えることがございます』
二人は、何故自分達が?と思っているのだろうが、まぁ名前で察して欲しいとは思う。
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