神様のお楽しみ!

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第三章 転生編

追放

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 ゆっくりと目を開けると、知らない天井だった。いや、知らない部屋だ。
 何故、ここにいるんだろうか。頭がボーっとして記憶が定まらない。
 その感覚も徐々に治っていき、俺の記憶が呼び起こされる。

 そうだ、俺は前世で屋上から飛び降りたんだ。

 それで、神様に会って……

 俺はベットからガバッと勢いよく起き上がった。外からガヤガヤした声が聞こえる。数人どころかもっと人がいそうだ。
 俺は自分自身に【鑑定】と唱える。


 名前 タイヨウ
 種族 人族
 年齢 十六歳
 属性 風属性
 スキル 鑑定、身体強化(補助)、テイム、念話、召喚

 お爺さんの言ってた通りだ。ならお爺さんはやっぱり神様だったのか。
 
 すると、扉を外からノックする音が聞こえた。鑑定結果をどうやって消すのかがわからないまま扉は開かれた。

 「おっ、起きたんだな。どっか痛むとこはあるか?」

 「いえ、大丈夫そうです」

 ガタイが良くて何かの制服をキッチリ着たおじさんが、椅子に座る。
 そうしておじさんは話し始めた。
 
 今いる場所は、ヒンセク国王都の冒険者ギルド内の療養部屋で、俺はAランクパーティー〈竜の牙〉のメンバー。重症を負いギルドに担がれて来た時は生死を彷徨っていたらしく、上級ポーションで傷を癒さなければ死んでいたそうだ。
 ポーション代は〈竜の牙〉のメンバーがそれぞれ出し合って支払ったそうだが、不満顔だったという。


 鑑定結果はどうやら自分自身にしか見えないようで、手で払うと消すことが出来た。
 記憶や外傷も問題ないので、療養部屋を出た俺は〈竜の牙〉が集まるテーブルへ向かった。





 「遅せぇーんだよ」

 「ご、ごめん」

 「つぅーかさぁ、何でウチらがあんたのポーション代払わないといけない訳?あんたが怪我したんだから、あんたが払いなさいよ」

 「確かに、おかしい」

 「大体、あの程度の攻撃で怪我を負うのがおかしいのです。私達はもうAランクパーティー、この〈竜の牙〉に弱者は必要ないと思うです」

 何を言ってるんだ?メンバーが傷を負ったら助け合うのがパーティーだろ?本に書いてあったぞ…前世のだけど。

 パンッ

 リーダーのネグロが手を叩き、注目を集めた。

 「よしタイヨウ、お前クビな。たかがデーモンスネークにやられるようなやつは、いらねぇ。消えろ!」

 「えっ、いや、ちょっと待てよ!」

 「何よ?事実でしょ。デーモンスネークなんてBランクでも倒せる魔物よ?」

 「お前は我々について来れなかっただろう。現に避けきれずに重症を負った。足でまといがいなければ確実に討伐出来ていた」

 「あれは、俺の身体強化スキルがあったから……」

 「身体強化スキルは自分自身にしか使えないのです。下手な嘘は身を滅ぼすです」

 四人の冷たい視線が俺に突き刺さる。
 お前の居場所なんてない。そう言われてる気がした。

 「俺の身体強化スキルがなければ、今までのようには、絶対に上手くいかない」

 すると四人は何がおかしかったのか、狂ったように笑い始めた。

 「負け犬が何か言ってるぜ、ショメル」

 「給料泥棒の間違いでしょ。ねぇガーダルもそうでしょ」

 「そうだな、肉の壁にもならん」

 「肉どころか、骨と皮しかないです」

 俺は彼らに背を向けて来た道を戻った。受付には部屋で説明してくれた男性が俺の方を見ていた。彼だけじゃない、さっきまでの騒がしさはなく、ギルド内は静かで多くの者が冷めた目で四人を見ていた。
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