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9話
ついに会食の日がやってきた。
玲司の両親と、弟と共に食事をする予定となっている。場所は高級ホテルのラウンジにあるレストラン。玲司はお酒を飲むため、タクシーで行くことになっている。
「結衣、嫌な思いをするかもしれないが、そこは我慢してくれ」
「うん、もちろん。そういう契約だもの」
多額の借金を肩代わりしてもらう代わりに、親族を黙らせるための婚約者になる。良家のお嬢さんとの縁談を熱望するご両親に対する、嫌がらせも兼ねているらしい。
それが私の役目だ。
倒産した取引先の娘と知られれば、嫌味の一つも言われるだろう。
だけど、それがなんだというのだろう。玲司は私の実家を救ってくれたのだから、そのぐらいは耐えて当然だ。
私はきっちりとドレスアップをして、髪を綺麗にまとめ上げ、メイクも丁寧に施した。せめて隙のない装いぐらいはしておきたい。
玲司に買ってもらったワンピースとバッグは真新しく綺麗で、高級ホテルのレストランにもふさわしい品格が備わっている。
そして——。
「結衣、準備は終わったか?」
リビングに現れた玲司もまた、正装に身を包んでいた。
「っ……!」
とんでもなく、見目麗しい男がそこにいた。髪はかっちりとセットされ、普段は降ろしている前髪が上げられている。スーツの襟は威厳のあるピークドラペル(剣襟)で、サテン地の光沢が高級感を醸し出している。
近づけばほのかにビターなフレグランスが香り、スラリとした長身と相待って大人の男の色気に満ちていた。
(わ、私、釣り合わなーい……!)
鏡を見て、玲司を見て、また鏡を見る。
最初に身繕いを終えた時は、「馬子にも衣装じゃない?」なんてるんるんしていたけれど、ファッションモデルさながらの玲司を見てしまうと、自分が見劣りしすぎて悲しくなってきた。
「どうした?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
全てに恵まれきった男を前に、凡人はひれ伏すしかないのだ。
私はカタコトで返事をすると、玲司を促して家を出た。
あらかじめ予約してあったタクシーに乗り込み、高級ホテルへと向かう。
「父は浩司、母は時子という。弟は祐司。両親ともに医者で、同じ医院を共同経営している。弟も医者だ」
タクシーの中で、ご家族についての情報をもらった。そういう家系の中で、起業した玲司の胆力と反骨精神に内心舌を撒く。
家族を黙らせるために契約結婚などという、突飛な発想に至ったのも、その家庭環境ゆえになのだろうか。
私が考え込んでいると、タクシーはホテルの車寄せに滑り込むように停まる。
「ありがとうございましたー」
タクシーから降りる時、玲司は自然な仕草で私に手を伸ばしてきた。その手を借りて、外に降りる。エスコートが身に染み付いているのは、育ちの良さゆえにか、本人の資質によるものか。
内心ちょっとドキドキしながらも、これから半年間付き合っている恋人らしく振る舞わなければならないのだからと平静を装う。
レストランに入り、店員に名前を告げると、座席に案内される。そこには、すでに玲司の家族が勢揃いしていた。
シルバーグレーの髪をしたダンディな男性と、紫色のワンピースに身を包んだ上品なご婦人。そして、玲司とよく似た顔の、メガネをかけた好青年。
「久しぶり、親父、お袋。あと、祐司も」
「お初にお目にかかります。玲司さんとお付き合いさせていただいております、水瀬結衣と申します」
まずは挨拶を、とお辞儀をする。
「ああ、初めまして。まずは堅苦しいことは抜きにして、座ってください」
玲司の父である浩司が、椅子を勧めてくれた。
全員が座席につくとコースが始まる。
まずは食前酒を飲みながら、互いに自己紹介を交わした。一見和やかだが、なんとなく空々しい雰囲気がテーブルに漂う。
軽い雑談なども交えて場が温まってくると、不意に祐司が口を開いた。
「それにしても、兄さんが結婚するだなんて突然だな。いつから付き合ってたの?」
「半年前からだ。取引先の会社のお嬢さんでな」
「まあ、じゃあ結衣さんは社長令嬢なのね」
来た。この話は、いつかはしなければいけない話だ。ご両親に私の実家のことを伝えるのは、玲司の希望でもある。
それがご両親への嫌がらせ目的だというのだから、気まずいことこの上ないけれど。
「い、いえ。……ええと、社長令嬢、だった、と言いますか」
「というと?」
「結衣の父親の会社は倒産しているんだ。それで結婚して俺が夫として個人負債を肩代わりすることにした」
「なんですって!?」
時子が大きな声をあげて、周囲の人々が何事かと振り返る。時子は気まずそうに首を振ると、改めて小声で問い詰め始めた。
「どういうことなの玲司。借金の肩代わりなんて」
「結婚を考えている恋人相手だ。当然のことだろう? 元々俺は親父よりも稼いでいるしな」
嫌味ったらしく玲司が笑う。
「玲司!」
時子が鋭く咎める。
先ほどの和やかな雰囲気とは違い、ピリピリと今にも破裂しそうな空気感だが、私にはこちらの方がよほど家族らしく見えた。
「やれ医学部に行け、起業はやめろ。そんな指示に従っていたら、年商二十億円企業なんて興せなかった。あんたたちの命令は間違いだらけだ。だから、今回も言うことを聞くつもりはない」
「玲司。いい加減にしなさい。結婚は遊びじゃないんだぞ」
むっつりと黙り込んでいた浩司が口を開く。
「結衣さん。申し訳ないが身をひいてはくれんかね。氷室家はあなたのような人が嫁ぐのにふさわしい家じゃない」
「確かにふさわしくはないかもな。結衣みたいな性格のいい女にこんなひん曲がった家は」
「玲司!」
いつも冷静な玲司が、珍しくトゲトゲした雰囲気でご両親を煽っている。玲司はこんなことがやりたくて、私に結婚を申し込んだのだろうか。
なんだかそれは、すごく——。
(可哀想)
いつも「いってらっしゃい」や「おかえりなさい」というと、「ああ」と返事をする玲司。彼は「いってきます」や「ただいま」が言えない性格らしかった。それは、この家庭環境に由来するものなのかもしれない。
「浩司さん、時子さん」
それまで黙っていた私が口を開く。お義父さん、お義母さんとは、流石に厚かましくて言えない。
「私は確かに玲司さんには釣り合わないと思います。でも、そちらの家庭も玲司さんには釣り合っていないと思います」
「はあ?」
「玲司さんは、いってらっしゃい、と言っても、いってきますが言えないんです。おかえりなさいって声かけても、ただいまって言ったことはありません。ご家庭でそういう声掛けはしていましたか? いってきますとか、ただいまが当たり前の環境を作れていましたか?」
「な、何を……」
時子が酷く動揺したように、瞳を揺らした。
「玲司さんは実直で、理不尽なことはしない、優しい方です。父の会社が倒産して困っていた私を助けてもくれました。そういう方に、冷たい家庭はふさわしくない。それだったら、私が玲司さんにふさわしい、温かい家庭を作ります」
「な……あなたに何がわかるというの! 私は玲司を立派な医者にしようと、頑張って育ててきたのに、裏切ったのはこの子よ! 親の気持ちも知らない、冷たい子なのよ!」
「親の気持ちを子供に押し付けるのは、愛ではないと思います」
あまりの言い草に、私は啖呵を切ってしまった。ただの契約結婚だというのに、随分と偉そうなことを言ってしまった。だけど、後悔はない。
「もういい、結衣。行こう」
玲司は私の手を取ると、席を立つように促した。
「玲司さん」
「ま、待ちなさい!」
「時子。もういい。玲司に私たちの気持ちなんてわからないさ」
いきり立つ時子を、浩司が止める。
私たちはそのまま、ホテルのエントランスまで歩いて行った。
「良かったの? 玲司さん」
「ああ。……随分スッキリした。ありがとう、結衣」
玲司は、私の手をそっと握ると、はにかむように柔らかく微笑んだ。
(……!)
いつも鉄面皮のような顔をしている玲司の、珍しく柔らかい微笑み。それは私の胸を強く打った。
多分、この瞬間から、私は玲司に惹かれ始めたのだ。
玲司の両親と、弟と共に食事をする予定となっている。場所は高級ホテルのラウンジにあるレストラン。玲司はお酒を飲むため、タクシーで行くことになっている。
「結衣、嫌な思いをするかもしれないが、そこは我慢してくれ」
「うん、もちろん。そういう契約だもの」
多額の借金を肩代わりしてもらう代わりに、親族を黙らせるための婚約者になる。良家のお嬢さんとの縁談を熱望するご両親に対する、嫌がらせも兼ねているらしい。
それが私の役目だ。
倒産した取引先の娘と知られれば、嫌味の一つも言われるだろう。
だけど、それがなんだというのだろう。玲司は私の実家を救ってくれたのだから、そのぐらいは耐えて当然だ。
私はきっちりとドレスアップをして、髪を綺麗にまとめ上げ、メイクも丁寧に施した。せめて隙のない装いぐらいはしておきたい。
玲司に買ってもらったワンピースとバッグは真新しく綺麗で、高級ホテルのレストランにもふさわしい品格が備わっている。
そして——。
「結衣、準備は終わったか?」
リビングに現れた玲司もまた、正装に身を包んでいた。
「っ……!」
とんでもなく、見目麗しい男がそこにいた。髪はかっちりとセットされ、普段は降ろしている前髪が上げられている。スーツの襟は威厳のあるピークドラペル(剣襟)で、サテン地の光沢が高級感を醸し出している。
近づけばほのかにビターなフレグランスが香り、スラリとした長身と相待って大人の男の色気に満ちていた。
(わ、私、釣り合わなーい……!)
鏡を見て、玲司を見て、また鏡を見る。
最初に身繕いを終えた時は、「馬子にも衣装じゃない?」なんてるんるんしていたけれど、ファッションモデルさながらの玲司を見てしまうと、自分が見劣りしすぎて悲しくなってきた。
「どうした?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
全てに恵まれきった男を前に、凡人はひれ伏すしかないのだ。
私はカタコトで返事をすると、玲司を促して家を出た。
あらかじめ予約してあったタクシーに乗り込み、高級ホテルへと向かう。
「父は浩司、母は時子という。弟は祐司。両親ともに医者で、同じ医院を共同経営している。弟も医者だ」
タクシーの中で、ご家族についての情報をもらった。そういう家系の中で、起業した玲司の胆力と反骨精神に内心舌を撒く。
家族を黙らせるために契約結婚などという、突飛な発想に至ったのも、その家庭環境ゆえになのだろうか。
私が考え込んでいると、タクシーはホテルの車寄せに滑り込むように停まる。
「ありがとうございましたー」
タクシーから降りる時、玲司は自然な仕草で私に手を伸ばしてきた。その手を借りて、外に降りる。エスコートが身に染み付いているのは、育ちの良さゆえにか、本人の資質によるものか。
内心ちょっとドキドキしながらも、これから半年間付き合っている恋人らしく振る舞わなければならないのだからと平静を装う。
レストランに入り、店員に名前を告げると、座席に案内される。そこには、すでに玲司の家族が勢揃いしていた。
シルバーグレーの髪をしたダンディな男性と、紫色のワンピースに身を包んだ上品なご婦人。そして、玲司とよく似た顔の、メガネをかけた好青年。
「久しぶり、親父、お袋。あと、祐司も」
「お初にお目にかかります。玲司さんとお付き合いさせていただいております、水瀬結衣と申します」
まずは挨拶を、とお辞儀をする。
「ああ、初めまして。まずは堅苦しいことは抜きにして、座ってください」
玲司の父である浩司が、椅子を勧めてくれた。
全員が座席につくとコースが始まる。
まずは食前酒を飲みながら、互いに自己紹介を交わした。一見和やかだが、なんとなく空々しい雰囲気がテーブルに漂う。
軽い雑談なども交えて場が温まってくると、不意に祐司が口を開いた。
「それにしても、兄さんが結婚するだなんて突然だな。いつから付き合ってたの?」
「半年前からだ。取引先の会社のお嬢さんでな」
「まあ、じゃあ結衣さんは社長令嬢なのね」
来た。この話は、いつかはしなければいけない話だ。ご両親に私の実家のことを伝えるのは、玲司の希望でもある。
それがご両親への嫌がらせ目的だというのだから、気まずいことこの上ないけれど。
「い、いえ。……ええと、社長令嬢、だった、と言いますか」
「というと?」
「結衣の父親の会社は倒産しているんだ。それで結婚して俺が夫として個人負債を肩代わりすることにした」
「なんですって!?」
時子が大きな声をあげて、周囲の人々が何事かと振り返る。時子は気まずそうに首を振ると、改めて小声で問い詰め始めた。
「どういうことなの玲司。借金の肩代わりなんて」
「結婚を考えている恋人相手だ。当然のことだろう? 元々俺は親父よりも稼いでいるしな」
嫌味ったらしく玲司が笑う。
「玲司!」
時子が鋭く咎める。
先ほどの和やかな雰囲気とは違い、ピリピリと今にも破裂しそうな空気感だが、私にはこちらの方がよほど家族らしく見えた。
「やれ医学部に行け、起業はやめろ。そんな指示に従っていたら、年商二十億円企業なんて興せなかった。あんたたちの命令は間違いだらけだ。だから、今回も言うことを聞くつもりはない」
「玲司。いい加減にしなさい。結婚は遊びじゃないんだぞ」
むっつりと黙り込んでいた浩司が口を開く。
「結衣さん。申し訳ないが身をひいてはくれんかね。氷室家はあなたのような人が嫁ぐのにふさわしい家じゃない」
「確かにふさわしくはないかもな。結衣みたいな性格のいい女にこんなひん曲がった家は」
「玲司!」
いつも冷静な玲司が、珍しくトゲトゲした雰囲気でご両親を煽っている。玲司はこんなことがやりたくて、私に結婚を申し込んだのだろうか。
なんだかそれは、すごく——。
(可哀想)
いつも「いってらっしゃい」や「おかえりなさい」というと、「ああ」と返事をする玲司。彼は「いってきます」や「ただいま」が言えない性格らしかった。それは、この家庭環境に由来するものなのかもしれない。
「浩司さん、時子さん」
それまで黙っていた私が口を開く。お義父さん、お義母さんとは、流石に厚かましくて言えない。
「私は確かに玲司さんには釣り合わないと思います。でも、そちらの家庭も玲司さんには釣り合っていないと思います」
「はあ?」
「玲司さんは、いってらっしゃい、と言っても、いってきますが言えないんです。おかえりなさいって声かけても、ただいまって言ったことはありません。ご家庭でそういう声掛けはしていましたか? いってきますとか、ただいまが当たり前の環境を作れていましたか?」
「な、何を……」
時子が酷く動揺したように、瞳を揺らした。
「玲司さんは実直で、理不尽なことはしない、優しい方です。父の会社が倒産して困っていた私を助けてもくれました。そういう方に、冷たい家庭はふさわしくない。それだったら、私が玲司さんにふさわしい、温かい家庭を作ります」
「な……あなたに何がわかるというの! 私は玲司を立派な医者にしようと、頑張って育ててきたのに、裏切ったのはこの子よ! 親の気持ちも知らない、冷たい子なのよ!」
「親の気持ちを子供に押し付けるのは、愛ではないと思います」
あまりの言い草に、私は啖呵を切ってしまった。ただの契約結婚だというのに、随分と偉そうなことを言ってしまった。だけど、後悔はない。
「もういい、結衣。行こう」
玲司は私の手を取ると、席を立つように促した。
「玲司さん」
「ま、待ちなさい!」
「時子。もういい。玲司に私たちの気持ちなんてわからないさ」
いきり立つ時子を、浩司が止める。
私たちはそのまま、ホテルのエントランスまで歩いて行った。
「良かったの? 玲司さん」
「ああ。……随分スッキリした。ありがとう、結衣」
玲司は、私の手をそっと握ると、はにかむように柔らかく微笑んだ。
(……!)
いつも鉄面皮のような顔をしている玲司の、珍しく柔らかい微笑み。それは私の胸を強く打った。
多分、この瞬間から、私は玲司に惹かれ始めたのだ。
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