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39話
しおりを挟む……昨日は、本当に長い夜だった。
朝、熱も下がったので、カナタはいつもどおり会社に行った。スーツに着替えているのを横から見つめながら、
「もし体調が悪くなったら、無理しないで、また早退して帰って来るんだよ」
と声をかけたら、とても驚いたような顔でこちらを見た。すっかり私に嫌われたと思っていたんだろうな、と美琴は考える。
そうではないのが自分でも不思議だった。いっそ嫌いになれたら楽なのに、とも思う。カナタは色々とねじれた人間だけど、そのために人道を外れたひどいこともしてしまうけれど、美琴はなぜかどうしても、彼を心底憎んだり嫌ったりすることができない。それがこの夜を越えて、美琴が出したひとつの結論だった。
ベッドに繋がれたまま身をよじったら、その反動で、中からなにかが溢れ出る感覚があった。カナタが昨日、吐き出したものだ。こんなことは初めてだった。
……きっとカナタは、なにもかも壊してしまいたかったんだろう。自分の想いも、私の気持ちも。
昨晩カナタは美琴を犯しながら、何度も何度も、結婚しよう、と囁いた。それが怖いと感じる反面で、嬉しかったような気もする。美琴もやっぱりどこかおかしくなってしまっているのだ。
◆
「ねえ、やめて、やめてっ」
みじろぎするたび、ガチャガチャと手錠がこすれる音がする。
カナタはいつになく乱暴で、その乱暴さに美琴は酷く感じていた。ここに来てからというもの、色々と身体に教え込まれてしまったらしい。
規則的に腰を打ちつけながら、カナタが美琴の耳元に口をつける。
「あ……やばい。すげ、気持ちいい」
「や、だ……っ、んん、あはぁっ」
あたたかい息が耳にかかりぞくぞくしてしまう。そのとき、カナタは初めて生のまま挿入した。やっぱり怒っていたのだろうか。美琴のことを傷つけることで自分も傷つきたかったのかもしれない。それでも美琴は、その狂いそうなほどの快感に、なんとか正気を保つことで精一杯だった。
「このまま出していい?」
「え?だめえっ!やっ、ぁぁん、やだあっ」
慌てて腰をずらそうとするが強く抑え込まれてしまう。中がさらに潤うのを感じた。こんなこと絶対にだめだと頭ではわかっていても、身体は興奮してもっともっとと求めている。
「んん……美琴、イきそう。好きだよ」
「ね、だめ、抜いて……赤ちゃんできちゃうっ」
「いいだろ、できても。結婚しよう」
「いや、やだ、そんなのっ、ああ、だめ」
喘ぎながら、自分は本当に嫌なんだろうか、と思った。私たちがねじれるのをやめて、真っ直ぐに人生を歩んでいくことができるようになったなら、私は彼とちゃんとした恋愛をして、ふたりで一緒に生きていきたい。それが、自分の本音なんじゃないか。
中に出そうとしたカナタが本気だったのかどうかはわからない。でも反射的に美琴は彼の腰を、離れないように押さえ込んでしまっていた。なんでそんなことをしたのか自分でもわからない。
でも奥の奥がどろりとした熱で満たされたとき、訪れたのは絶望ではなくて、不思議な充足感だった。
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