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第177話 夢
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~音咲華多莉視点~
エドヴァルド様が織原だった。
彼の歌を聴きながら、込み上げてくる想いが原動力となり、私の足を動かす。疲れなんて忘れてしまう。
お父さんはエドヴァルド様の歌声に足を止めている。
私は走りながら感じていた。今までの織原と今までのエドヴァルド様が私の中で一致していくのを。
あの発言も、この発言も。
全部学校生活やそれ以外で織原が感じて来たことをエドヴァルド様は言葉にしている。
『裏表あるなんて別にふつーじゃないっすか?』
織原がエドヴァルド様だった。
『ここまで活動できるのは音咲さんのような昔から観て頂いてる方達のおかげだと思っていて』
私は走る。
『この人となら弱さを共有できるかもってそう感じた時に、魅力を感じた』
風をきって走った。
『実はさ、今日友達が落ち込んでて、俺その友達に何にも言ってあげられなかったんだよね』
初めて歌枠をとった配信での言葉。あれは私に対しての言葉だった。そして今、また私の為に歌ってくれている。
──文句を言ってやりたい。今まで黙っていたことに多少怒りも湧いてくる。たけど、今一番伝えたいのは……
私に驚くたくさんの人と生徒達とすれ違いながら装飾の施された校門をくぐった。
──伝えたい言葉は……
体育館の舞台袖に私は到着した。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
愛美ちゃんが到着した私に駆け寄るが、私は暗い舞台袖から光るステージの中央で歌うエドヴァルド様である、織原朔真を見て言った。
「今の私がいるのは、あなたのおかげだよ……」
──────────────────────────────────────────────────
~織原朔真視点~
2番も終わり、最後のサビに行く間のブリッジが始まる。盛り上がるギターソロに僕は合わせながらファルセットとフェイクを織り混ぜた。それに合わせるように観客が盛り上がる。踊り出す生徒に、いつもしかめっ面の教師も笑顔で僕の歌を聴いていてくれている。
最後のサビに入った。
盛り上がったブリッジが静まり、手拍子だけでリズムを刻む。僕はそのリズムに合わせてマイクに歌声を乗せた。その時観客の殆どがその手拍子に同調して手を叩く、あの鏡三さんですら手を叩いてくれていたように見える。
そしてもう一度、ドラム、シンセサイザー、ギター、ベースが入り込み、最後のサビに入った。その時僕は熱狂する観客達の後ろに信じられないものを見てとる。母さんと父さんと妹の萌を見つけたのだ。3人はとても仲良さそうに身体を寄せ合い、僕に微笑みかける。
歌うことはやめなかった。その光景をいつまでも見ている為には、歌を止めてはいけないと思ったからだ。
胸一杯に心地のよい温かい感情が広がった。それは涙となって目から溢れた。その時ちょうど最後のサビを歌い終えた。
フェードアウトしていく音楽と共に、僕の家族達が消えていく。
──待って!!まだ行かないで!!父さん!母さん!!萌……
僕の想いをかき消すように、観客達が盛大な拍手を僕に送った。
魔法が解けた。
すると僕の心を二分するように大きく心臓が脈打つと同時に、激しい動悸が僕を襲った。
「ぅっ!!」
吐き気と目眩に襲われた僕は、舞台袖を見た。音咲さんがいる。苦しむ僕を心配そうに見つめていた。音咲さんを見ると、少しだけ楽になる。僕は最後の力を振り絞るようにノソノソと舞台袖へと戻った。
観客から僕が見えなくなるところまで来ると一ノ瀬さんと薙鬼流が僕を支えようと駆け寄る。
「先輩!?」
「織原君!?」
僕は彼女達の腕の中に体重を預けた。そして音咲さんが近付いてくる。
「ありがとう……」
僕からマイクを受け取り、輝くステージの中へ入っていった。再び拍手が聞こえた。ゲリラLIVEが始まったのだ。
僕はその場に横になる。
心臓の音がうるさいくらい鳴っていた。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫!?」
一ノ瀬さんと薙鬼流の声が遠くから聞こえるような気がした。そして音咲さんの歌が聴こえてくる。まるで子守り歌のように僕を意識の底へと誘った。
エドヴァルド様が織原だった。
彼の歌を聴きながら、込み上げてくる想いが原動力となり、私の足を動かす。疲れなんて忘れてしまう。
お父さんはエドヴァルド様の歌声に足を止めている。
私は走りながら感じていた。今までの織原と今までのエドヴァルド様が私の中で一致していくのを。
あの発言も、この発言も。
全部学校生活やそれ以外で織原が感じて来たことをエドヴァルド様は言葉にしている。
『裏表あるなんて別にふつーじゃないっすか?』
織原がエドヴァルド様だった。
『ここまで活動できるのは音咲さんのような昔から観て頂いてる方達のおかげだと思っていて』
私は走る。
『この人となら弱さを共有できるかもってそう感じた時に、魅力を感じた』
風をきって走った。
『実はさ、今日友達が落ち込んでて、俺その友達に何にも言ってあげられなかったんだよね』
初めて歌枠をとった配信での言葉。あれは私に対しての言葉だった。そして今、また私の為に歌ってくれている。
──文句を言ってやりたい。今まで黙っていたことに多少怒りも湧いてくる。たけど、今一番伝えたいのは……
私に驚くたくさんの人と生徒達とすれ違いながら装飾の施された校門をくぐった。
──伝えたい言葉は……
体育館の舞台袖に私は到着した。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
愛美ちゃんが到着した私に駆け寄るが、私は暗い舞台袖から光るステージの中央で歌うエドヴァルド様である、織原朔真を見て言った。
「今の私がいるのは、あなたのおかげだよ……」
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~織原朔真視点~
2番も終わり、最後のサビに行く間のブリッジが始まる。盛り上がるギターソロに僕は合わせながらファルセットとフェイクを織り混ぜた。それに合わせるように観客が盛り上がる。踊り出す生徒に、いつもしかめっ面の教師も笑顔で僕の歌を聴いていてくれている。
最後のサビに入った。
盛り上がったブリッジが静まり、手拍子だけでリズムを刻む。僕はそのリズムに合わせてマイクに歌声を乗せた。その時観客の殆どがその手拍子に同調して手を叩く、あの鏡三さんですら手を叩いてくれていたように見える。
そしてもう一度、ドラム、シンセサイザー、ギター、ベースが入り込み、最後のサビに入った。その時僕は熱狂する観客達の後ろに信じられないものを見てとる。母さんと父さんと妹の萌を見つけたのだ。3人はとても仲良さそうに身体を寄せ合い、僕に微笑みかける。
歌うことはやめなかった。その光景をいつまでも見ている為には、歌を止めてはいけないと思ったからだ。
胸一杯に心地のよい温かい感情が広がった。それは涙となって目から溢れた。その時ちょうど最後のサビを歌い終えた。
フェードアウトしていく音楽と共に、僕の家族達が消えていく。
──待って!!まだ行かないで!!父さん!母さん!!萌……
僕の想いをかき消すように、観客達が盛大な拍手を僕に送った。
魔法が解けた。
すると僕の心を二分するように大きく心臓が脈打つと同時に、激しい動悸が僕を襲った。
「ぅっ!!」
吐き気と目眩に襲われた僕は、舞台袖を見た。音咲さんがいる。苦しむ僕を心配そうに見つめていた。音咲さんを見ると、少しだけ楽になる。僕は最後の力を振り絞るようにノソノソと舞台袖へと戻った。
観客から僕が見えなくなるところまで来ると一ノ瀬さんと薙鬼流が僕を支えようと駆け寄る。
「先輩!?」
「織原君!?」
僕は彼女達の腕の中に体重を預けた。そして音咲さんが近付いてくる。
「ありがとう……」
僕からマイクを受け取り、輝くステージの中へ入っていった。再び拍手が聞こえた。ゲリラLIVEが始まったのだ。
僕はその場に横になる。
心臓の音がうるさいくらい鳴っていた。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫!?」
一ノ瀬さんと薙鬼流の声が遠くから聞こえるような気がした。そして音咲さんの歌が聴こえてくる。まるで子守り歌のように僕を意識の底へと誘った。
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