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prologue
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「好きです、私と付き合ってください」
聞き飽きた言葉を吐きながらありきたりな白い封筒を差し出す目の前の女を、黒木ひろは冷めきった目で見下ろしていた。
「悪いけど、俺そういうの断ってるんだよね」
ため息をつきたいのをぐっと堪えて、ひろは無愛想に応える。
そして傷ついたであろう女の表情を確認することもなく、そそくさと高校の屋上を去っていった。
階段を早足で下りながら、ひろは苛立たしげに呟いた。
「どいつもこいつも俺のことろくに知らないくせに告白してくんじゃねえよ」
ひろはまだ幼い頃から顔立ちが整っており、幼稚園の頃はたくさんの女の子から取り合いを繰り返される毎日だった。
小学校に入学すると持ち前の運動神経と頭脳に磨きがかかり、幼稚園の頃にも増して女の子からアプローチを受けるようになったが、小学校高学年になると自分に好意を持つ女子を疎ましく感じるようになった。
それ以来女性への興味が完全に失せてしまい、おまけにそれまで大人から褒められることでやり甲斐を感じていた勉強やスポーツにも関心をなくしたまま高校二年生の現在に至る。
しかし興味が失せて努力をしなくなったとはいえ成績は常にトップクラス、スポーツテストも教師が一目置く程のハイスコアを叩き出し男ぶりも段々良くなっていくひろに好意を寄せる女子は依然として多い。
そして好意を向けられる度に自分に対する女性の気持ちが軽薄に感じてしまい、さらに女性への不信感が募っていってしまう。
自分は恋を知らないまま、生きがいと呼べるものを見つけることのないまま一生を過ごすのだろうな、そんなことを考えながらひろは一階の廊下の曲がり角を進んだ。
その時、何かがものすごい勢いで自分の胸元に飛び込んできて、ひろは尻もちを付いた。
聞き飽きた言葉を吐きながらありきたりな白い封筒を差し出す目の前の女を、黒木ひろは冷めきった目で見下ろしていた。
「悪いけど、俺そういうの断ってるんだよね」
ため息をつきたいのをぐっと堪えて、ひろは無愛想に応える。
そして傷ついたであろう女の表情を確認することもなく、そそくさと高校の屋上を去っていった。
階段を早足で下りながら、ひろは苛立たしげに呟いた。
「どいつもこいつも俺のことろくに知らないくせに告白してくんじゃねえよ」
ひろはまだ幼い頃から顔立ちが整っており、幼稚園の頃はたくさんの女の子から取り合いを繰り返される毎日だった。
小学校に入学すると持ち前の運動神経と頭脳に磨きがかかり、幼稚園の頃にも増して女の子からアプローチを受けるようになったが、小学校高学年になると自分に好意を持つ女子を疎ましく感じるようになった。
それ以来女性への興味が完全に失せてしまい、おまけにそれまで大人から褒められることでやり甲斐を感じていた勉強やスポーツにも関心をなくしたまま高校二年生の現在に至る。
しかし興味が失せて努力をしなくなったとはいえ成績は常にトップクラス、スポーツテストも教師が一目置く程のハイスコアを叩き出し男ぶりも段々良くなっていくひろに好意を寄せる女子は依然として多い。
そして好意を向けられる度に自分に対する女性の気持ちが軽薄に感じてしまい、さらに女性への不信感が募っていってしまう。
自分は恋を知らないまま、生きがいと呼べるものを見つけることのないまま一生を過ごすのだろうな、そんなことを考えながらひろは一階の廊下の曲がり角を進んだ。
その時、何かがものすごい勢いで自分の胸元に飛び込んできて、ひろは尻もちを付いた。
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