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根暗な魔術師は片思いしていた幼馴染に溺愛される

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 死霊使いのネクロマンサーは、魔術師の間で忌み嫌われる存在だ。それは当人だけの問題でなく、遠い祖先にネクロマンサーがいても、その差別の対象になってしまう。たとえ本人が禁術に手を染めいなくても、だ。
 魔法使いであるマーサは、遠い先祖がネクロマンサーだということで魔術師連中に差別された育った。一門から一人でも死霊使いを出すと、同じく死霊使いにゆかりのある家と婚姻するのが通例だった。父母もそのまた祖父母もそうだったから、マーサもそうするのが当然だと思って育っていた。
 けれどもマーサが幼いころからひそかに片思いしていたのは、光の魔術を操るリュミエールだった。彼だけは唯一、マーサに優しく接してくれたし、いわれない中傷をされたときも彼だけが庇ってくれた。

 けれどもリュミエールは光の貴公子。その名にふさわしい陽光に透ける金髪と、空のように青い瞳を持っていた。容姿だけでなく家柄も何代か遡ると、古い王家にたどり着くという。
 かたやこちらは人々から罵られる呪われた家系。どう考えても思いが通じることがない。それでも彼のことをあきらめきれず、年頃になったマーサは彼を思って自分を慰めるのが習慣になっていた。
 
「マーサ、いい知らせがあるの。あなた、リュミエールと結婚出来るわよ」
「母上、冗談はやめて。え、冗談じゃないの?」

 そんな折、リュミエールとの縁談が持ち上がった。彼の父親が友人の借金を肩代わりして首が回らない状態であるというのだ。マーサの家は人々から忌み嫌われていたが、資産だけは人一倍あったのだ。
 身分が卑しいとされているのを逆手にとれば、普通の貴族ではできないとされる卑しい商売、例えば金貸しや普通の魔術師だと扱えない魔法触媒の取り扱いもできたからだ。
 マーサの思いを知っている母が、資金を援助する条件として縁談を持ち掛けたのだという。

「君とこんな形で結婚することになるなんてね」
 リュミエールは眉を寄せていた。その表情に、マーサは傷ついた。当然だ、彼は誰にだって優しい。マーサに向けられる優しさも、博愛であって特別な感情ではないのだ。

 そんな形で結婚したが、リュミエールはマーサには触れようとしなかった。彼は昔通り優しかったが、愛情をかけてくれることはない。悲しみの中で、いずれ夫婦の寝室も別になった。一人で寝るのはさみしくて、甘い妄想に縋ってしまう。やめなければ、と思うのに、リュミエールが優しく甘やかに自分を抱く妄想に耽るのがやめられない。幾度頭の中で作り出したリュミエールの抱かれながら、絶頂を迎えたかしれない。
「また、やっちゃった……」

 罪悪感を抱いている間にも、リュミエールとはいつも通り接していたつもりだった。

 ある日マーサはリュミエールと共に冒険者から持ち込まれた魔導書の解読をしていた。魔道の心得がないものは魔導書を読むことができないので、こうして時折鑑定の依頼があるのだ。本来ならばマーサ自らやるような仕事ではないのだが、純粋に趣味でやっているところがある。勉強熱心なリュミエールも時々貴重な魔導書が持ち込まれるのが嬉しいらしく、今日も二人で魔導書の解読に励んでいた。

 ふとちくり、と痛みが走ると、マーサの指から血が流れていることに気づく。おそらく紙できったのだろう。
 
 「マーサ、僕のハンカチを使っていいよ」
 「そんな、悪いわ」
 「大丈夫。遠慮しないでよ。幼馴染だろう?」
 
 ―― 幼馴染。夫婦だとはいってくれないのね。

 マーサは複雑な心境を抑えてそのハンカチを受け取り自室へと戻った。

 そうして持ち帰ったハンカチには、リュミエールの香水の匂いがした。息を吸い込むと、甘い匂いが鼻孔をくすぐる。
 マーサの身体はそれを嗅いでいるだけでじゅんっと熱くなる。

「リュミエール……」
 違う、かれはこんなことのために貸してくれたのじゃないのに。
 でも下肢の奥がきゅんきゅんとうずくのを止められない。
 マーサはいけないと思いながらも、つい自分の秘所にふれてしまう。そこはもうすでに下着を濡らすほどに潤んでいた。
「ああ……だめなのに……」
 かりっ。
 布越しにクリトリスを引っ掻いた瞬間、稲妻のような快感が背筋を駆け上がった。
「あっ!ああん!」
マーサは思わず声を上げてしまった。慌てて口を塞ぐものの、一度あふれ出したものは止まらない。
「あぁっ!リュミエール、リュミエールぅう!!」
マーサは夢中になって自分の秘所をまさぐる。いつしか下着の中に手を入れ直接触りながら、もう片方の手で胸まで揉み始めた。
「あっ!そこぉ!!いいのぉおお!!!」
 乳首を摘まんだ瞬間、頭が真っ白になるほどの快楽が襲ってきた。マーサはそのまま絶頂を迎える。しかしそれだけでは満足できず、もっと刺激を求めて指の動きが激しくなる。そしてついに直接クリトリスに触れようとした時だった。
 ガチャリ。
 突然扉が開かれ、マーサは凍り付いたように動きを止める。そこには呆然と立ち尽くすリュミエールの姿があった。その片手にはマーサが先週貸した魔導書がある。きっとそれを返しに来たのだろう。しかし、そんなことは今どうだってよかった。
「……」
「……」
数秒の間、二人は無言のまま見つめ合っていた。先に動いたのはリュミエールの方だった。彼はつかつかと部屋に入ると、後ろ手にドアの鍵をかけた。
「え?あの……」
戸惑っているうちにベッドに押し倒される。マーサを見下ろすリュミエールの目は完全に据わっていた。
「君は不本意で、僕と結婚したのだと思っていたけれど、誤解だったみたいだね。まったく、今まで我慢していたのがバカみたいだ」
リュミエールの手が伸びてきて、マーサの服を脱がせる。続いてマーサの下着に手をかけると一気に引きずり下ろした。濡れそぼったそこはぬらぬらと光っていて、今までマーサがしていたことを如実に物語っている。
「い、いや、見ないで……」
こんないやらしい女だって知られたら、嫌われてしまう。マーサは必死に足を閉じようとするけれど、リュミエールの力が強くてびくともしない。そのまま足を大きく開かされると、恥ずかしい部分が丸見えになってしまった。
「すごいね……。もうぐしょぐしょじゃないか」
「ひゃうん!?」
いきなり敏感な肉芽を弾かれて腰が大きく跳ね上がる。それを押さえつけるようにしてリュミエールの顔がそこに近づいてきた。
「やめて!お願いだから、そこは汚いから!」
「どうして?すごく綺麗だよ」
「ひゃ!」
ぺろりと舐め上げられて悲鳴を上げる。舌先でつつかれた後、ざらついた表面を押し付けられるとたまらなく気持ちよかった。リュミエールはさらに尖らせた舌先を差し込むと、中で小刻みに動かしてきた。
「ふあぁん!だめぇ!そんなところ吸っちゃダメェエ!!」
あまりに強い快感に涙目になりながら訴える。だがリュミエールは聞いているのかいないのか、さらに強く吸い付いてきた。
「ああん!またイクッ!イッちゃううう!!」
再び絶頂を迎えたマーサだったが、今度はリュミエールは顔を上げなかった。それどころかマーサの太ももを抱え込み、より深く口内へ迎え入れる。そして同時に指でクリトリスを刺激し始めた。
「ああーっ!もう無理ぃ!おかしくなるぅ!」
「いいよ、なっても。僕しか見てないし」
「だめっ、そんなこと言われたらぁ!」
とどめのように歯で軽く噛まれる。それが決定打となってマーサは再び達してしまった。
「あ……ああ……はぁ……」
放心状態のマーサの秘裂をリュミエールの指が割り開く。どろりとした蜜がそこからこぼれ落ちていく。
「可愛いよ、マーサ。もしかして、いつも僕のことを想って自分を慰めているのかい?」
「……っ!」
「図星かな?嬉しいなぁ……」
リュミエールは幸せそうに笑うと、愛液まみれの指で陰核に触れた。優しく撫でられているだけなのに、全身に甘い痺れが広がっていく。
「ここが好きなんだね?」
「あ……あ♡」
リュミエールは指で秘豆をつまむと、くりゅっと押し潰す。その瞬間、マーサは甲高い声を上げて絶頂に達した。
「あはは、イキっぱなしだ」
「やっ、ああっ……♡」
「ねえ、マーサ。君のここに僕のものを挿れたいな」
リュミエールはマーサの手を自分の股間に導く。ズボン越しにもはっきりと分かるほど、彼の分身は熱く猛っていた。
「ほら、こんなになっているんだ」
「あっ……」
マーサは無意識のうちに自分の手を動かしていた。その手がゆっくりとズボンを降ろしていき、やがてぶるんと勃起したペニスが飛び出す。その先端はすでに大量の先走りで濡れていた。
リュミエールの身体がマーサの上に覆いかぶさってくる。そしてその剛直の先端がマーサの入り口に押し当てられた。
「あ……♡」
マーサは期待するように喉を鳴らした。早く欲しいとばかりにリュミエールの身体にしがみつく。
「いいよね?」
リュミエールが耳元で囁きながらマーサの陰核をすりすりと上下に刺激する。そのたびにとろとろと蜜が溢れ出してきた。
「きて…♡」
マーサはリュミエールの首に腕を回すと、自ら唇を重ねた。そしてリュミエールの腰が動くと同時に、マーサの身体も大きく仰け反った。
「ああっ、入ってくるぅ……」
「マーサの中、すごく熱いね。それに凄くうねっているよ」
リュミエールはマーサの両脚を抱えると、腰を打ち付け始める。最初はゆっくりだった動きは次第に激しくなっていき、マーサの口からは絶え間なく喘ぎ声が漏れ続けた。
「やっ、はげし、い♡」
「好きだよ、マーサ」
「わ、私も好きぃ、リュミエールのことが好きなのぉお!!」
マーサが叫ぶと、膣内のリュミエールのものが一回り大きくなったような気がした。
「マーサ、出すよ」
「出してぇ!いっぱいちょうだい!」
次の瞬間、どくんと脈打ちながら温かいものが注がれていった。それと同時にマーサの頭の中で何かが弾ける。
「んんんんん~!!!」
マーサはリュミエールに抱き着くと、大きく背中を仰け反らせ絶頂を迎えた。秘所からはぷしゃっと潮が噴き出し、リュミエールの腹筋にかかっていった。
「マーサ……」
はあはあと荒くなった息を整えてから、リュミエールはキスをした。マーサもそれに応えるように舌を伸ばし絡めてくる。しばらく二人は互いの唾液を交換し合うかのように濃厚な接吻を交わし合った。
「ん……」
「んう……」
ちゅぱっと音を立てて唇を離すと、マーサは蕩けた表情を浮かベながら言った。
「……夢みたい」
「夢じゃないよ」
マーサは甘えるようにリュミエールに頬ずりする。マーサはリュミエールに抱きしめられながら、その温もりを感じていた。
「……今度、マーサが一人でするところを見せてほしいな。いままでどうやって自分を慰めていたんだい?」
「な、ば、ばか!」
意地の悪い夫にマーサは顔を真っ赤にしてリュミエールの胸を叩いた。
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