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序章
「おわりの冒険譚」
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荒廃した大地に、ぽつりとひとり佇む。
私の右手は黒い長剣を握りしめ、あいた左手は、虚空に向けて差し伸ばされている。
もし周りに君がいれば、私にしか見えない何かを掴もうとするような、そんな仕草にも見えるなどと言うのであろうか。だがそんなことを言う君はここには居ないし、勿論その手は、何も掴んではくれなかった。
暫くの溜息の後、私はゆっくりと歩き始める。
重い足を引き摺り歩く。時折足にぶつかり、私の歩みを邪魔するのは、すべからく人間の屍であった。ぐるりと首を巡らせる。見渡す限り、人の屍が積み重なっていた。
気が触れてしまいそうな、見たくもないような地獄絵図だとは、思う。しかし、そこになんの感傷も持たないのは何故だろうか。絡みつく四肢を踏みつけても心が痛まないのは何故だろうか。
自問自答を繰り返しても答えは出ず、仕方ないのだ、とかぶりを振る。目的のためだと、この程度の民草であれば、大事の前の小事であり、路傍の石と同じなのだ、と。
ゆっくりと、次は屍に足を取られないようにと歩をすすめる。あてどもない一歩であったが、歩みを止めるわけにはいかないと思っていた。
「次は……終わりになるのかな?」
そして、時は流れていく。
私の右手は黒い長剣を握りしめ、あいた左手は、虚空に向けて差し伸ばされている。
もし周りに君がいれば、私にしか見えない何かを掴もうとするような、そんな仕草にも見えるなどと言うのであろうか。だがそんなことを言う君はここには居ないし、勿論その手は、何も掴んではくれなかった。
暫くの溜息の後、私はゆっくりと歩き始める。
重い足を引き摺り歩く。時折足にぶつかり、私の歩みを邪魔するのは、すべからく人間の屍であった。ぐるりと首を巡らせる。見渡す限り、人の屍が積み重なっていた。
気が触れてしまいそうな、見たくもないような地獄絵図だとは、思う。しかし、そこになんの感傷も持たないのは何故だろうか。絡みつく四肢を踏みつけても心が痛まないのは何故だろうか。
自問自答を繰り返しても答えは出ず、仕方ないのだ、とかぶりを振る。目的のためだと、この程度の民草であれば、大事の前の小事であり、路傍の石と同じなのだ、と。
ゆっくりと、次は屍に足を取られないようにと歩をすすめる。あてどもない一歩であったが、歩みを止めるわけにはいかないと思っていた。
「次は……終わりになるのかな?」
そして、時は流れていく。
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