「月が太陽と眠る夜」 〜出自が分からず無戸籍の孤児として育った小春の前に現れたのは、日本王国の王子の兄弟?!〜

みなみ

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第一章

支配者と札束

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しばらくして行為が終わると、王太子は私の隣に寝転んだ。


「自分の部屋に戻りたいなら戻れ」


「はい…」


私は、王太子の顔を合わせず、散らかった衣服をかき集めてガウンを羽織り、逃げるように王太子の部屋から飛び出した。


部屋の外には担当官がいたが、服装の乱れた姿を見て目を伏せながら、宮殿内の廊下を案内した。


自分の部屋への案内の途中、シャワーを使いたいか問われ、私はシャワールームに駆け込んだ。


私は、王太子が触れた部分を、その感触がなくなるよう必死に洗った。


全て洗い流しても、不快感までは洗い流すことはできず、涙が止まらなかった。


ほとんど会ったこともない、好きでもない相手に、初めてをこんな形で奪われるとは、思いもしなかった。


鏡に映る自分を眺め、もう泣くなと言い聞かせ、意を決してシャワールームから出て自室へ戻った。


しかし、ベッドに入っても、王太子との行為の恐怖を思い出し、自然と涙が溢れた。


そして、泣き疲れて、明け方にようやく眠りについた。





「嬉野様、おはようございます。お体の具合はいかがでしょうか?」


朝8時、宮殿の専属の医師による診察を受けた。薬の過剰摂取のことだけではなく、昨日の夜の出来事を知っているようで、体の痛みはないかと聞かれた。


医師からは、今後、婦人科と精神科の専門医をつけると説明され、体調の変化や心配があれば相談するようにとアドバイスを受けた。



こんな場所にいなければ、病人扱いされることなどなかったのにと心では思っているが、口に出すことはなかった。




「嬉野様、ご朝食のあと、最初の講義を行う予定です。体調が優れなければ、明日以降に延期も出来ますので、ご遠慮なくおっしゃってください」


「体調は大丈夫です。予定通り講義を受けます」


体調は万全ではなく、朝食もほとんど喉を通らなかったが、これ以上、担当官らに迷惑をかけ続けるのも申し訳なく思い、講義を受けるようにした。


講義は、日本王国の歴史や、現在の王族の家系図などを理解するというもので、宮殿の歴史の専門職によって行われた。


一対一の講義で行われて、質疑応答もありながら、1時間半の時間が、あっという間に流れた。


もともと、勉強することは苦ではなかったし、高校に行けなかったことで、むしろ勉強することへの憧れもあった。


さらに、講義中は、他のことをあまり考えずに済むので、嫌なことを忘れるのには有効な手段だった。



午前中の講義が終わり、昼食を少しだけ食べ、夕食までの時間は自由に過ごしていいと言われ、私は本を読みたいと、書庫へ出向いた。


これまでにも何度か書庫を利用していたが、司書以外に特に誰も来ないことがわかり、宮殿の中でも安心して過ごせる場所だ。


本といっても、王宮として所蔵しているものであり、絶対に持ち出せない物もたくさんある中で、とあるエリアの本は小説や宇宙科学、日本史や世界史に関連する書籍など、読みやすいものもたくさんあり、私はそれを好んで読んでいた。


司書の許可を得て、書庫から二冊だけ持ち出し、夜にも読もうと思いながら、自室に戻った。


夕食の時間となったが、食欲はあまりなく断った。


するとおにぎりと味噌汁だけを準備され、好きな時に食べるよう、私の部屋のデスクに置かれた。







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