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第一章
国王と王妃
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ついに、国王と王妃との拝謁が実現する。
私にとってこの拝謁は、王室が私をどう評価しているかを客観的に知る良い機会だ。
もしかすると、国王や王妃が、珀斗王太子と私の結婚には賛成していない場合もある。
そうであれば、この結婚は阻止できる可能性が残されている。
朝、王太子と共に、宮殿の中でも一番格式高い建物に移動し、桜の間と呼ばれる専用の応接室で国王と王妃を待っている。
王太子と並んで座ることは初めてで、妙な緊張感があるが隣にいてくれることで心強くも感じる。
「先に言っておくが、変な期待はするな。国王殿下も国王妃殿下もこの結婚については了承済みだ」
「…はい、殿下」
「その、殿下という呼び方はやめろ。珀斗と呼べ」
「え、えっと…それは…」
唐突に呼び方を変えろと言われ、私が動揺している間に、担当官が入室した。
「国王陛下、国王妃殿下がまもなくご到着されます」
「分かった。担当官は全て退室しろ」
「かしこまりました」
王太子と私は起立して国王と王妃を待つ。
「随分と時間がかかったな、珀斗」
「はい、陛下。ご報告が遅くなりましたことをお詫びいたします」
国王と珀斗王太子が、最初に言葉を交わした。
時間がかかったという意味がよく分からなかったが、会話が止めて聞くわけにはいかず、静かに待った。
「あなたが嬉野小春さんですね。ようこそ」
「は、はい、国王陛下。お、お目にかかり、光栄です…」
国王は私に優しく声をかけ、私だけ震えながら、握手を交わした。
「写真の通り、可愛らしいお嬢さんね。小春さん、よろしくね」
「は、はい、国王妃殿下…。よ、よよろしくお願いします」
国王妃殿下からも握手を求められ、震える手を差し出した。
「緊張しなくても大丈夫だ。さあ、座って話そう」
国王陛下の言葉に、私たち4人はソファに腰掛けて、対面した。
目の前にいる国王と国王妃殿下のお顔を拝見し、さらに緊張感が増すが、両陛下はとてもにこやかで全く怖さを感じなかった。
「珀斗、ここ1ヶ月はよく宮殿に帰ってきていると聞いた。地方の軍の基地にいることが多かったからな」
「はい。小春が宮殿に来てから、できるだけ一緒に過ごす時間を持ちたいと思い、そうしています」
珀斗王太子から、初めて小春と名前で呼ばれ、内心とても驚いていたが、それが当たり前のように振る舞った王太子に合わせ、私も平然を装った。
王太子は、あまり表情を変えることなく淡々と国王の問いかけに返答していた。
「小春さんは、これまで戸籍がなく大変な生活だったと聞いた。これからはここで安心して生活して、やりたい事に挑戦してほしい」
「は、はい、国王陛下…」
「結婚後は王太子妃として公務に出ることもあるから、いろんな経験が役に立つはずよ。珀斗が軍隊の仕事で不在の時には代わりに全国の様々な皇室行事に顔を出すこともあるわ」
「…はい、国王妃殿下…。珀斗…さん…にも、教えていただきながら、頑張りたいと思っています」
初めて珀斗王太子の名前を呼び、これでよかったのかと不安に駆られたが、私以外の3人からは何も指摘されず安堵した。
「小春が公務にあたるのは先の話です。今はここでの生活に慣れることを優先してもらいたいと考えています」
私が言いたいことを代弁するように、王太子が助け舟を出してくれた。
「そうだな。しばらくは生活を整えてくれ。それで、結婚の日取りはどうなっている。あまり遅くなるのも避けたい」
「はい、国王陛下。予定では半年後に婚約発表、一年後に結婚式を執り行いたいと思っています」
「そうか、あまり時間がないが、こちらも協力して準備しよう」
珀斗王太子が言っていたように、国王陛下も国王妃殿下この結婚は特に反対している様子はなかった。
私にとってこの拝謁は、王室が私をどう評価しているかを客観的に知る良い機会だ。
もしかすると、国王や王妃が、珀斗王太子と私の結婚には賛成していない場合もある。
そうであれば、この結婚は阻止できる可能性が残されている。
朝、王太子と共に、宮殿の中でも一番格式高い建物に移動し、桜の間と呼ばれる専用の応接室で国王と王妃を待っている。
王太子と並んで座ることは初めてで、妙な緊張感があるが隣にいてくれることで心強くも感じる。
「先に言っておくが、変な期待はするな。国王殿下も国王妃殿下もこの結婚については了承済みだ」
「…はい、殿下」
「その、殿下という呼び方はやめろ。珀斗と呼べ」
「え、えっと…それは…」
唐突に呼び方を変えろと言われ、私が動揺している間に、担当官が入室した。
「国王陛下、国王妃殿下がまもなくご到着されます」
「分かった。担当官は全て退室しろ」
「かしこまりました」
王太子と私は起立して国王と王妃を待つ。
「随分と時間がかかったな、珀斗」
「はい、陛下。ご報告が遅くなりましたことをお詫びいたします」
国王と珀斗王太子が、最初に言葉を交わした。
時間がかかったという意味がよく分からなかったが、会話が止めて聞くわけにはいかず、静かに待った。
「あなたが嬉野小春さんですね。ようこそ」
「は、はい、国王陛下。お、お目にかかり、光栄です…」
国王は私に優しく声をかけ、私だけ震えながら、握手を交わした。
「写真の通り、可愛らしいお嬢さんね。小春さん、よろしくね」
「は、はい、国王妃殿下…。よ、よよろしくお願いします」
国王妃殿下からも握手を求められ、震える手を差し出した。
「緊張しなくても大丈夫だ。さあ、座って話そう」
国王陛下の言葉に、私たち4人はソファに腰掛けて、対面した。
目の前にいる国王と国王妃殿下のお顔を拝見し、さらに緊張感が増すが、両陛下はとてもにこやかで全く怖さを感じなかった。
「珀斗、ここ1ヶ月はよく宮殿に帰ってきていると聞いた。地方の軍の基地にいることが多かったからな」
「はい。小春が宮殿に来てから、できるだけ一緒に過ごす時間を持ちたいと思い、そうしています」
珀斗王太子から、初めて小春と名前で呼ばれ、内心とても驚いていたが、それが当たり前のように振る舞った王太子に合わせ、私も平然を装った。
王太子は、あまり表情を変えることなく淡々と国王の問いかけに返答していた。
「小春さんは、これまで戸籍がなく大変な生活だったと聞いた。これからはここで安心して生活して、やりたい事に挑戦してほしい」
「は、はい、国王陛下…」
「結婚後は王太子妃として公務に出ることもあるから、いろんな経験が役に立つはずよ。珀斗が軍隊の仕事で不在の時には代わりに全国の様々な皇室行事に顔を出すこともあるわ」
「…はい、国王妃殿下…。珀斗…さん…にも、教えていただきながら、頑張りたいと思っています」
初めて珀斗王太子の名前を呼び、これでよかったのかと不安に駆られたが、私以外の3人からは何も指摘されず安堵した。
「小春が公務にあたるのは先の話です。今はここでの生活に慣れることを優先してもらいたいと考えています」
私が言いたいことを代弁するように、王太子が助け舟を出してくれた。
「そうだな。しばらくは生活を整えてくれ。それで、結婚の日取りはどうなっている。あまり遅くなるのも避けたい」
「はい、国王陛下。予定では半年後に婚約発表、一年後に結婚式を執り行いたいと思っています」
「そうか、あまり時間がないが、こちらも協力して準備しよう」
珀斗王太子が言っていたように、国王陛下も国王妃殿下この結婚は特に反対している様子はなかった。
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