37 / 76
第二章 幼少期~領地編
34.大伯父様
しおりを挟むアーレント王国王都のギルド本部に冒険者見習いの登録に行き、そこのギルドマスターが私の大伯父様だということを知った。
しかも、お婆様の双子のお兄様だと言う。
でも、お婆様にお兄様がいることも知らなかったし、家族の話を聞いたことがないことに気づいた。
私がグルグル考え込んでいる間に、大伯父様は目の前に優しい笑顔でしゃがんでいた。
ソファーに座っている私に目線をあわせるために、大きな身体を小さくしてしゃがんでくれている。
優しい人だ。何より私を見る眼差しが優しい。
「大伯父としても、初めましてだね。君のお婆様の双子の兄だ。よろしくね。アルにはユーリと呼んでほしいな♪」
「はい。アルフォンス・フォン・カネッティと申します。よろしくお願いいたします」
「う~ん。硬いな~。ほら、ユーリって呼んでみて」
「えっ、ユッ、ユーリ大伯父様?」
「チッ! チッ! チッ! ユーリ!!」
「えーっ? ユーリさん?」
「呼び捨てで!」
「ユーリ! いい加減にせんか! 本当に嫌われても知らんぞ?」
シュテファン先生が助け舟を出してくれた。
「ちっ。まぁ、今はそれでいいことにしよう」
えっ、舌打ちしたよ…。今はって、いずれ呼び捨てで呼ばせようってこと?
本部のギルマスだよ? 無理だよ~!
表情も行動も優しそうなんだが、曲者臭が凄い……。これは心して相手をしないと、簡単にからかわれてしまいそうだ。
ユーリさんは、もう一度私をじーっと見てから聞いてきた。
「テレジアの話を聞きたいかい?」
お婆様の話を聞きたいかと言われれば、興味はある。でも、これは他の人に聞いてはいけない気がする。聞くのなら、お婆様本人からでないといけないと、私の第六感?が訴える。
「はい。聞きたいかと聞かれれば聞きたいです。ですが、私はお婆様ご本人が話してくださるまで待ちたいと思います」
私は、思案にうつむいていた顔を上げて、キッパリと答えた。
「うん。良い眼だ。そうだね。詳しい話は、テレジアから話すのを待った方がいいだろう」
「ただ、これだけは先に言っておくことにしよう。森の動きが気になるからね」
「私達兄妹は、エルフ族と人族のハーフだよ」
ハッと息をのんだ。
この世界には多種多様な種族が存在する。人族が一番多く、次が獣人族だ。人族と他の種族の婚姻も多く、ハーフも普通に受け入れられている。
しかし、例外が存在する。エルフ族だ。エルフ族は純血主義でハーフを忌み嫌うという。もしハーフが見つかれば、他種族と交わったエルフも子も粛清され、一族は生涯日の目を見ることは無いという。
あまりに重い事実に、苦い澱のようなものが腹の底に溜まる気がした。
それとともに、やり場のない怒りが湧いてくる。
それでも、ここで私が怒りを露わにするわけにはいかない。
当人達が凪いでいる今は、私は感情を抑えるべきだろう。
いずれ、お婆様が話してくださるだろうし、ユーリさんの様子だと、森の動きが気になるようだ。
何か動きがあった時に冷静に行動するためにも、この感情は抑えなければならない。
拳をきつく握ることで、怒りを鎮めようとして、爪が掌に食い込んでしまったらしく、血が滴っていた。
ユーリさんに拳を優しくひらかれて、回復魔法をかけられた。
「アル。私達のために怒ってくれるのは嬉しいが、単独で行動するんじゃないぞ? 何かあったら、些細なことでも必ず私に報告して指示を仰ぐこと。よいね?」
今の私の実力では、単独で事を構えることはできないから、うっかりやらないように胆に銘じることにしよう。
下手をすると、ユーリさんやお婆様に類が及ぶ。それは絶対に避けなければならない。
今後は、私も森の動きを常に気にするようにしようと心に誓った。
~~~~~~~~~~~~~
※本当にしばらくぶりの投稿で申し訳ありません。
少しだけ時間が取れました。二日投稿します。
牛歩より遅い歩みになりそうですが、続けて書きたいと思っていますので、
のんびりお待ちいただけると幸いでございます。
126
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる