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第二章 幼少期~領地編
35.<隠蔽>
しおりを挟む「私達兄妹は、エルフ族と人族のハーフだよ」
ユーリさんの言葉に息を呑む。
エルフ族は純血主義でハーフを忌み嫌うという。もしハーフが見つかれば、他種族と交わったエルフも子も粛清され、一族は生涯日の目を見ることは無いという。
あまりに重い事実。
森の動きが気になるというユーリさん。
私も常に気にしようと肝に銘じた。
ところで、お婆様もユーリさんも見た目は人族だ。元々、耳以外の外見的な特徴は受け継がなかったらしい。エルフ族の多くは、人族に比べると小柄で細身で、人形のような作り物めいた美貌をしている。対して二人は、身体つきも比較的大柄だし、人族的に魅力的な美形だ。
唯一の耳は魔法で隠しているとのことだった。
でも、たぶん私が<鑑定>をかけると、種族欄に『人族とエルフ族のハーフ』と表示される気がする。
なんとか魔法で偽装できないだろうか?
「あの、私に種族欄に<隠蔽>の魔法で“偽装”をかけさせてください」
「はぁ~?」
「やっ、あの水晶球も騙せるので…。いけるかなって思って…」
「う~ん……。じゃあ、やってみるかい?」
ユーリさんは少し思案して、諾の返事をしてくれた。
私は、ユーリさんに断って<鑑定>をかけさせてもらった。
やはり種族欄には、『人族とエルフ族のハーフ』と表示されている。
そこで、<鑑定>をかけながら、種族欄に集中して“偽装”を意識して<隠蔽>をかける。
ここでは、『人族』を強く強くイメージして、何物にも見破れない“偽装”を意識する。
水晶球にも、魔法にも、何物にも……。
ドンドンと魔力量をつぎ込んでかけた<隠蔽>が、眩い光が消えるとともに完成した。
どうだろうか?成功したのか?
ユーリさんに再び<鑑定>をかけてみる。
=====
【名前】ユーリウス・シルウァ
【性別】男
【年齢】五十一歳
【種族】人族《人族とエルフ族のハーフ》
【職種】魔法士・精霊魔法士・魔剣士・薬師
【称号】アーレント王国ギルド本部ギルドマスター・地の精霊王と契約せし者
・風の精霊王と契約せし者
【Lv】128
・
・
・
=====
普段の<隠蔽>と表示が違う…。
よしっ!大丈夫!!
「やったぁ…。成功したと思います。ユーリさん。ご自分で確認してみてください」
ユーリさんは、半信半疑のようで、瞬きを一回してから自分に<ステータスオープン>をかけた。
そうして、確認してもらったところ、本人が見ても確かに”偽装”されているらしい。
シュテファン先生とリヒト先生にも確認してもらったが、ユーリさんの種族は確かに人族になっているそうだ。ユーリさんのレベルを考えると種族は見えるが、他の細かいところは見えないところも多いと思う。種族を”偽装”できれば上手くいく気がするんだ。
でも、念のため、職種の『精霊魔法士』と称号の『精霊王と契約せし者』も、私が<隠蔽>で”偽装”することになった。エルフ族を勘ぐられるものは隠すに限るしね。
そして、ユーリさんで上手くいったから、お婆様にもと思ってしまう。
しかし、お婆様に<隠蔽>をかけるためには、私が種族を知っていることを話さないといけない。
一刻も早くお婆様にも<隠蔽>をかけたくて、どうしようかと悩んでいたら、ユーリさんが声をかけてきた。
「アル。冒険者見習いの登録が終わったら、フォルツに戻るんだろう?」
「はい。リヒト先生と戻ります」
「じゃあ、私も一緒に行く」
「えっ?」
「だって、テレジアにも早く<隠蔽>かけたいだろう?」
「はいっ!!!」
お婆様になんて切り出そうか悩んでいたら、ユーリさんが一緒に行って説明してくれると言う。
ユーリさんも、お婆様が心配で、早く魔法をかけてほしいと思ったそうだ。
無事に冒険者見習いの登録が終わった。
冒険者見習いのギルドカードをもらい、後でじっくり見ることにして無限収納に仕舞った。
シュテファン先生は、私の<隠蔽>に強く興味を持って、カードを待っている間にあれこれと質問をして、「ウムウム」と言いながら転移していった。
そして、転移部屋には、リヒト先生と私とユーリさんがいる。
「さて、行くかな? 私が飛ぶとテレジアに魔力でばれるから、リヒト頼んでいいかい?」
リヒト先生は一つ頷くと、「行きます」と言って領主館に飛んだ。
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