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第二章 幼少期~領地編
60.井戸堀り
しおりを挟む食休みに、サトウキビもどきのサトウサンをしっかりと採取した。気持ちはもう砂糖作りに飛び立とうとしているが、逸る気持ちを抑えるために、ほっぺを軽くパンッと叩く。
(午後の肥料作りもキッチリやりますよぉーっ! よしっ!)
午後は、村人を2つのグループに分け、1つを牛糞を集めるグループに、もう1つを麦藁を運ぶグループと裁断するグループ、木こりの作業小屋からおが屑を運んでくるグループの3つに分ける。
作業的には、おが屑を運ぶのが一番負担が少ないんだが、木こりの作業小屋があるのが森の際なんだ。集団でいる場合、いざという時に逃げ遅れる可能性が高くなる。なので、こちらは立ち向かわずに逃げることを条件に選んだ、健康で逃げ足の速そうな若者を少人数のグループにした。小さな子供や老人は1つのグループにし、村の共同作業場から麦藁を運んでもらうことにする。
麦藁がかなり嵩張るので、運ぶのは大変だろうが、みんなで相談して工夫してほしいと思う。山積みして回数を減らすのか、運びやすい量で往復の回数を増やすのかとかね…。
考えたり相談したりすることが身につけば良いなぁと思うんだ。
さて、グループ分けも決まったことだし、作業を開始してもらおう。
作業自体は単純だから、クマ村長におおよその量を言って、後は任せてある。
運び終わって混ぜる段になったら、肥料を積んで発酵させる作業場に行くことにした。
みんなに作業してもらっている間に、私は井戸を掘ることにする。
なだらかな畑の上の方に1つ、下の方に1つ掘る。帯水層がある場所は確認済だから、しっかりと穴を固めながら井戸を掘っていく。それから、井戸用の手押しポンプを取り付ける。これは、王都の屋敷に取り付けるためにたくさん作った中のひとつだ。生産スキルが取得できて作れるようになったんだ。
王都では上水道完備だけれど、庭仕事や厩舎作業などには、どこの屋敷でも井戸水を使う。もちろんつるべ式だ。桶と滑車を使うオーソドックスなもの。滑車が普及しているからまだマシだが、何回も汲み上げるのは相当な重労働だと思う。前世で観た某テレビ番組で使っていた、てこの原理を用いるはねつるべ式は、こちらではまったく見かけない。王都が上水道完備だからか、全然発達しなかったようだね。
私は、一歳の時に庭に薬草園を作ってもらった。それ以来、毎朝、庭師のクルトと薬草園の世話をしている。その時に井戸水を使うんだが、いつもクルトが大変そうだった。そうして、思い描いたのは手動のポンプだった。前世の趣味のラノベでよく出てきたので、どんなものかを調べていたから、原理も構造も知っていた。だからすぐに作りたかったんだが、スキルとレベルが足りなくてずっと作れなかった。四歳の時に生産スキルを取得しレベルもあがって、鋳造なので鍛冶と言っていいのか分らないけれど、最初に作ったのが手押しポンプだった。
領都に出発するまでに改良を重ねて、現在、王都の屋敷で活躍しているのは三代目のポンプである。その時にたくさん作って無限収納にしまっておいたんだ。王都の屋敷には井戸がいくつもあるし、領都の屋敷にも取り付けるつもりだったし、予備も作っておこうと思って、本当に大量に作ったんだ。それを今回使うことにした。王都でも領都でも、使用人さん達が水汲みが楽になったって言って、とっても感動していたし感謝もされた。実際、自分でも使ってみて、本当に楽になったと思っている。
井戸が完成したところで、そのまわりを少し大き目な頑丈な小屋で囲う。これには2つの理由がある。1つは村の水源を守るためだ。村の外に井戸を作ったので、そこから汚染されないようにと考えた。もう1つは避難所の役目。畑は村の外に広がっている。野獣が森の外に出ることもあるだろう。畑仕事をしていて野獣に遭遇してしまったら、村までなんて逃げられないからね。小屋には緊急を知らせる狼煙をあげられるよう設備を作った。遠くからも気づきやすく、獣が嫌うにおいのする煙が出るように、薬草を混ぜ合わせて作ってみたんだ。それをはっ水効果をつけた布で包んでおいた。
いざという時に逃げ込める場所があるってことが大事だと思う。もちろん過信は良くないが、気持ちに少しだけ余裕があることが、成功の可能性を高めるんじゃないかなぁ。この場合は『生き延びる』ことだ。
さて、井戸もできたし、そろそろ材料も作業場に集まったようだ。
いつものように周囲を警戒してくれていた先生と、におい対策にマスク代わりの布を巻いて、作業場に向かった。
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