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第一章

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 さて、夜は更けていないが、赤ん坊は就寝タイムになった。
 離乳食もお腹いっぱい食べたし、母とエマに妹と一緒に風呂に入れてもらった。

 大丈夫、大丈夫だよ。
 前生は男性だったが、過去生の中には女性に生まれたことも何度もあったからね。
 お風呂で、母やエマを見ても驚かないさ。


 すごーい。メロンだ!とか、腰ほっそ!とか、感心はするけれども…。


 パジャマを着て、ホカホカでベッドに入ったら、妹は速攻で熟睡状態になった。
 いつも通りのマイペースさが、なんだか羨ましい気がするわ…。


 まあ、それは置いといて。

 これから、お昼寝タイムに決めた魔力確認をしようと思いま~す! わ~~~♪ パフパフ♪♪




 僕には、様々な過去生の記憶がある。
 この記憶だが、全部は覚えていないはずなんだけど、今生で思い出そうとすると、一部だが結構スルスルと引き出しから出てくるから、自分で驚いている。
 
 確かに過去生の記憶だけはある。しかし、スキルなどは一切引き継がず、転生を繰り返してきた。

 同じ世界で転生を繰り返すのではないから、しょうがないんだろうけれど、記憶がある分、スキルや能力を引き継げないのは勿体ないなぁという気持ちもあるんだ。


 でも、本当にしようがないよね…。

 これは諦めるしかないけれど、記憶にある魔力確認や魔力制御の方法は、時代は違えど使えるだろう。

 

 さてさて、魔力確認だが……。
 
 臍の下あたり、日本だと丹田と言っただろうか?
 そこあたりに、何か温かい感じがするものがある。

 んーーー! これかな…?

 それを、指先まで流せるかなんだが…。
 

 …………………………………………………………………。


 やっべーっ! 難しいっ!!
 じっとり汗をかいたけれども、まだ成功していない……。

 
 どうやったんだったかな…?
 大事な部分なのに思い出せないぞ…?

 日本で読んだラノベだと、血液に例えていたものがあったかな?
 それの方がイメージしやすいかもね。


 …………………………………………………………………。


 よしっ! イメージできた。
 やるぞ!!

 んーーーーーーーーーーーーー。


 ふぅーーーーっ。できたっ!
 指先まで流すことができた。

 これを体中に、血液のように回すっと……。

 よーーーしっ。 できたぞ。

 
 次は指先に火………は火事になるから、灯りを点そう。

 指先に魔力を流して、人差し指の先から少しずつ出す感じ。
 その先に光魔法で、灯りを点す。

 (我願う。闇を照らす光をともせ。ライト)

 「わーねっ。やみゅぅーしゅぅきゃりーもしぇ。らいちょ」


 指先に小さな灯りが点った。


 ふうっ…。やっとできた。
 
 いままで魔法のある世界で生まれても、こんな赤ん坊の頃から魔法を使い始めた生なんてなかったからなぁ。
 身体も思うように動かないし、言葉も話せないし…。
 難しいものだなぁ。


 余談だが、日本で読んだラノベなんだが、ファンタジーの剣と魔法の世界ものは、これまで僕が転生を繰り返してきた世界に結構近い部分があって、非常に面白かった。
 さっき使った魔力のイメージだったり、魔法の発動方法だったり、魔物の特徴だったり…。
 誰か、転生した人が書いているんじゃないかと思うくらいだった。
 いつか、また日本に転生したら、聞いてみたいものだな…。



 赤ん坊の身体で頑張ったからか、これが魔力切れなのか…。
 非常に眠くなってきたぞ…?


 また、明日頑張るか………ZZZ
 


 





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