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第一章

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 今日、父が帰ってくるらしい。
 朝の着替えの時に、エマが言っていた。


 さて、どうやっておねだりしようか?


 んーーーーーーーーーーーーー。

 だめだっ、わからん……。

 
 僕は、いままでおねだりをしたことがなかったようだ。
 どの過去生でも、貧しくても、忙しくても、それなりに愛情をかけてもらって育った。その中で、意識的に何かをねだったということはなかったみたい。

 う~~ん。難しい。


 うんうん悩んでいたら、エマが○○チ君かと慌ててお○○に座らされたが…………、違うっ!!


 そうやって悩んでいる間に夕方になり、父が帰ってきた。
 一か八かでやるしかないか…。

 
 
 父は、お風呂に入って旅の汚れをスッキリと落としてから、僕達の部屋に入ってきた。
 
 僕達の部屋は、僕がゴロゴロ寝返りで部屋中を移動し始めてから、土足禁止になったんだ。

 父が、部屋の入り口で靴をぬいでいる間に、高速ハイハイして傍にいく。
 そうして、父の脚に掴まり手に力を入れる。

 

 んーーーーーーーーーーーーー。


 プルプルプルプル………………。


 あーっ、脚が………………。


 うわっ、頭、おもっ!!



 
 父の脚に掴まって、うんうん立とうと頑張っているのに、


 「どうした?ユーリ? ○○チ君か?」


 ………と、父は言ったんだ……。



 

 ものすっっっごく頑張って、つかまり立ちして驚かせて、おねだりしようと思ったのにぃ……。

 力が抜けて、ぺちゃんとお座りしてしまった。
 
 頑張った気持ちと失敗した悔しさで、ギャン泣きしたさ…。

 父は、オロオロしていたが、無視だ。無視!!

 僕のギャン泣きに釣られて、妹も泣き出したから、父は、母とエマにガッツリしぼられていた。


 
 しばらくして、気持ちが落ち着いてきて、やっと泣き止んだら、父がとっても申し訳なさそうに謝ってきた。


 「ユーリ、すまなかった。 つかまり立ちを父様に見せようと頑張ってくれたんだな…。 ありがとうな。 また今度、父様に見せてくれるかい?」


 父が申し訳なさそうに、でも嬉しそうに、優しく言うから、


 「あーいっ!!!」


 と、元気よく答えてしまったよ。


 


 

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