異世界転生したらヒロインや仲間が最強過ぎて、何故か護られています!

緑青白桃漠

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第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 第3節 遭難と海に棲む巨大な魔物の討伐

第48話 船の中で夕食と就寝後の精霊達

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 五人が夕食のため最上階を歩いている頃、船内の艦橋の中では、

「アルベルト隊長、間もなく例の調査付近の海域に入ります」
「うん、引き続き周囲の警戒に当たれ」
「はい、了解しました」

 アルベルトは部下に指示を出していた。

「しかし、雨が降ってきましたな」
「あぁ、今夜は何も起きなければ良いのだが」

 船の窓を見ると、雨がかなり降っていて、風はそれほど無いが波が少し高い状態だった。

「引き続き、波に気をつけて走行しろ、それと周りには注意しろよ、もしかしたら手掛かりが見付かる可能性があるからな。本格的な調査は朝からやるぞ」
「はいアルベルト隊長」

 艦橋ではアルベルトが部下を従えて、警戒している中、五人は最上階で楽しく食事をしていた。

「うーん、なにこのジュースかなり美味しいよ」
「それはパイリンゴジュースよ」
「えっ、パイリンゴジュースなんかあるの」

 パイリンゴはレンの大好物の果物の一つなので、ジュースと聞いて、どこで買えるか気になっていた。

「それは‥‥‥知らないわよ。たまたまメニューにあったから頼んでみたの、レン君パイリンゴ大好きだって言っていたから」
「うん、大好きだよ。あの独特の甘さと酸っぱさが溜まらないんだよ」

 レンはパイリンゴジュースを見つめながら、ゆっくりと味わうとファングがジュースを奪って飲んでいた。

「へぇ、変わった味がするんだな。でも意外といけるなこれ」
「ファング、何で僕のジュースを飲むの? ファング、そこでお座り」
「何でお座りするんだよ。別にちょっとくらい良いだろう」
「はぁ、ファング、素直に従った方が良いわよ」
「アリスまで、別にまた頼べば良いだろう‥‥‥やっぱりダメかレン」

 レンが怒っていたので、ファングは床で正座させられていた。

「悪かったよレン、食事に戻っていいよな」
「ダメ、ファングはそこでおとなしく正座して反省しな、なんなら、僕の魔力を吸収するの許可してあげるからそこでおとなしくしてよファング!」
「はい、ごめんなさいレン」

 ファングはレンに反抗出来ず、正座して反省していた。

「ファング、レン君優しいから魔力を貰えてよかったわね」
「うるさいよアリス、俺は嬉しくないよ。どうしてあんな事をしたのか自分が憎いよ」
「憎い以前にレン君に振り向いて貰う為にワザとやっているように私は見えるけどね。本当は嬉しいんでしょう。レン君に構って貰えて」
「違うよ、別にそんなんじゃないよ」
「またまた、精霊になったから、別に食事しなくてもレン君の魔力を鱈腹吸収出来るから、嬉しいくせに顔が緩んでいるわよ」
「だからそんなんじゃないって言っているだろう」

 アリスがファングにちょっかいを出して指摘するとファングは必死に反論しているが、ファングの顔を見るとかなり嬉しい表情をしていた。

 素直に僕の魔力を吸収出来て嬉しいとか言えば良いのに、本当ファングはそう言う所は認めないんだから。

 レンは再びパイリンゴジュースを手にして、味わいながら反省しているファングを見ていた。

「しかし、これ美味しなぁ。どこで買えるんだろう?」

 パイリンゴジュースの瓶を見つめていた。

「なら帰りに聞いて見たら」
「あっ、その手があったね、なら帰りに聞いてみよう、はいファングこれあげる」

 レンはお皿に料理を乗せると、正座しているファングに渡していた。

「レン、これは何の罰なの、なんか俺がレンの犬みたいになっているんだけど」
「いらないなら、お皿を上げるけど?」
「いえ食べます、食べますから料理をテーブルに上げないでレン」
「なんかファングがレン君に飼われた犬だわ」

 ファングは無様な姿を周りに見せていたが、ファングの目にはレンしか映っていないので、周りがどんな反応をしようが気にしてない様子だった。

「ちょっとファング、恥ずかしくないの?」
「何だよアリス、食事の邪魔するなよ。別に恥ずかしくないし、周りに見られても構わないよ。俺はレンさえ入ればそれで良いから」

 ファングは正座しながら、レンに与えられた料理を食べていた。

「はぁ、本当ファングはレン君しか見えてないのね! レン君は恥ずかしくないの?」
「僕は恥ずかしいよ、だけどこうでもしないと反省しないでしょう」
「確かにそうね、何ならもう少しキツい罰を与えればよかったと思うけど」
「そんな事をしたらファングに泣き付かれて、余計に恥ずかしいよ」

 ファングはレンに直ぐ泣きつくからあまり、厳しい罰はしたくなかった。

「はぁ、それもそうね。レン君がこう言って入るんだから反省しなよファング」
「分かってるよ、だからこうして反省しているんだろう。本当自分が情けないし、恥ずかしいよ」
「さっき恥ずかしくないと言ったのに、本音は恥ずかしいのね。本当ファングは素直じゃないんだから」
 
 ファングは正座して反省しながらもくもくとレンから与えられた料理を食べていた。

「しかし、よく食べるわねファング」

 大量の料理をお皿に盛り付けてファングに渡していたが、既にお皿になく、レンからおかわりをもらっていた。

「仕方ないだろう、精霊として目覚めた事で俺の体は普通じゃないんだから、はぁいくら食べてもお腹が膨れないよ。アクトが言った通りに食べた物は全て俺の魔力マナに変わるんだな」

 ファングは精霊として目覚めた事で自分が人間じゃない事を改めて突き付けられていた。

「ファング、そんな顔をしない。体の構造は変わったかも知れないけど、ファングはちゃんとした人間だよ」
「そうよレン君の言う通りよ、たかが食事如きにウジウジしないの、そんな事を言っていたら精霊四人に怒られるわよ。それが精霊の証拠なんだから受け入れなさい」
「そうだな、俺は精霊の道を選んだから、こんな惨めな姿を精霊四人に見せられないな。レンおかわり頼むわ」

 ファングがレンにお皿を差し出していたのでアリスが止めようとしていた。

「ファング、ちょっと食べ過ぎよ」
「良いよアリス、ファングは食事しか魔力マナを摂取出来ないんだから、半精霊は自然から魔力マナを吸収出来ないんだよ」

 精霊は自然界からマナを取り込む事が可能だけど、半精霊は人間と同じで普通の食事しかマナを補給することが出来なかった。

「へぇ、そうなの、確かにベースは人間だから自然からマナを吸収出来ないのは納得出来るわ。だけどあまり食べ過ぎないでね」
「分かっているよ、足りない分はレンに言ってもらうから」
「ファング、まだ食べるの? レイスもそうだけど、食べた物はどこに吸い込まれているんだか」

 ファングはレイスみたいになっているので、今後の食費が心配になっていた。

「レン、酷いよ。俺をレイスと同じに見ないでよ」
「ファングさん、レン師匠に何を言っているんですか、もう同類なんだから認めたらどうですか」

 レイスが席から立ちファングに詰め寄っていた。

「うるさいレイス、俺をお前と一緒にするなよ。俺まで変な目で見られるだろう」
「いや、もうファングはレイスと同じだよ。食べている量が同じだから」
「うっ、それは言わないでレン、これは魔力マナ摂取する為に必要なんだから」

 ファングは必死に弁明していたが、レンに交わされた途端食欲を失っていた。

「はぁ、本当ファングはレン君の影響を直に受けるんだから」
「アリスちょっと黙ってよ。食べ過ぎなのは自覚しているよ、ただどのくらい食べれば大丈夫か分からないんだよ。あまりレンの魔力を吸収したくないから」

 ファングは精霊に目覚めて、初めて食事からマナを摂取しているので、どのくらい食べれば、明日の朝まで保つか分からなかった。

「確かにそうだね、アクト聞こえる、魔力マナ量を調べる方はないの?」

 精霊間の会話を開き、アクトと通信していた。

【うーん難しい質問だね。マナを調べる方法はいくつかあるけど、手っ取り早いのは、レンとファングがお互いに触れる事だね】
「えっ、それってどういう意味なの?」
【レンとファングが触れ合う事でファングは自分の中にあるマナを直に感じるんだよ。つまり一端レンのマナを経由してファングのマナに入り込むんだよ。マナリンクしてれば可能でしょう。何なら自分のマナ量も調べれば良いと思うよ】
「いや、自分は良いよ。精霊五人を従えている時点で魔力量があり得ない量だって分かるから」

 レンはアクトから聞いた事を実践しようとファングに触れていた。

「レン、俺の体に触れているけどそれで魔力マナ量を調べられるのか?」
「良いからファング、僕の体に触れて」

 ファングはレンに言われたまま体に触れるとファングは驚いていた。

「何だよこれ、俺の魔力マナが手に取るように分かるよ」
「ファング、これが今の魔力マナ量だよ」
「あぁ、しっかり焼き付けたよ。やっぱり精霊になると何でも出来るんだな。魔力マナ量も分かったから、もう少し食べるよ」
「本当はもう十分過ぎるんじゃないの?」
「やっぱりバレた、魔力マナ量は十分だけど、まだまだ魔力マナを溜められるから食べられる内に摂取しておきたいんだよ」
「はいはい、食べ過ぎて、マナを体内から放出することがないようにね」

 ファングに軽く注意すると席に戻してあげて、食べる量を考えて好きな料理を食べ始めていた。

「本当ファングはレン君の言葉に弱いんだから」
「まぁまぁ、アリス今回だけは大目に見てよ」
「分かっているわ、ファングは精霊に目覚めて最初の食事なんだから」

 ファングは幸せそうに料理を食べているので、文句が言えなかった。

「しかし、本当にこのジュース最高だよ」
「僕も大好きだよ。このジュース」

 レンとレオスがパイリンゴジュースに舌鼓していた。

「レオス君もパイリンゴジュースが好きなの?」
「うん、大好き。この甘さと酸っぱさが絶妙でやみつきになる」
「レオスがパイリンゴ好きなった理由は、リズワール王国の果樹園にみんなで行った時に僕がレオスに進めたんだよ。その時にレオスはパイリンゴの虜になったんだよ」
「そう言えば、二人でパイリンゴの木にいたわね。その時に二つもパイリンゴを食べたんだっけ」
「そうだよ、あの時はもっと食べたかったよ」
「本当、レン師匠はパイリンゴが好きなんですね」

 パイリンゴを語らせたら、レンの話が止まらないので話題を変えようとしていた。

「それよりも、雨が降っているけど、大丈夫なのかしら?」
「アリス、あんまり変な話をするなよ」
「大丈夫でしょう。波が高くない限りは航路出来るし、いちいち雨が降って船が動きませんなんて言ったら、死活問題だよ」
「確かにそうね、でも今日の雨は何となく嫌な感じがするのよね」

 アリスは船の窓を見ながら、嫌な感じを直感していた。

「まぁ、俺らは、謎の生物の調査で来ているから不安なのは分かるだけど大丈夫だろう、この頑丈な船が沈むわけないし」
「そうね、巨大生物が現れない限りは大丈夫ね。さっさと食べて明日の朝に備えましょう」

 五人は食事を終えると、レンは一人で料理を出している人にパイリンゴジュースが売っている場所を聞きに歩いていった。

「別にファングはアリス達と待っていれば良いのに、パイリンゴジュースが売っている場所を聞くだけだよ」

 パイリンゴジュースが売っている場所を聞くだけなのに何故かファングが付いてきていた。

「俺は、レンの精霊なんだから常にレンの傍に居るのは当たり前だろう」
「いや、今は人間だよね。はぁ、好きにすれば、ただし僕の邪魔はしないでよ」
「うん、分かったよレン、俺のわがままを受け入れてくれてありがとう」

 ファングが笑顔でレンの後ろを付いて来るので、レンは困っていたが、ファングは精霊になったので大切に扱っていた。

「すみませーん、ちょっとお尋ねしたい事があるんですけど」
「はい、何かご用でしょうか」

 レンはパイリンゴジュースの売っている場所を聞いていた。

「なる程、フォード王国に売っているんですね」
「そうだね、一番近くで手に入るのはそこしかないから行ってみると良いよ」

 レンはパイリンゴジュースの売っている場所を聞き終えて、アリス達と合流すると、レンはウキウキして部屋に向かって歩いていた。

「レン君、パイリンゴジュースが売っている場所が分かって嬉しそうね」
「そうなんだよアリス、まさかフォード王国に売って入るなんて気付かなかったよ。どうせもう一度フォード王国を通るからその時に買おうと思っているんだ」
「相変わらず、レン師匠はパイリンゴ系が好きですね」

 四人に色々言われて、顔を赤くしていたが、パイリンゴジュースの売っている場所が分かったから、気分がかなり良かった。そして部屋に着くとアリス、レオス、レイスと別れて、二人は部屋に入り、ベッドに倒れていた。

「はぁ、やっぱりベッドは良いよフカフカで気持ちいいよ」
「レン、お前はもう寝るのか」
「そうだね、ファングの事があったから早めに寝るよ」
「そうか、悪かったな、俺のせいで」
「なんでいつも自分を責める事を言うの、別に気にしなくて良いのに」

 ファングは直ぐ、自分が悪いと言って来るのでレンは呆れていた。

「だって俺‥‥‥」
「ファング、それ以上ネガティブの事を言うと本当に契約破棄するよ。もう言わないよねファング?」
「うん、ごめんレン。もう言わないよ」

 ファングに言い聞かせると、それ以上の事は言わなくなっていた。

「ファングも早く寝なよ。それと精霊の力を必ず解放する事、暫く体が馴染むまで、人間の姿で寝るの禁止ね。誰か来たら必ず姿を消すこと良いねファング?」

 レンはファングの事を考えて、暫く精霊の状態で活動させようと考えていた。

「レン、俺の事を気遣ってくれるのか? 別に良いのに、やっぱりお前には何でも見抜かれているんだな」
「当たり前でしょう。ファングは僕以上に努力家でいつも抱え込んでいるんだから、僕が言わないと絶対にやらないでしょう?」
「はぁ、お前には隠し事が出来ないな。分かったよ、お前の命令に従うよ。どうせ俺は、お前に生かされているんだから」

 ファングはレンに言われて、精霊の力を解放させると、宙を浮いて、レンの頭上に移動していた。

「俺はここで、レンを見下ろして、見ているから早く寝なよ」
「うん、分かったよファング。もし寝られなかったら精霊四人の相手して、時間を潰しなよ」
「あぁ、そうさせて貰うよ」

 レンはファングに見守られると、深い眠りに入っていった。

「お休みレン」
【お前は寝ないのか?】

 ファングが寝ないので、アクトが質問していた。

「寝たいんだけど、眠気が全くないんだよね」

 普段なら、眠気など時々起きるのに、今は一切眠気など感じる事がなかった。

【そうか、お前は精霊になったから、俺らと同じになったんだな】
「仕方ないよ俺が選んだから。だけど不思議だよ、レンは気持ち良く寝ているのに俺は寝ることさえ出来ないんだから、本当精霊って夜になるとこんなにも寂しいんだな」

 人々が寝ている間も精霊は常に起きているので、長い夜は精霊に取って苦痛の時間帯である。

【今頃気付いたのか、多分一人だったら苦痛の時間帯かも知れないけど、今は俺ら四人がいるだろう。お前を一人にしないよ。レンも言っていただろう。寝られなかったら俺らの相手をしなと】
「確かに、言っていたな。やっぱりレンは俺が寝られない体になっている事に気付いていたんだな」
【レンさんは何でも見抜いているから、やっぱり凄いよね】

 ファングはレンの寝ている所まで降りると、レンの体に触れていた。

「レン、お前は俺を気遣い過ぎだよ。だけどスゲー嬉しいよ、ありがとうレン。俺は一生お前の精霊として頑張るからレンは無理するなよ」

 ファングは寝ているレンに優しく触れながら、小さい声で言った後、アクトの所に行った。

「アクト、俺、気付いたんだけどお前、レンと会う時に寝ていただろう」

 アクトと出会った時にレンが氷のベッドで寝ていた事を思い出して、本当は精霊も寝ることが出来ると考えていた。

【あれは寝ているようで、実際は寝てないよファング。あれは目を瞑っているだけでお前らの声は聞こえていたし、それにレンがエレントの言葉を言った瞬間驚いていただろう? 何で気持ち良く寝てた、俺が起きているのか】

 アクトに説明されるとファングはレンが驚いていた事を思い出してガックリしていた。

「それじゃ、精霊は寝ることは無いんだな」

 ファングが肩を落としていると、アクトが付け足すように言った。

【完全に寝ることは難しいけど、レンと同じ状態にする事は出来るよ】
「えっ、本当に寝ることが出来るのか」
【ファングさん、アクトは完全に寝れるとは言ってませんわよ】
「何でも良いんだよ、完全に寝れなくても、寝ている感覚を味わう事は出来るんだよな」

 ファングはアクトにやり方を早く教えろと迫っていた。

【ファングはせっかちだね。まぁ良いけど、マナリンクを通して自分の波長をレンに乗せるんだよ。そうする事でファングはレンが寝ている感覚を味わう事が出来るんだよ。まぁレンにはこの事は内緒な、俺達がレンの感覚を味わっているなんバレたら絶対に怒るから】
「言わないよ安心しな、だけど俺は実際には寝ることは出来ないんだな」
【まぁ、そうだけど、外見から見ればちゃんと寝ている姿にはなるよ。実際は寝ていないけど、俺達の仕草はレンと同じなるんだよ】
【まぁその分レンさんが目覚める時が常に分かるんだけどね】

 アクト達に言われて、ファングは寝られない事を改めて突きつけられたけど、レンと同じ状態になれるだけでファングは嬉しかった。

「アクト、マナリンクを通して俺の波長をレンの波長に被せれば良いんだな」
【うん、そうだよ。やって見れば】

 ファングはマナリンクを通してレンに波長を流し込むとファングに異変が起きていた。

「あれ、なんだよこれ急に眠気が‥‥‥グーグー」

 波長を流し込んだ途端、ファングは宙に浮きながら、いびきをかき寝ていた。

【ファング、聞こえるか】
「えっ、うん聞こえるけど、どうなっているんだ、体は寝ているけど、俺は全く眠くないし、それに体が上手く動かせないよ。まるで精霊依している感覚だよ」

 ファングの体はいびきをかき寝ているけど、精神の中では眠くない様子である。

【それはレンに波長を流し込んだ事でファングはレンに体を支配されているんだよ。今のファングはレンの感覚がそのまま伝わっている状態だよ。今感じているのは、レンが寝ている感覚だよ】
「それじゃ、この感覚はレンそのものなんだな。なんか不思議だよ。レンと一つになって寝ているよ」

 ファングはレンと一つなっている感覚を味わっている。

【まぁ、その状態が一番俺達に負荷が掛からないから楽だろう?】
「うん、楽だね。無駄な力を使わないし、基本的にレンと同じ状態だから。だけど俺は寝てないから、なんか複雑だよ。確かに体は寝ているけど、俺は精神の中でこうして起きているから、それに回りは暗いから逆に怖いよ」
【アハハッ、それは確かに言えるよ。僕だって最初は怖かったよ。だけど慣れれば苦痛はないし、それに精霊同士なら会話が出来るから退屈しないよ】
【まぁ、レンに一番負担を掛けない状態だから、レンが寝たら俺達は基本的にこの状態だよ。まぁ実際は起きているから、波長を解除すれば、普通の状態に戻るからね】
「そうなんだ、俺はレンがいないと何も出来ないんだな」

 寝るときも、レンの力を借りている状態なので、自分が惨めに感じていた。

【ファング、それレンが聞いたら怒るよ。俺達は契約者がいないと何も出来ない存在なんだから、レンはちゃんと理解しているよ】
「あぁ、分かっているけど、あまりレンの力を借りたくないんだよ。ピンチの時以外は」

 ファングは極力レンの魔力を借りたり、レンの手助けをされたくなかった。

【ファングの気持ちは分かるよ。私もレンの魔力をあまり使いたくないから、だけどレンは私達の意見とは逆で、いつも使って構わないって言うんだよ】

 精霊四人もファングと同じ気持ちだった。

「レンらしい答えだな。彼奴は自分を犠牲にしてでも絶対に護ろうとするから、常に見てないと心配なんだよ。レンが精霊四人を大切にしているのは、分かるけど逆に苦しめているなんて、レンには分からないんだろうな」

 レンの優しさが逆に精霊達を苦しめているなんてレンは知らなかった。

【まぁ、そこがレンさんの良いところなんだけどね。普通の契約者ならまず言わないよ】
【レンは精霊使いで大バカだよ、魔力をホイホイ精霊に与える奴なんかいないよ。そんな事をしたらまず体が持たないし、だからレンが俺達に魔力を与えようとした時は一時的にマナの量を調整したり、マナの供給を遮断して対策しているんだよ】
「はぁ、お前らも意外と大変なんなだな。俺も四人と同じ事をしないといけないんだな」

 精霊達はレンに振り回されている事を知り、ファングは頭を痛めていた。

【とにかく、レンは俺達に優しすぎて、考えが甘すぎるんだよ。だからファングが言った通り、常にレンを見ていないと何をしでかすか心配なんだよ】
「はぁ、レン、精霊四人に心配されているぞ」

 精霊四人は常にレンの事を気にしていた。

【それじゃ、俺達もファングと同じ状態になろうか】
【私、早くレンの感覚を味わいたいから先に行くね】
【エレナ、急いでも変わらないと思うよ。それじゃ僕も先に行くね】
【あっ、そうですわ。せっかくファングさんが仲間になったので、色々と精霊について教えてあげますよ】
「ありがとうエレント、退屈しないように気遣ってくれて」

 精霊四人はレンに波長を流し込むとファングと同じ状態になり、気持ちよさそうな寝顔で宙を浮いていた。五人は精神の中で精霊同士の会話を楽しみ、レンが起きるまでの間、ファングに精霊の事を色々と話しているのだった。
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