異世界転生したらヒロインや仲間が最強過ぎて、何故か護られています!

緑青白桃漠

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第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 第3節 遭難と海に棲む巨大な魔物の討伐

第51話 精霊三人の再会と遭難した島の調査

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 ギンギンの太陽が降り注ぐ中、辺りは海の波音が響いていた。レンとファングは二人仲良く寝ていたが、聴き慣れた声がレンだけに響いていた。

【おーい、レン。いつまで寝ているんだ。早く起きろよ】

 アクトが直接、レンの頭に話し掛けていた。

「うーん、うるさい。もう少し寝かせて」

 レンは魘されていた。

【アクト、やめなよ。レンさんが魘されているよ】
【ファングさんは、私達の声が聞こえているはずですから、かなり怒っているかも知れませんよ】
【そんなわけないだろう? ファングは精神の中で寝る技術を掴んだ、化け物だぞ。今もレンの感覚に乗せて寝ているだろう】

 ファングは船の中で精霊四人と精神の中で会話していた時に、レンの精神を借りて完全に寝る方法を編み出していた。

【確かに、ファングさんしか出来ない方法だけど、今は状況が違うよね】

 アルトニスがアクトに説明していると、会話に割り込むようにファングが話していた。

「あぁ、アルトニスの言うとおりだぜ。アクト、あとで俺の所に来いよ絶対に」
【ファング。お前、寝ていなかったのかよ】
「当たり前だ。俺の体は体力を回復させるために寝ている状態だけど、俺はずっと精神の中でレンを監視いたんだぞ。万が一敵が来ても、直ぐ対応出来るように」

 ファングが起きている事が分かり、アクトは謝っていたがファングはレンのいない所に来いよと言っていたので、アクトはうな垂れていた。

【仕方ないね、アクト。自業自得だよ。レンさんに顔を見せたい気持ちは分かるけど、やり過ぎだよ】
【うるさいよアルトニス。お前だって、早くレンに顔を見せたかったじゃないか】
【はいはい、喧嘩しないの、レン様に見られたら飽きられますわよ】

 アクトとアルトニスは喧嘩を始めていたが、エレントが直ぐに止めに入ったので、レンには聞こえていなかった。精霊三人はレンが起きるのをジッと待っているかと思うと、姿を見せて実体化させて、何やら取って来た物を調理していた。やがて辺りに良い匂いがするとレンはその匂いに釣られるように目を覚ましていた。

 うーん、何この良い匂いは、凄く美味しそうな感じがするよ。

 レンは目を開けて、匂いがする方を見ようとしたら目の前にファングが映っていた。

 何でファングが僕を抱きしめて寝ているの?

 ファングが鼾をかいて寝ているので、ビンタをしていた。

「イッテー何するんだよ、お前の力を借りて気持ち良く寝ていたのに」

 ファングはさっきまで、アクト達と話していたのにレンに嘘を付いていた。

「いや、僕を抱きしめなくても普通に寝られるよね。それに体は寝ているかも知れないけど、ファング自身は精神の中で起きていたんでしょう?」

 レンに嘘を見抜かれて、謝っていた。

「ごめんレン。確かに、体は寝ているけど、俺は精神の中でも寝られるんだよ。それは嘘じゃないから」
「はぁ、僕はそんな事は聞いてないよ、何で毎回、言い訳や嘘をつくような言い方をするの?」

 ファングは何かと言い訳が多いので、レンがもう少し素直に答えてと言っていた。

「悪いレン。昔から家族と喧嘩したりしていたから、そのせいかも知れないな」

 ファングは家族に対して、色々言い訳を言ったり、嘘をついていたので、気付かない内に言い訳や嘘をつくのが習慣的になっていた。

「そう、なら段々に直していこうかファング、僕に対しては素直に答えること、言い訳や嘘は嫌いだからね」
「うん、分かったよ、レン。なるべく素直に言えるように努力するから」

 ファングはレンに約束をすると、周辺から漂う匂いを嗅いでいた。

「それよりも、この匂いは何なの? 何かを焼いている匂いだけど」
【やっと起きたかレン。早く来いよ】
「えっ、何でエレント、アクト、アルトニスがいるの?」

 匂いを嗅いでいると、突然目の前にアクト達がいたので驚いていた。

【レン、ボーッとしてないで、早く来いよ。料理が焦げるだろう?】

 アクト達が魚や山菜を調理していたので、レンとファングは呆然としていが、アクト達に行くとレンは喜んでいた。

「どうやってここが分かったの? それよりも、ちゃんと自衛団の人達は送ったの? アリス達は? それとエレナがいないけど?」
【ちょっと待て、一気に言われても困るよレン。とりあえずこれを食べなよ。食べながら話すから】

 レンとファングはアクト達から焼けた魚や山菜を渡されて、恐る恐る一口食べていた。

「何これ、昨日の不味い魚と違うよ。ちゃんと塩味があるよ」
「美味い、アクトどうやったんだ。それ以前にお前ら精霊が料理を作るのが意外過ぎるけど、普通はやらないよな」

 レンとファングがアクト達に聞いていた。

【それは、アリスさんの手伝いを時々しているからだよ。その時に見た事を見よう見まねしてみたんだよ。うまく料理が仕上がってよかった】
「お前ら、精霊は興味があれば何でも試すんだな?」

 精霊達は興味があれば何でもするので、凄すぎてかける言葉が見つからなかった。

【良いだろう。俺らの自由なんだから、いつかこういった事態を想定して学んでいたんがら結果オーライだろう】
「そうだね、暫く料理は精霊三人に任せようかな」

 あまり料理が美味しかったので、精霊達に任せようとしていた。

【嬉しいですわ、レン様。私達を頼ってくれて】
「いや、お前らレンに良いように使われているぞ良いのかアクト?」

 レンは面倒くさい事を精霊達に押し付けようとしていたので、アクト達に確認していた。

【俺は別に良いよ。レンには世話になっているから、それに早く栄養をつけてレンの魔力が欲しいし、ファングはレンに世話になっていないのか?】
「お前に、それを言われると反抗出来ないだろう。はぁ、精霊達はレンの為なら何でもするんだな。俺もそうだけど‥‥‥」

 ファングと精霊達は似たり寄ったりだったので、それ以上何も言えなかった。

「それにしても、いつの間に、魚や山菜を取って来たんだ? しかも、ちゃんと塩が振ってあるし、精霊が調味料を持ち合わせているはずがないだろう?」
【それはお前らが寝ている時に、山菜は近くの森の中で見付けたんだよ。魚は今さっき、俺の水魔法で捕まえたんだよ】
【塩は僕が作ったんだよ。アクトに海水を巻き上げて、僕が炎魔法で海水を蒸発させて、塩を取り出したんだよ】
【アルトニスが作った塩は私の風魔法で優しく運んで、魚や山菜に振りかけたんですよ】
【まぁ、その前に魚は俺の水魔法で綺麗に洗ってからだけどな】
「お前ら、凄すぎだよ。精霊の仲が良くないと出来ない技だな」

 精霊三人のコンビネーションに呆気を取られていた。

「へぇ、そうなんだ。しかし美味しいよ」
【お前は、本当に無関心だよな。まぁ、それだけ元気になれば、安心だな】

 アクトはレンを見て、ため息を吐いていたが、レンが美味しそうに食事をしていたので、内心ではかなり喜んでいた。

「それよりもアクト、僕の質問に答えてないよね?」
【お前らが、魚や山菜、塩などを聞いてきたからだろう? はぁ、まぁ良いよ、それじゃ一つ一つ説明してやるよ】

 アクトはため息をした後、一つ一つ丁寧にレンとファングに説明している。

「そっかぁ、それじゃ直ぐに助けが来る事はないんだね」
【そう言う事だな。まぁ、クラーケンの事があるからそれなりの準備は必要だな】

 アリス達の迎えが直ぐに来ない事が分かると、精霊依で帰れないか確認していた。

【それは無理だよ。お前、ここからレイン王国までかなり距離があるぞ。そんな遠距離を長時間移動していたら、お前の魔力が尽きるよ。現に今は魔力が本来の量に回復してないから絶対に精霊依をさせる分けないだろう】
「うっ、精霊依を使えば解決すると思ったんだけど、本当にダメなの?」
【レンさん、ダメだよ。そんな危険な移動はさせないよ】
【そうです、万が一、レン様の魔力が切れたら、また海に落ちますよ】

 精霊三人に止められて、レンはガックリしていたが、悩んでも迎えが来ないので、とりあえずこの島の調査をする為にアクト達が作った料理を早めに済ましていた。

「さて、朝食も食べたし、とりあえずこの島を回ろうか? どの道、アリス達が暫く来ない以上、ずっとここにいても退屈だし。食事にバリエーションがないから」
「そうだな、とりあえずこの島を回ってみようか」

 レンとファングが立ち上がると、ジャングルみたいな森の中に入っていったが、アクト達が実体化して付いてきている。

「エレント、アクト、アルトニス、実体化で歩かないでよ。精霊だとバレるよ」
【良いじゃんか、誰も見てないんだから、仮に誰か居ても人間らしく行動していれば良いだろう?】
「それはそうだけど‥‥‥」
【大丈夫ですわレン様。そこはファングさんが指導してくれますから】
【そうだよ、ファングさんに人間の動きや行動を教えてもらっているから、あまり違和感ないでしょう。それに久しぶりにレンの目線で冒険出来るから、僕達はかなり嬉しいよ】
【レン、そんな顔をするなよ。精霊だとバレないようにするから、体に傷が付かなければ大丈夫だよ】

 レンはかなり不安をしていたが、アクト達が楽しそうにしているので、強制的に実体化をやめるように言えなかった。

 はぁ、かなり心配なんだけど、何も起きなければ良いな。

 五人は森の中を歩き進めていると、アクト達が何かに気が付いていた。

「どうかしたのアクト?」
【いや、人間が通った痕跡があるよ】

 アクトはレンとファングに説明していた。

「本当に通った痕跡があるの?」

 レンとファングはアクトが示した所を見ていたが足跡や植物などをかき分けた跡がないので、疑っていた。

【足跡は消えているけど、人間が持つ特有の魔力残留を感じるよ】
【おそらく数日前に通ったみたいだね】
「レン、もしかしたら行方不明になった自衛団の人達がいるかも知れないぞ」
「そうだね、ならアクト、魔力残留はどっちに続いているの?」

 アクトに確認してから歩き進めると、小さな川を見つけてひと休みしていた。

【レン、俺らは本来の状態に戻るからな】
「えっ、うん構わないけど、いつもならずっと実体化しているよね」

 アクト達が元の状態に戻ると言っていたので驚いていた。

【確かにそうなんだけど、マナを消費するから今日はこのくらいにするよ】
【レン様の魔力が常に供給されていれば、ずっとこの状態で構わないんですけど、今は魔力を供給されてないので自然界からマナを供給しているんですよ】
「そうなんだ、だけど自然界からマナを摂取出来るとか言ってなかった?」

 精霊達は自然界からでも魔力を摂取出来るので常に減らないと考えていた。

【自然界からだから常時供給されていると思っているだろう? 実際はそんなに供給されていなんだよ、自然界のマナはあくまでも大地から放出されるマナなんだけど、かなり微量なんだよ】
【かなり微量だから、マナをかき集めるの大変なんだよ。この世界にはたくさんの精霊や妖精がいるから、みんな取り合いになるんだよ】
【だからレン様の魔力が常に供給している状態が私達に取ってマナが安定している状態なんですよ】

 精霊三人の説明を聞いて、レンはうつ状態になっていた。

【レン、あまり思い詰めるなよ】
【そうだよ、レンさんは悪くないよ】
【レン様は自衛団を助ける為に魔力を私達に与えただけなんですから、そんな顔をしないで下さい】
「うん、そうだね。ごめんね、心配を掛けることをして」

 精霊三人に励まされて、元気を取り戻していた。

「とりあえず、アクト、お前らは姿を消して、周辺を見て来てくれないか、俺とレンは川を水浴びして体の汚れなどを洗い流して少し休むから」
【あぁ、分かったよ。そっちは宜しくな。絶対にレンから目を離すなよ。まだ完全に回復しないんだから】

 アクト達はレンを心配していたが、周辺の見回りをするため姿を消して飛んで行った。

「全くアクトは心配症なんだから、レン、川に入ろうぜ。海に入っているから、体がベタベタしたり、塩臭いから綺麗に洗おうぜ」

 レンとファングは海に入っているので、体がベタベタしたり、時々塩の香りが髪などから漂っていた。

「えっ、ファングと入るの? 僕は一人で体を洗うよ」

 ファングと一緒に川に入りたくないのか、必死に断っていた。

「お前、まだ昔の事を根に持っているのか?」

 最初に出会った事をぶり返しているので呆れていた。

「当たり前でしょう。汗臭いし、汚いし、あの時の事を話したら切りがないよ」
「うっ、グフ、お前に言われるともの凄く傷つくんだけど」

 レンに痛々しい部分を言われて、ファングは心に槍などが刺さった気分でかなり落ち込んでいる。

「てか、誰かに見られたりしない。パンツ一丁になるから恥ずかしいし、体を拭くものがないよね?」

 予備の着替えや、海パンなどがないので、パンツ一丁で川に入るのを嫌かっていた。

「そこは精霊三人が監視しているから大丈夫。それに体を乾かすのはエレントとアルトニスの協力で熱風を起こして貰えば解決するだろう」
「そう言う所は頭の回転が早いんだから」

 周囲に見られるのを気にしていたが、ファングにうまく丸め込まれていた。レンはファングに言われるまま、仕方なく服を脱いでパンツ一丁になると、ファングに引っ張られて川に入っていた。

「はぁ、生き返るぜ。レン、気持ち良いだろう」
「そうだね、これが温泉なら最高なんだけど」
「確かに、レン、夏季休暇中にまた温泉に行かないか、あの気持ち良さが忘れられないんだよ」
「行けたらね、まぁ、学園が始まる前にどうせ、フリップ村を通るから、その時にまた行こうか」

 温泉の話をしながら水浴びをしていると、ファングがレンの体を食い入るように見ていた。

「ファング、気持ち悪いよ。僕の体に何かあるの?」
「いや、お前の体に傷などが付かなくてよかったと思ってな」

 精霊依の状態でレンの体を借りまくっていたので、レンの体を心配していた。

「そこはファングが一生懸命、精霊の力で治癒したでしょう」
「確かにそうなんだけど、万が一やり残しがあるかも知れないだろう? お前の体を改めて確認出来たから安心したよ」

 レンの体が大丈夫だと確認出来ると微笑ましい表情をしていた。

【おーい、お前ら楽しそうだな。俺達も混ぜろよ】

 アクト達が羨ましそうに上空から見ていた。

「アクト、もう周囲を見回って来たのか?」

 アクト達が早く戻って来たのでファングが疑っていた。

【あぁ、ちゃんと見てきたからそんな顔をするなよ】
「はぁ、その様子だと、ちゃんと見てきたみたいだな」
【ファングさんは直ぐに疑うんだから】
【まぁ、ファングさんはレンの為なら何でもやるから、私達も例外なく使うんですわね】
【はぁ、全く扱いが荒いよ。お前は俺達の中で下なのに】
「良いだろう、確かに精霊の経歴は短いけど、レンの付き合いは俺の方が上なんだから」

 ファングとアクトがレンの事で言い合っているので、水浴びしながら呆れていた。

 ファングとアクトも話す内容、変わっているよ。何で僕の事を話の中に入れ込むの?

 二人の争いを永遠に続けているので、レンは川から上がり、エレントとアルトニスに頼んで、体を乾かしていた。

「レン、何で勝手に上がるんだよ」
【なぁ、俺と水浴びしようよ】

 レンが川から上がっていたので、二人の争いはやめていた。

「いや、もう水浴びは十分だから、それにずっと話している二人が悪いよね」
「うっ、それはアクトが変な事を聞くから」
【ファングが悪い、素直に認めればよかったんだよ】
「なんだと、お前が余計な事を言わなければ、こんな事にならなかったんだよ」
「ファング、アクト、いい加減にしてくれないかな?」

 二人がまた喧嘩しているので、レンは切れていた。

「はい、ごめんレン」
【レン、悪かったよ】

 ファングとアクトはレンを怒らせて、表情が暗くなり、体が凍て付くように動かなかった。

【あぁ、レンさんを怒らせたよ】
【あの様子だと、レン様、二人に何かしらの罰を与えそうですね】

 エレントとアルトニスはレンの表情を見て、険しい表情をしながら、ファングとアクトを見守っていた。

「ファング!」
「はい、何ですかレン」

 レンの表情が恐くてファングは顔を上げられなかった。

「暫く、精霊の状態でアクトと二人で周辺を見て来てくれないかな? アクトも良いよね?」
【別に良いんだけど、さっき‥‥‥】
「何か問題でもあるのアクト?」
【いえ、何でもないです】

 アクト達はさっき周辺を見てきたので、また確認するのとレンに言おうとしたが、威圧感が強すぎて、何も言い返せなかった。

「なら、さっさと行って来て、僕はここでエレント、アルトニスと一緒にいるから」
「分かったよレン。アクト、さっさと行って来ようぜ」
【えっ、うん分かったよ】

 ファングは精霊の力を開放すると、アクトを連れて周辺の確認に飛んで行った。

「はぁ、少しは二人で反省してくれると良いんだけど? それよりも、エレント、アルトニス、周辺を見て来た事を話してくれないかな」
【うん、分かったよレンさん】
【畏まりましたわレン様。二人が帰ってくるまでに全て話しますわ】

 ファングとアクトが周辺の確認から帰ってくるまでの間、周辺を確認した事をエレントとアルトニスから全てを聞いている。

「そう、この奥に洞窟があって、それは反対側につながっているんだね」
【そうだよ、おそらくその洞窟を抜ければ、何か行方不明者の手がかりが見付かるかも】
「あんまり、遠くまで行かなかったの?」

 精霊なら遠くまで確認出来るのに、何故確認しなかったのか疑問だった。

【本当なら、反対側の岸まで行けばよかったんですけど、アクトに止められて引き返したんですよ。あまりマナを消費するなと言われたので】
「アクトらしい判断だね。僕の魔力が供給されていればこんな些細な問題は発生しなかったと思うよ。アクトは本当に精霊達の事を考えているんだね」
【まぁ、アクトはあぁ見えて、かなりの心配症だから、僕達のマナを気にしているんだよ】
【アクトは意外と私達やレン様の事を考えているので、本当に頼りになりますわ】
「そうだね、アクトはリーダー的存在だから、多分色々と神経を使いながら考えているんだね」

 精霊アクトの事を話していると、ファングとアクトが帰って来た。

「お帰りファング、アクト。ファング、何で怯えているの?」

 ファングとアクトは周辺の確認が終わり、レンのもとに戻っていたが、ファングは精霊の姿を解除してないので確認していた。

「えっ、それは‥‥‥お前の罰がまだ続いているから、普段ならお前が終わりの合図をするだろう」

 普段なら罰を与えた本人が終えたか判断するので、ファングはレンがちゃんと言うのを待っていた。

「はぁ、エレント、アクト、アルトニス、少しだけファングと二人きりになりたいから、三人は近くで遊んだりして時間を潰して」

 アクト達に伝えると、三人は頷き、その場から姿を消していた。

「ファング、僕と精霊依してくれない」
「ふぇ、どうしたの急に?」

 レンから突然精霊依になろうと言われて、ファングは戸惑っていたが、素直に精霊依に応じて、一つになっている。

「ねぇ、どうして僕が怒っているかちゃんと理解しているの?」

 胸に手を当てながら、ファングに問うていた。

「それは、俺がアクトと喧嘩していたからでしょう?」

 ファングとアクトが口喧嘩していた事をレンに言っていたが、意外な答えが返って来た。

「はぁ、確かにそれもあるけど、一番は言い訳して自分の言い分を言っていることだよね。アクトは素直に認めるのに、何でファングは必死に否定をするの?」
「それは‥‥‥」

 ファングが言い辛そうなので、質問を変えていた。

「じゃ、もし僕が一生許さなかったら、ファングはどうしていたの? 仲間を外されて、自分の理想の人生が終わるかも知れないのに?」
「それは‥‥‥酷いよレン。全部答えられない質問ばかりして」

 答えにくい質問ばかりされて、ファングが嘆いていた。

「そうだね、僕はずるいかも知れないね。だけど、ファングを切り捨てるのは簡単なんだよ」
「レンは俺を切り捨てるのか?」

 ファングは弱々しい声でレンに聞いていた。

「切り捨てるかは、ファング次第だと思うよ。本当に反省しているのなら、僕は許してるし、反省してないならファングを切り捨てるかも知れないよ」
「なんだよそれ、全然答えになってないよ」

 レンがちゃんと答えてないので、ファングの鼓動が早くなっているのが分かった。

 はぁ、だいぶ焦っているみたいだね。本当に切り捨てられると思っているのかな?

 胸を触れていると、ファングの今の状態が伝わっていた。

「レン、頼むから俺を切り捨てないで、俺ちゃんと反省しているから」

 ファングの弱々しい声がレンに響いていた。

「分かったよ、ファングの心情が伝わっていたから、許してあげるよ。ただし、ファングだけはもう一つの罰を受けて貰うよ」
「うん、何でも受けるから、それでレンの気が済むのなら」

 ファングはレンに切り捨てなくてホッとしていたが、何の罰を受けるのか不安だった。

「なら、この状態でファングは寝てよ」
「レン、俺は寝ることが出来ないんだよ」
「そんな事ないよね、精神の中で寝ることが出来るって、アクト達が言っていたよね」

 レンはアクト達の会話を聞いていた。

「何でそんな事を知っているんだよ」

 知られたくない事を知っているので、レンに確認していた。

「さぁ、何でだろうね、ファング?」
「本当にずるいよ。いつも反論出来ないようにするんだから」
「さぁ、ファング寝なよ。それが僕からの罰だよ。多分寝ることは無理だけど、ファングなら出来ると信じているから」
「はぁ分かったよ。寝れば良いんでしょう‥‥‥なぁレンの力を貸してよ」
「それはダメ」

 ファングは必死に寝ようと頑張っていたが、中々寝られない状態だった。

「なぁレン、許してよ」
「ダメだって言っているよね、早く寝なよ」
「俺だって頑張っているんだよ。だけど眠気なんか一切ないんだから」

 ファングが寝られないと何回も言うので、レンは目を瞑って軽く息をして、精神を統一していると、ファングが突然眠気に襲われていた。

「あれ、何か急に眠気が、レン何かしたのか?」
「僕は何もしてないよ。寝られるなら良いんじゃないの?」
「嘘つくなよ、お前が何かやらない限り、俺は寝ること何か出来‥‥‥」

 ファングは気持ち良さそうに眠りに入っていった。

 はぁ、やっと寝たみたいだね。やっぱり、僕が眠気をファングに伝えると、ちゃんと伝わるんだね。

 精霊依の特徴を上手く使って、ファングを寝かせていた。

【レン、お前ワザとファングと精霊依をして眠らせただろう?】

 アクト達は、上空から二人を見ていた。

「アクト、見ていたの? 二人きりにしてと言ったのに」
【ごめん、勝手に見てしまって】
「別に良いんだけど、アクトの言った事は正しいよ。こうでもしないと、ファングは絶対に寝ないから、少しでも休ませたいんだよ」
【お前らしいよ。本当ならファングは抵抗するけど、今は素直に受け入れるしかないからな】
【レンさんは、罰を逆手に取っているから、本当に凄いよ】
「そんなんじゃないよ、多分喧嘩しなくも、いずれやるつもりだったから」

 レンは胸に手を当てながら、ファングがちゃんと寝ているか確認していた。

「それよりも、ファングは寝ているんだよね」

 アクトに確認していた。

【おそらく寝ているよ。手を当てて、鼓動が一定で伝わっていれば、寝ている証拠だよ。寝ている時は一定量のマナしか体中を巡らないから】

 レンは胸に手を当てて確認すると、アクトに言われた状態だった。

「精霊依って、不思議だよね。ちゃんと相手の事を感じるから」
【まぁ、それが精霊依なんだから仕方ないだろう?】
「確かにそうなんだけど、精霊依って色々使えると思って」
【お前、精霊依で悪用しないだろうな】
「しないけど、ファングには使えると思って」
【それ、ファングが聞いたら、絶対に怒るよ】

 レンは精霊依の力を使って、ファングを躾けようと考えていたが、アクトに止められていた。

「良い考えだと思ったけど、確かに人前じゃ出来ないよね」
【普通に考えたらやらないと思うよ】

 ファングを暫く寝かせる為、アクト達と話をして時間を潰していると、ファングが目覚めたので、精霊依を解除して、ファングももとの状態に戻っていた。

「ファング、よく眠れた?」
「あぁ、よく眠れたよ。レン、本当に悪かったな。俺の気遣いまでしてくれて」
「何の事かな、僕はファングに罰を与えただけだよ」
「そうだな、だけど俺は嬉しいよ」

 ファングはレンの気遣いに気付いていたのか、優しい笑みでレンを見ていた。

「さて、行こうか、アクト案内お願い」
「レン、ちょっと待ってよ」

 レンとファングはアクト達に案内されて、洞窟の入口にやって来ていた。

「うぁ、かなり暗いね」

 洞窟の中は薄暗く、かなり不気味な雰囲気が漂っていた。

「レン、俺が先に行くから、俺の後ろから付いてこいよ」
「いや、ファングは光と闇を司る精霊だよね。何かしら光魔法はないの?」

 ファングは光と闇を司る精霊と言っていたので、周りを照らす光魔法はないのか聞いていた。

「えっ、それが使えないんだよね、アハハッ」
「いや、笑いごとじゃないよファング、精霊なのに本当に使えないの?」
「それが‥‥‥」

 魔力があまり回復してないので、周囲を照らす光魔法を使っても周囲を照らす維持が出来ないと説明していた。

「はぁ、本当に役に立たないよね。だからアリス達に言われるんだよ」
「分かっているよ、俺が役に立たないくらいは知っているから、だけどレンの前では良いところ見せたかったよ。折角、精霊の力を見せて上げられると思っていたから」
「自分が役に立たないの自覚あるんだね」

 ファングは情けない自分を責めていたが、洞窟を進まないと行けないので、精霊三人を先に行かせて、レンとファングは薄暗い洞窟を歩き進めていた。

 うぁ、真っ暗で何も見えないよ。

 洞窟の奥に進むに連れて、辺りは完全に真っ暗になっていたので、手を伸ばしながら、ファングの体に触れていた。

「レン、大丈夫?」
「何とか、ファングの体に触れているから大丈夫だよ」
「悪かったな、俺が光魔法を使えなくて」

 ファングは精霊になった事で、暗闇の中でも周囲を見渡すことは可能だった。

「いいよ謝らなくて、ファングは周囲がくっきり見えているんだから、僕はファングの体を触れながら歩けば良いでしょう?」
「確かにそうなんだけど、それじゃレンを護るのは無理だよね」

 レンに体を掴まれていたら、いざと言うときに、レンを護れないのでどうしようか悩んでいた。

「アクト、聞こえるか、アルトニスを貸してくれないか?」
【どうかしたのかファング?】

 ファングは罪悪感から、アクトに助けを求めて、説明していた。

【はぁ、そう言う事態は早く言いなよ。分かったアルトニスを直ぐに行かせるよ】
「悪いな、アクト」
【お前、レンに謝るなって言われているだろう。なら俺達にも謝るなよ。お前らの事情は知っているんだから】

 ファングが謝りながら助けを言って来るので、若干引いていたが、大切な仲間なのでアクトがアルトニスをレンの所に行かせていた。

「悪いな、アルトニス」
【良いよ、レンさんの為だから、それじゃ明るくするね】

 アルトニスは自分の体を炎にして、周囲を照らしていた。

「うぁ、凄い明るいよ。それよりアルトニス大丈夫なの? 体中が炎なんだけと」
【全然大丈夫だよ。僕に触れたら燃えるかも知れないけど、触らなければ燃えたりしないよ】
「へぇ、精霊って色々凄いんだね」

 レンはアルトニスに近付いて見ようとしていたが、アルトニスに止めらていたので、距離をおいて見ていた。

【それじゃ行こうかレンさん、僕の後ろをついて来てね】

 アルトニスを先頭にレンとファングがあとを付いて行っている。

「アルトニス、エレントとアクトは先に行っているの?」
【そうだね、かなり奥まで行っているハズだよ。暫くすれば戻って来ると思うよ】

 アルトニスと話していると、アクトとエレントが戻って来た。

【ただいま、うぁ、アルトニスなんだよその姿は】
【初めて見ましたわ】

 エレントとアクトはアルトニスの姿を見て驚いていた。

【エレント、アクト、驚き過ぎだよ。僕は火と炎の精霊なんだから、この姿になってもおかしくないよね】
【そうか、俺は変だと思うぜ。全身炎に出来るのはアルトニスくらいだろう?】
【アクト、酷いよ。僕は一生懸命頑張っているのに、僕を変人精霊みたいに言わないでよ】
【アルトニス、こっちに来るな。来るなら、全身炎をやめてから来いよ】

 アルトニスはアクトに傷付けられて怒っていた。

「お前ら、レンが見ている中で喧嘩するなよ」
【そうだった、ごめんねレンさん】
【悪い、見苦しい所をまた見せてしまって】
「良いよ別に、久しぶりに二人が喧嘩しているの見られたから、本当に仲が良いよね」
【そうか、俺は嫌なんだけど、毎回レンが見ていない所で俺にベタ付くから】
【良いじゃん、アクトを一番慕っているのは僕なんだから】
【だから、その姿でこっちに来るなよ】

 アルトニスは全身炎でアクトを追っかけ回していた。

「全く何をしているんだ、なぁエレント、奥を見て来たんだろう。どんな感じだったか」
【その事何ですけど】

 エレントに聞くと、この奥にモンスターの反応を感じると言っている。

「えっ、モンスターがいるの?」
【多分、洞窟内に棲みついたモンスターだろうな。アルトニス、もう来るのはやめて】
【えっ、アクトの表情が楽しいのに】
「お前ら、いい加減にしろよ。レン、どうする、この先に進むか?」
「進むしかないよね、人の痕跡がある以上は確認する必要があるから、アルトニスよろしくね」
【任せてレンさん、周りがくっきり見えるように明るくするから】
【アルトニス、あまり勢いよく、炎を出すなよ。まだレンの魔力が供給されてないんだから】

 アルトニスを心配していたアクトだが、大丈夫と言っているので、アクトがアルトニスの近くに行き見守っていた。

【なんだかんだで優しいよねアクトは】
【別にそんなんじゃないよ、お前が心配だから】
「本当に仲が良いよねファング」
「あぁ、まるで俺とレンみたいだよ」
「えっ、僕は違うと思うけど」
「酷いよレン」

 アルトニスに誘導されながら歩き進めると、ファングが周囲の違和感を感じていた。

「レン、剣を構えろ、何かいるぞ」

 ファングの感はいつも戦闘面では冴えているので、剣を抜き構えて周囲を警戒していた。

【アルトニス、お前は周囲を照らせ、俺とエレントはレンの近くにいるから】
【分かったよ、僕もなるべく攻撃出来るようにするから】
【アルトニス、無理しなくても大丈夫ですよ。今は自分の仕事に専念して下さい】

 精霊三人は話し合った後、エレントとアクトがレンの傍に付き添う形にぴったりといた。

「エレント、アクト、別に離れても大丈夫だよね。何で僕の近くにいるの?」
【確かに離れても護れるけど、お前の近くが良いんだよ】
【レン様の近くに入れば、魔法の範囲を絞る時間を短縮出来ますから】
「時間短縮とか、ほんの数秒だよね。そこでやる必要あるの?」
【ほんの数秒だけど、俺達に取っては重要なんだよ。それでお前に何かあったらどうするんだよ】

 アクト達が必死にレンを護る原因は以前話していた規律にあると考えていた。

 はぁ、普通はここまでベッタリ張り付く精霊はいないよ。まぁ、アクトの事だから僕を心配する気持ちは分かるけどやり過ぎだよ。一体精霊同士で何を話しているの?

 精霊達の事はある程度理解しているが、考えていることが毎回過度過ぎるから、もう少し考えて欲しいと思っていた。

「エレント、アクト、くれぐれも僕の邪魔だけはしないでね」
【分かっていますわレン様】
【はいはい、戦えるようにすれば良いんでしょう。ファング、俺とエレントがレンに付き添うからお前はレンを気にせず思う存分暴れろよ】
「悪いなアクト、気を遣わせて。だけどレンに何かあったら許さないからな」
【大丈夫だよ。そんな顔で睨むなよ。ちゃんとレンを護るから】

 ファングを戦いに集中出来るように、アクト達が気を遣っていた。

「アルトニス、そのまま奥にゆっくり進めよ」
【うん、分かったよ】
「レン、周囲を警戒しながら歩くぞ」
「うん、分かったよファング」

 レンとファングは周囲を警戒しながら、洞窟の奥に向かっている途中だった。

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