異世界転生したらヒロインや仲間が最強過ぎて、何故か護られています!

緑青白桃漠

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第6章 久しぶりの学園生活とカルベル王国の反乱部隊!

第93話 緊迫感がなさ過ぎる五人!

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 アクトの報告を受けたファングは、フォレストの中で深刻な表情をしていた。

「ファング、アクトから報告があったんだよね。何て言っていたの?」
「ファング、黙ってないで、答えろよ」

 カイトとクライブはファングの制約で会話を聞く事が出来ないので、直接ファングに聞いていた。

「それは‥‥‥俺達が乗せた魔道列車は、もう直ぐ廃線に向かって、突っ込むって言われた」

 ファングは一瞬誤魔化そうとしていたが、レンに言われた事を思い出して包み隠さず、カイト、クライブ、リオス、テオに伝えていた。

「ファング、今言った事本当なの?」

 カイトはファングが言った事実に、まだ呑み込めてなかったが、ファングは頷くしかなかった。

「マジかよ。それが本当なら時間がないぜ、さっさとアクトが言った敵を倒そうぜ」

 クライブはさっさと、敵を始末しようと提案したが、ファングが止めていた。

「いや、クライブの提案は却下だ。それだと敵逃がす可能性がある」
「ならどうするんだよ」

 カイトとクライブが悩んでいると、ファングが一つ提案をしていた。

「カイト、クライブ、お前らの力を貸せ。一時的に完全な状態になるんだよ。俺達三人が完全になれば、彼奴らを一網打尽出来るだろう」

 ファングの提案にカイトとクライブは疑心暗鬼になっていたが、今は時間がないので、ファングの提案を受け入れるしかなかった。

「ファング、それでレン君達を助けて、しかも敵を一網打尽出来るんだね」
「あぁ、そうだぜカイト」
「仕方ないな、今はファングを信じるしかないか、ちゃんとマスターを護れるんだろうな」
「あぁ、任せろクライブ。リオスとテオは俺達から離れろよ。誤って取り込んじまうから」

 ファングがリオスとテオに言うと、軽く頷いてファング達から距離を取っていた。

「さて、時間がないから、さっさとやるぞ」

 ファングの指示でカイトとクライブが頷くと、ファングは二人を取り込み苦しんでいた。

「うっ、あぁー」

 やがて、フォレストの中でファングの悲鳴が消えると、雰囲気が変わって体を確かめていた。

「はぁ、凄いぜ。カイトとクライブが持つ知識や能力が俺に流れて来るぜ。まぁ、完全な状態で無くても、俺に流れていたけど、完全体になるとやっぱりスゲーぜアハハッ」

 ファングは完全になったフォレストの姿に酔っていた。

「さてとこんな事している暇は無いんだった。カイト、クライブ、完全に一つになったからって、ちゃんと細胞を通して聞こえているよな。お前らは周囲に散らばせた分身を回収して、レンの影に忍ばせたおけ、万が一レンが攻撃で避けられなかった時の身代わりで行動しろ」

 ファングはフォレストの中から、命令信号を送るとカイトとクライブの細胞が活発に動き始めているのが分かった。

「リオス、テオ、俺はレンの所に行くけど、カイトとクライブは死んでないから、何かあったら、ここで叫べよ。フォレストの細胞の一部が変化して、お前らを助けてくれるから」
〈分かったよファング、レン君の事頼んだよ〉
〈無事にレンを助けろな〉
「あぁ、任せろ。レンは絶対に死なせないからな」

 ファングはリオスとテオに伝えると、ファングは液状になってフォレストの細胞に消えていた。

 さてと、本体の方は特に問題なさそうだな。ちゃんとカイトとクライブが俺の体に馴染んでいるのが分かるぜ。

 ファングは魔道列車の窓に移る、自分の姿を見て変な所はないか確認していた。

 変と言われれば、目かな? 何か三色になっているぜ、しかも髪型や髪の色、声まで、はぁ、やっぱりそうなるかぁ。

 体は特に異常はなかったが、目や髪型、声に異常があった。

「はぁ、とりあえず、直すか、これじゃ俺ではないし」

 ファングは窓に移る自分を見ながら、本来の姿に戻していた。

「よし、完璧だな。声も直したから、三人が一つになっているのは分からないな。レン、起きろ頼むから、緊急事態なんだよ」

 ファングは本来の姿に戻すと、直ぐにレンを起こしていた。

「ファングうるさい‥‥‥って、あれ僕何で寝ているんだ」

 レンは寝言を言いながら、起きると状況が掴めてない様子だった。

「本当によかったぜレン」

 レンが目覚めるとファングは涙目になっていた。

「ファング、くっつかないで、状況が分からないんだけど、何で泣いているのしかも雰囲気が違うし」

 レンは状況が分からないまま、ファングに抱きしめられていたが、ファングの雰囲気が違う事を一瞬で見抜かれていた。

「やっぱり隠してもレンには分かるんだな」

 ファングは完全な状態を隠そうとしていたが、レンに簡単に見破られたので、仕方なく説明していた。

「そう、カイトとクライブは完全にファングに取り込まれたんだね。それで二人の人格は消えたの?」

 レンはカイトとクライブを心配しているので、ファングは直ぐに否定していた。

「大丈夫だよレン、二人の人格を消したりしないよ。今は完全な状態だから、二人は消えているように見えるけど、ちゃんと二人は生きているよ。今はフォレストの細胞一つ一つに人格が宿って、神経みたいに張り巡らせてある状態になっているだけだから安心しな。もし心配ならレンに忍ばせた分身に言って見れば、俺が言った事を理解出来るぜ」

 ファングの説明に疑心暗鬼になっていたが、とりあえずファングを信用して呼ぶ事にしていた。

「本当に二人は消えて無いんだね」

 レンはファングを見ながら、もう一度同じ質問をしていた。

「はぁ、レンは本当に疑い深いよな。まぁ、俺がレンに対して色々隠していたから信用出来ないのは分かるけど、今は隠し事はしてないから、俺を信用してくれよなレン」
「分かったよ。ファングが嘘を言ってないのは顔を見れば分かるから信用するよ。それじゃカイト、クライブ、ちょっとだけ顔を見せてよ」

 レンは二人を呼ぶと、レンの影からカイトとクライブが姿を見せていた。

「やあ、レン君やっと起きたんだね」
「マスター、体に異常はないか」
「うぁ、びっくりした、何で顔だけ出しているの?」
「いや、レンがちょっとだけと言ったから、カイトとクライブがそれに応えただけだよ」

 カイトとクライブが影から頭だけ見せているので、レンはビックリしたが、二人が消えてない事が確認出来てホッとしていた。

「本当に消えて無いんだね」
「当たり前だよ。レン君、僕とクライブは一時的に完全な姿でファングに一任しているから、消えているように見えるだけだよ」
「マスター、ならファングのお腹に手を触れて、もう一度俺とカイトを言って見ろよ。俺とカイトがいるのが分かるぜ」

 レンはカイトとクライブに言われるまま、ファングのお腹に触れて、再び二人を呼ぶと、ファングのお腹から反発するように押し返す力が返っていた。

「何これ、触れているだけなのに力強く押し返しているよ。ファング、呼吸して膨らませてるの?」
「レン、俺がそんな事するかよ。それはカイトとクライブがやっているんだよ。二人はフォレストの細胞に溶け込んでいるから、自由自在に体を操作出来るんだぜ。まぁ、二人の意識は完全に俺になっているから話す事は出来ないけど、それでもカイトとクライブが一つになることで、色々と利便性はあるし、命令系統の短縮になるだろう」
「なる程ね、何となく分かった気がする?」

 レンは実際に説明を聞きながら、見ているので受け入れるしかなかった。

「とりあえずカイト、クライブ、お前らはレンの影の中に戻れ」

 ファングはカイトとクライブに命令したが、レンと話していた。

「はいはい分かったよファング。レン君、詳しい事情はファングから聞いてね」
「マスター、俺とカイトは、完全にファングに取り込まれて話す事は出来ないけど、こうして分身を使えば話せるから心配するなよ」
「カイト、クライブ、時間が無いんだからさっさと戻れ」

 ファングに戻れと言われたが、カイトとクライブは言いたい事があるため、中々レンの影に戻ろうとしなかった。

「はぁ、一つになった割には余り変わらないんだな」
「そうだね、僕とクライブの知識を得ているから、説明はちゃんとしているけど、中身までは変えられなかったか」
「お前らいい加減に戻れ!」

 ファングが強制的に命令すると、二人は呆れながらレンの影に戻っていた。

「彼奴ら、完全に一つになったのに、全く変わってない。絶対にこの姿で維持してやる」

 ファングは二人の態度を見て、暫く完全な状態で行動しようと考えていた。

「はぁ、ファング、意地悪しないの」

 ファングの様子を見たレンは呆れ気味に言っていた。

「だってレン、完全な姿になったのに彼奴ら全く変わってないんだぜ。少しくらい罰をやっても良いだろう」
「それはダメだよ。それにファングは強引に二人から主導権を奪っているよね」
「うっ、それは‥‥‥ごめんレン、俺が悪かった」

 レンはファングの事を何でも知っているので、ファングは降参していた。

「それでファング、君が知っていることを全て教えて、時間が無いんでしょう?」
「そうだった、レン一度しか言わないからちゃんと理解してくれよな」

 ファングは今まで起きた事を、詳しくレンに説明していた。

「事情は分かったけど、アクト達も動いているんだ」

 ファングの説明を聞いて、レンは何か考えていた。

 何か僕が言わなくても勝手にやるから、僕必要ないよね。

 精霊やファングが勝手に率先して、行動しているので自分は必要ないと感じていると、ファングが何かを感じ取っていた。

「レン、お前自分は必要ないと思って無いだろうな」
「えっ、そんな事ないよ」

 ファングに勘づかれていた。

「レン、俺がどんだけお前の傍にいると思っているんだ。俺やアクト達はお前と契約を交わしているんだぞ。レンを護るのが精霊の役目だろう」
「そうだね。あぁ、ファングに見抜かれるようになったら終わりかな」
「レン、時間が無いのに嫌みを言うな」

 時間は一刻を争うのに、レンは余裕な表情を見せていた。

「さて、茶番はこの辺にして、アリス達は大丈夫なの?」
「はぁ、お前って奴は、アリス達なら大丈夫だよ。カイトの魔法で治癒したから、時期に起きるハズだぜ」

 ファングに言われて、暫く待ったが全く起きる気配を感じなかった。

「本当に起きるのファング?」
「あれ、おかしいなぁアハハッ、おいカイト、どうなっているんだ‥‥‥えっ問題ないって何だよ。起きろレイス」

 ファングはカイトにコンタクトしたが問題ないと返って来たので、隣の席で寝ているレイスに八つ当たりしていた。

「グッフ、ファング、これは何の真似ですかって、俺様何で寝ているんですか、しかもファングのパンチでお腹が痛いです。ファング、あとで覚悟して下さい」
「悪いレイス、しかし、レンと同じ事を言うんだな。もっと別なリアクションがあるだろう」
「リアクションって何の事ですか?」

 レイスは状況が掴めてない様子だった。

「とりあえずレイスは起きたぜレン」
「そうだね。何か強引だけど、レオスは契約印で起こすよ。起きなレオス」

 レンはファングに苦笑いで応えた後、契約印を使ってレオスを起こしていた。

「ふぁ、レンお兄ちゃん、僕何で寝ていたの?」
「それは全員が揃ったらファングから説明させるよ。後はアリスと先生達だけど、ファング、アリスを起こして、レイスは先生達ね」

 レンは二人に指示していたが、ファングは拒否していた。

「俺は絶対にアリスを起こさないぜ。そんな事をしたら確実に殺される。レンが起こせよ」
「えっ、それはちょっとねぇ」

 アリスはレンの事が大好きなので、起きた時に何をされるのか想像するだけで嫌だった。

「お前、俺の事を心配しないのか? 俺は精霊何だぞ」
「へぇ精霊ねぇ。なら僕の指示に従ってよ、さぁアリスを起こしてね。頼んだよ

 レンがファングに向かって囁くと、ファングは悲鳴を上げながら抵抗していた。

「レンの薄情者、俺は絶対にアリスを起こさない。カイト、クライブ、絶対に腕を動かすなよ」

 レンに命令されて、ファングは必死に腕を押さえて抵抗していた。

「ファング、抵抗すると見苦しいよ。ちゃっちゃと起こして」
「そうですよ。さっさとアリスを起こして、アリスの説教を受けたらどうですか?」

 ファングにパンチされて起こされたレイスは、レンに同情していた。

「レイス、テメェ、さっきの事を絶対に恨んでいるだろう?」
「当たり前です。普通パンチで起こしますかファング?」

 レイスは先生達を起こしながら、時々ファングを見て話していた。

「はぁ、ファング早くしてね。!」
「やだ、やめてレン。カイト、クライブ、何で腕を動かすんだよ。嫌だぁやめてろ‥‥‥」

 ファングは必死に腕を押さえて抵抗していたが、レンの命令には逆らえず、アリスに強烈なパンチを与えていた。

「グッフ」
「終わった‥‥‥アハハッ」

 アリスにパンチをして、ファングは今にも死にそうな表情をしていた。

「あぁ、やっちゃあファング」

 命令した本人が手で目を覆い、手の隙間からファングに冷たい視線を送っていた。

「酷いレン、何で命令したんだよ」
「だって精霊でしょう? 僕の為に尽くすって誓ったよね」
「誓ったけど、使う場所が違うだろう?」

 レンが天然すぎるボケで、ファングは頭を傷めていると、アリスが目を覚ましていた。

「うーん、レン君おはよう、私何で寝ていたの、しかもお腹がチョー痛いんだけど」

 アリスが目覚めると、ファングはビクビクしていた。

「えっとそれは‥‥‥」
「それはファングが、アリスさんにパンチで起こしたからですよ」
「レイス、テメェ!」

 レンは誤魔化そうとしたが、レイスが正直にアリスに伝えていた。

「へぇ、ファング、これは何のつもりかしら?」
「アリス、早まるな俺は悪くない。悪いのは俺に命令したレン何だよ」
「なっ、ファング、人になすり付けるのは良くないよ」

 アリスに何されるか分からないので、ファングを裏切ってでも回避しようとしていた。

「レン、自分がやった事を否定するのか」
「ファング、レン君がそんな事しないでしょう。仮に命令してもやった本人はだよね。命令されても抵抗出来るって言ってなかった?」

 レンに命令されても精霊達は抵抗する事で、命令拒否出来るがかなりの技力が必要だった。

「言ったけど、レンの命令には逆らえないんだよ。頑張って、腕を押さえたけど無理だったんだよ」
「やっぱりファングがやったんだね?」
「あっ‥‥‥」 

 アリスに誘導されて、ファングは墓穴を掘っていた。

「レン君、ちょっとファングを借りるわね。さぁ、こっちに来なさい
「待てアリス、今はそんな事をしている場合じゃないんだよ。時間が無いんだって」
「時間? そんなの関係ないわ。まだ時間に余裕でしょう。さっさと来なさい」

 ファングは事態の深刻さをアリスに言ったが、アリスには通用しなかった。

「ファング大丈夫かな?」
「さぁ、分かりません。大きな音とファングの声が響いていますけど、何されているか見えませんね」

 アリスとファングは、かなり後ろの方でファングを説教しているみたいだが、アリスが何をしているのか全く見えなかった。

「とりあえずフォレストの姿にならなければ、大丈夫かな?」
「そうですね、フォレストの姿になったら、相手側に情報を与えてしまいますからね」
「レン、頼むからアリスを止めて、グッホ、グッフ」
「うるさいわねファング、大人しくしなさい」
「アハハッ、暫く終わらなそう、頑張ってファング」

 車内ではファングの声が響いているのだった。

「何、リズワール王国の学生と先生達が目覚めただと」

 レン達の車列を担当していた、魔道師がレーフリートに報告していた。

「はい、先ほど大きな声が響いていました」

 ファングがアリスの罰を受けて、ファングが叫んでいるのを魔道師は聞いていた。

「バカな、あれは一晩中眠るほどの睡眠薬だぞ」

 早く目覚めたのでレーフリートは驚いていた。

「レーフリート様、睡眠薬を染みこませた物が満遍なく入ってなかったのでは?」

 魔道師は弁当に不備があったのではと、レーフリートに確認していた。

「いやそんなハズはない。私が確かめたから間違えない」
「なら、どうして目覚めたのですか?」
「そんなの私に言われても困る」

 レーフリートはファングが半精霊の存在を知らないので、いくら睡眠薬や毒などを混入させても、半精霊のファングには通用しない事など知るよしもなかった。

「どうしますかレーフリート様、我々の計画が」

 魔道師は焦った様子を見せていた。

「焦るな。我々にはまだまだ手がある。それに結界を張った、この魔道列車からは出ることは出来ぬ」
「確かにさすがレーフリート様」
「そうだろう。なら配置に戻れ、そこだけ結界が薄れると厄介だからな」
「ハッ!」

 レーフリートに言われて、魔道師は再び自分の持ち場に戻っていた。

「さすがリズワール王国の学生、私をこのまま退屈させませんね。ですが、先に魔道列車から脱出出来るか、それとも地獄の奈落に落ちるか、楽しみになりましたね。さぁショーの開幕です」

 魔道列車の上ではレーフリートが新たな、作戦を遂行しようとしているのだった。

「ベリット先生、何か良い案はありましたか?」

 レン達がいる車内ではファングの声が響く中、先生達が目を覚まして、レンが状況を説明した後、作戦を考えていた。

「いや思い付かないな、クラック先生。ファリブル先生の方はどうなんだ」
「ガハハハ、私なら直接殴り込みに行くが、この結界だと、この上には行けないな」

 敵は直ぐ上にいるのに、回りは結界で張り巡らされているので、魔道列車の上に行けなかった。

「そうですね、直接行けば何人か生け捕り出来ますけど、確実に全員捕まえる必要がありますね。しかしここまで人を移動させて、結界を張るくらいですから、相手側はそれなりの強さはあると見て良いでしょう」

 クラック先生は、魔道列車に張り巡らされている結界を見て、相手側の力量を分析していた。

「ちょっとベリット先生や他の先生も、俺がこんな状況なのにアリスを注意しないのか、グッフ、グッホ」

 先生達が見て見ぬ振りをしているので、ファングが怒っていた。

「うるさいわね、まだそんな口を聞けるの?」

 アリスとファングはまだ奥で、ファングの説教をしていた。

「ファング、お前に構っていたら切りがないだろう。それにお前は毎回アリスと問題を起こしているんだから、それくらい我慢しろ」
「それって、先生としてダメ何では‥‥‥グッフ」

 先生達はアリスとファングが喧嘩している報告を毎回受けているので、先生達も容認するようになっていた。

「アハハッ、それでベリット先生、僕達は何をすれば良いのですか?」

 ファングとアリスを無視して、話を進めていた。

「そうだな。これ以上話しても時間が惜しいから、クラック先生とファリブル先生は、反対側の車列を見て貰い。私とお前らは先頭車列を目指して、操作室でこの魔道列車を止めるで良いか? クラック、ファリブル先生」

 ベリットの提案にクラックとファリブル先生も納得していた。

「そうですね。今はベリット先生の提案で行きましょう。ベリット先生、これを」

 クラック先生は通信用のアイテムをベリット先生に渡していた。

「サンキューなクラック先生、何かあったら直ぐにこの通信アイテムで連絡する」
「それでは、私とファリブル先生は先に行きますね。行きますわよファリブル先生」

 クラック先生は先に行こうとしたが、ファリブル先生は行く前にレイスに声を掛けていた。

「あぁ、今行く、お前らこんな所で死ぬなよ。特にレイス、お前は剣武術科の誇りを持って戦え」
「はい、分かりましたファリブル先生、俺様頑張ります」

 ファリブル先生とレイスのやり取りを見た、クラック先生もアリスに伝言を伝えていた。

「それなら私も、アリス、いつまでファングの説教をしているんですか、ここからは実践ですよ。貴女の力を見せてあげなさい」
「はい、クラック先生、私、レン君の為に頑張ります」

 クラックとファリブルはそれぞれの教え子にエールを送ると、反対側の車列に向かって、移動していた。

「さて私達も行くぞ、レン、ファング、ここからは実践だ。気を抜くなよ」

 ベリット先生が二人に集中するように声を掛けていた。

「はい、分かりましたベリット先生」
「ちょっと待ってくれよベリット先生。俺はアリスにボコボコにされたんだぞ」

 ファングはアリスに色々されて、訴えていたが目立った外傷が見られなかった。

「お前、傷などないだろう?」
「それは‥‥‥まぁ、半精霊だから、体の修復は早いけど‥‥‥」

 クライブの存在は伏せているので、今のファングが完全な三位一体になっている事は、レン以外知らなかった。

「ファング、偉いよ。ちゃんとやれば三人にご褒美あげるね」

 ファングがちゃんと約束を守っているので、レンはファングに近づいて小さな声で話すと、ファングは目をキラキラさせていた。

「本当かレン、嘘つくなよ。カイトとクライブも急に元気になかったのが分かるぜ」

 レンの言葉を聞いた途端、ファングのお腹付近が活発に波打って喜んでいた。

「はいはい、クライブの言葉を出さない。それと体が波打っているからやめて」
「ごめん、つい嬉しくて、二人もレンのご褒美が貰えるから嬉しいんだよ」
「お前ら、二人で何コソコソ話している、さっさと行くぞ」

 レンとファングが小さな声で話しているので、ベリット先生が声を掛けていた。

「はい、今行きます。バレてないみたいだね」
「そうだな。さっきは悪かったな、お前のご褒美に過剰反応して」

 二人はベリット先生にクライブの事がバレなくてホッとしながら、移動を始めていた。

「ファング、レン君と何を話していたの?」
「俺様も気になります」
「僕もだよ」

 レンとコソコソ話していたので、三人は話の内容が気になっていた。

「別に良いだろう。レンにご褒美をあげると言われただけだよ」

 ファングは余り話したくなかったが、ファングの言葉を聞いてアリスが納得していた。

「なる程ね、クライブの事をちゃんと守っているから、レン君からご褒美あげるって言われたんだ」

 アリスはあえてクライブの部分だけ小さく言って、ベリット先生に聞こえないように話していた。

「そうだよ、悪いか」
「別に良いんじゃない。それでファングが頑張れるのなら、レン君はファングが鍵だと思っているんでしょう?」

 レンがご褒美をあげる事は滅多にないので、何か裏があると思っていた。

「アリス何の事?」
「またレン君のお惚けが始まった! レン君、正直に言って私達、仲間でしょう。レイスとレオス君も見ているわよ」

 また勝手に行動しようとしているので、アリス、レイス、レオスが心配していた。

「はぁ、分かったよ。話すよ。簡単に言えばフォレストを使えば、上にいる奴らを一網打尽出来ると思って」
「レン、それってどう言う意味だ」

 カイトの頭脳が備わっているハズなのに、ハテナを浮かべているので、レンはため息を吐いていた。

「ファング、ちゃんと考えているの? フォレストの分身を使えば簡単でしょう。分身でも吸収すれば、全てフォレストの本体のお腹に転移されるんだから」

 レンが説明すると、ファングは納得していた。

「あっ、その手があったけど、この結界だと、上に這いずれないぜ」

 周囲は厳重に結界が張り巡らされているので、結界が薄い場所を目視で確認したが、簡単には見つからなかった。

「それなんだよね。どこか結界が薄い所はないか調べてくれないかな」
「それは構わないけど、もう少しフォレストの分身を入れて置けばよかったかな? あっちこっち探すとあの細胞を更に細かく分けないと行けないし、能力は変わらないけど、小さくした細胞を人を取り込める大きさまで伸ばさないと行けないから大変だぜ」

 ファングはちょっと後悔している様子だった。

「ファング、説明してくれるのはありがたいけど、ちょっと気持ち悪いわ」
「お前は相変わらず酷いよな。俺が持つ能力を否定して」

 アリスが嫌な表情を見せているので、ファングは若干ショックを受けていた。

「いや、ファングの説明が気持ち悪いだけで、別に否定しないと思うんだけど、とりあえずやれるファング」
「あぁ、任せな。フォレストの分身達よ、結界が薄い場所を見つけて行動しろよ」

 ファングは目を光らせながら、命令信号を発すると、レンの影から次々に小さな黒い細胞が、別の影にジャンプするように移動を開始していた。

「ねぇ、ファング、影じゃなくても移動出来るよね」

 あえて暗闇の所を移動していたので、レンは疑問に思っていた。

「それは極力相手側に見えないようにしているだけだよ。上に行けば、体を自作に化けられるし、見つけるのは至難の業だから見つける事はまず無理だよ。お前以外はな」

 ファングは自慢していたが、レンは不満に思っていた。

 何で僕なら見つけられるの? もしかして僕の声に反応するから?

 レンはファングの考えが何となく絞り込めたので、ため息を吐いていた。

「レン、何でため息を吐いているんだ?」
「別に、とりあえず周囲を警戒しながら行こうか」
「あぁ、そのつもりだぜ。ただ人が全くいないから不気味だな」

 車内を先頭列に向かって移動しているが、レン達以外は誰もいないので、かな不気味な雰囲気が漂っていた。

「ファング、変な事を言わないの」
「全く、ファングはデリカシーがないですね」
「お前ら、俺が注意しろと警告してやっているのにそれはないぜ」

 ファングはガックリしていた。

「なぁレン、アクト達は使えないのか」

 ファングがふとアクト達の事を思い出して、上空から攻撃出来ないか聞いていた。

「確かにアクト達を使えば、簡単に結界は解けるけど、敵を逃がす可能性があるでしょう?」
「確かに言われて見れば、でもレンの頭にはだいたいのシナリオがあるんだろう」

 ファングはレンの事をだいたい理解しているので、何か案があると睨んでいた。

「本当、ファングは鋭いよね、まぁ色々考えてはあるけど‥‥‥」
「そうか、一応案があるんだな。なら使う時は必ず説明しろよな」
「分かったよファング。隠し事はしないだったよね」
「そうだぜレン」

 レンとファングがお互いに確かめ合っていると、ベリット先生が五人の様子を確認して声を掛けていた。

「お前ら、友情は良いけど、もう少し緊張を持て」
「アハハッ、すみません」
「ベリット先生って、案外私達の行動や会話を見たり聞いたりしないのかしら? ファングが既に一手、打ったのに?」

 既にフォレストの分身を行動させているが、ベリット先生には五人の行動や会話の内容すら聞いてない様子だった。

「アリスさん、それは伏せて起きましょう。ファングの為になりますから」
「それもそうね。レン君、頑張ってここから脱出しましょう」
「そうだね、レオス、危険だと感じたらお兄さんに変わりなよ」

 レンはレオスを心配して声を掛けていた。

「うん、分かったよ。レンお兄ちゃん、兄さんも久しぶりに出番がありそうでワクワクしているけど、基本的に出す事ないのにね」

 レオスは兄に対して、冷たい態度を取っていた。

「レオス、それ聞いたらレオスのお兄さんが落ち込むよ。とりあえずみんな頑張ろうか」

 五人とベリット先生は先頭車列に向かって移動していた。しかし奈落の底に落とされる時間は刻々と刻まれ、五人を乗せた魔道列車は確実に廃線に向かって今も突き進んでいるのだった。
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