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第6章
45.属性魔法
しおりを挟むお兄様に見せられた水晶の中心には、白い数字が浮かび上がっていた。
『2100』
それが俺には高い数字なのか、低いものなのか、基準が分からないので反応のしようがない。
水晶から視線を上にあげてお兄様の顔を見たが、若干眉間に皺が出来ているだけで、何を考えているかは分からない。
「ねぇ、お兄様。この2100という数字は高いのかしら?低いのかしら?」
「…平民では500あれば良いほうだ。小さな火を起こし、風で軽い物を少し浮かせることができる。学園に通う若者たちの平均は1200ぐらいだな。ごく僅かだが優秀な者は2000前後ある」
あまり期待をしていなかった魔力が、ユーナには多く秘められていることが分かった。その多すぎる魔力をどう使っていくべきなのか戸惑ってしまうのが本音だ。
「ちなみにお兄様は…?」
「私は1500ぐらいだな。平均よりはあるが、魔術師になる程でもない。私には剣の道が合っているから、魔法は補助に使っている。あとは、この小さい水晶だが属性が分かる物だ。やり方はさっきと同じだ。やってみると良い」
先程と同じようにグイッと小さい水晶をユーナの側へと寄せて、試してみるように促される。
オレンジ程の小振りな水晶は、両手で包み込むことができる大きさでとても軽かった。
ゆっくりと身体中に魔力を満たしていく。さっきのように魔力の流れに呑まれることがないように、少しずつ掌に魔力を集めて水晶に流し込んだ。
その甲斐があってか、眩しいほどの発光は無く、淡い白色の光が灯った。だが、先程とは違い手を離しても光続ける水晶に首を傾げる。
「お兄様?水晶が光続けていますが、何故ですの?」
問いかけるユーナの声が届いてないのか、お兄様の目は水晶を睨み付けて動かない。
「…どうかしたんですの?お兄様」
恐る恐る声をもう一度かけると、ピクリと肩が揺れた。今度は聞こえたようだ。
目を閉じ、何かを考えあぐねいているのか、何も言葉にしないお兄様。
その静かな沈黙の時間が怖く感じられた。そして、ポツリポツリと語りだしたお兄様の口調は重い。
「…属性魔法は『火、水、風、土、無』が一般的に多くの者が持っている。そして、稀に特殊な属性魔法を持つ者がいる。格率で言えば百人に一人いるかどうかといったところだ。その特殊魔法は『光、闇、時空』の三つだ」
「百人に一人ですか…。もし、その一人になってしまったらどうなりますの?」
「将来は魔術師団に入団が約束され、宮廷魔術師になる。宮廷魔術師は国に保護と言う名で管理される。もし、国に危機が迫った時、戦争が起こってしまった時には、騎士団と共に前線に立たねばいけない。それが例え、女だとしても」
優秀な魔術師を手元に置いて、いざと言う時の駒にされるのは正直いただけない。何が嬉しくて魔術師団に入らないといけないのか、俺には理解することが出来なかった。
どうやら顔に出やすいユーナの顔は、また考えていることが顔に書いてあったようで、お兄様は聞きたかったことを説明してくれた。
「特殊魔法を使う者は珍しい。そして、その特殊魔法で得るものは大きい。大金を動かしてでも特殊魔法を得たい者もいる。要するに、特殊魔法を使える人物を“卓越者”と呼ぶんだが、その者たちは常に狙われている。だから、王宮で匿って保護をするんだ」
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