渋々ですが逆ハーエンドを目指します

杜本

文字の大きさ
18 / 19

18.一級フラグ建築士(回収するとは言ってない)

しおりを挟む
 翌日。私は食堂の長机に頬杖をついて、初日からの記憶を振り返る。
 昼休みに浮かれる生徒達のざわめきは、考え事にちょうど良いBGMだ。

「これで候補は四人か……ビックリするぐらい順調ね~」

 まだ二年生が始まって10日ぐらいしか経ってないのに、怒涛どとうの攻略スピードな気がするわ!
 でもゲームの期限が一年間だとすると、五人も攻略しなくちゃいけないなら……これぐらいが普通なのかしら。
 最近はめっきり学園モノをしなくなったから、『普通』を忘れちゃったわねぇ。

「お待たせ~! 何が順調なの?」

 買ったばかりのランチを持って隣の席へと着いたラフィは、早々にパクつきながらもお喋りを始める。
 私も自分のランチ(厚切りサンドイッチ)の攻略を再開した。

「んー、婚活の話よ」

「……あれ、もはや婚活だなんて呼べないと思うんだけど……」

 まぁ正直に言って、結婚は微塵も考えていないものね。
 恋愛すら考えていないわ。

「じゃあ呼び方を変えようかしら。イケメン発掘ゲーム? 男を見る目を養う会?」

「うっわぁー……」

 ラフィが変なものを見る目をしているわ!
 ちょっと安直過ぎたかしら……。

「呼び方はどうでも良いけどさ、ホントにあれでいいわけ?」

「あれって?」

 唐突な話題転換に首をかしげる。

「蹴るわ叩くわ……あぁ、でもセーリオ君とは良い感じだったね」

「セーリオ君は候補者の中でもダントツで良い子だったもの!」

 痴漢はしないし、無視もしないし、デリカシーはアリそうだし!
 今は男連中にモテてる(?)みたいだけど、将来は女の子にもモテモテになるわね~。

「良い子、ね……」

 ラフィは呆れたようにため息をついた。

「シェリーがあんなにニブチンだったなんて……」

「えっ、いつの話? 私、何かスルーした?」

「その返答がもうニブニブだよぉ……」

 私が気付いていないことが何かあるのかしら。
 イベントのフラグポイントは見逃さない方だと思うのだけど……。

「何よ、もったいぶらないで教えてよ」

「……ノーコメント。そのうち本人がちゃんと言うでしょ」

 んも~、言う気が無いなら言い出さないでよね! 気になっちゃうじゃないのっ!

 でもやっぱり何かのフラグっぽいわね。
 仕方ない、イベントが来るのを待つしかないわ……。

 焦れる私とは反対に、ラフィはにんまりと笑顔を浮かべた。

「それで、順調ってことは誰にするか決めたの? 恋の、お・あ・い・て♪」

「嬉しそうなところ悪いけど……今はまだ一人に絞る気は無いのよ」

「ええっ?! 」

「前に言ったでしょ? 色んな人も見ておかないと、って」

「言ってたけどさぁ……」

 納得できないとばかりに、口を尖らせるラフィ。

「恋愛をするのは、少なくとも三年生になってからね。今は男友達を作って交友関係を広げようかな~、ぐらいの感覚よ」

「ええ~、気の長い話だなぁ……」

 乙女ゲーというのは大抵、お付き合い前のアレコレを楽しむものであって、お付き合いはゴール。つまりエンディングなのよ。
 私が目指しているのは逆ハーエンドなんだから、一人に決めちゃったらダメなのよね……。

「急いで失敗するのもイヤじゃない? だから、二年生の間はこれでいいのっ!」

「はいはい……」

 分かっているのかいないのか、ラフィは「ホント奥手なんだから……」とでも言いたげな顔で頷いている。

 これも逆ハーエンドのためなのよ!
 決して、私が恋愛初心者だからじゃないわよっ?!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢に転生したので何もしません

下菊みこと
恋愛
微ざまぁ有りです。微々たるものですが。 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな
恋愛
 転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?  だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!  これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?  私ってモブですよね? さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

処理中です...