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マルゴさんの解体講座 3
しおりを挟む一息ついたマルゴさんと、解体室に移動する。
「さて、今日は何から始める?」
「とりあえず、昨日のハウンドドッグをお返しましょうか?」
「そうだねぇ。それはルベンが来てからにしておこうか」
「では、ホーンラビットから」
解体テーブルにホーンラビットを積むと、解体講座の始まりだ。
「ホーンラビットも魔石は心臓。討伐証明はこの丸い尻尾。素材は角と毛皮と肉だ。
まずは、頭を落として血抜きする。角は太く長い方が高値で売れるからね、途中で折らずに頭の骨ごと取っておきな。 尻尾はこのトレイに置いておく」
今日もライムはバケツの中で待機して、廃棄部位を精力的に処理・吸収してくれている。
「それから腹を裂き魔石を確保したら、内臓を捨てる。 ライムちゃん、頼んだよ? 毛皮を剥ぐのはこの小さめのナイフが使いやすいね。4本の足からも丁寧に剥ぐんだ」
「足の毛皮は歪ですけど、使えますか?」
「尻尾を切ったところや、毛皮を剥ぐときに開いた穴を塞ぐのに使うのさ」
なるほど。 丁寧に剥ぎ取る。
「やっぱり上手だね。 そうして骨から肉をはずして、一丁あがりさ」
「小さい分、楽な気がしますね」
「そうだね。さあ、サクサク進めるよ」
そこから私が2匹、マルゴさんが5匹解体するのに大した時間は掛からなかった。
「ホーンラビットは料理に使ってみたいので、譲れるのは3匹でいいですか?」
「ああ。だが、あと2匹残っているが?」
「あの2匹は少し状態が落ちるので、別枠かな、と」
そう伝えると、マルゴさんは少しだけ考えて、
「【鑑定】。 あまり落ちてはいないようだ。 村にはその2匹をもらえるかい?」
と言った。
「いいんですか…?」
「ああ、これで十分だ。安くしてくれるかい?」
「もちろんです!」
(マルゴはアリスを良くわかってるにゃ~)
…? 品質が落ちていたら、値下げするのは当たり前だよね?
「ちなみに、相場はいくら位ですか?」
「ギルドの買値で1匹1000メレ。店舗持込で1200メレって所だ」
「値段からすると、なかなか美味しい肉みたいですね? 食べるのが楽しみです。 じゃあ、1匹分700メレで、合計1400メレでどうです?」
「…ありがとうよ」
(値引き過ぎにゃ。マルゴが呆れてるにゃー)
(え、マルゴさん、何も言ってないよ?)
(マルゴはアリスに慣れてきたから、何も言わないだけにゃ……)
ハクと話している間に、ホーンラビット2匹の解体が終わっていた。
「毎度ありです♪ 次は…、猪、ワイルドボア、オーク、バンパイアバットのどれにしましょう」
「そうだねぇ。小さいつながりで、バンパイアバットをやっつけちまおうか」
バンパイアバットを全部テーブルの上に出すと、小さくても結構かさばる…。
「血は全部抜いているんだね?」
「増血薬に使いますから」
「ああ、アレか。 薬品になる材料は知っているんだね。 【薬師】としても有望だねぇ」
マルゴさんが感心したように笑った。 頑張ってレベルを上げて期待に応えよう♪
「じゃあ、始めよう。 ナイフは1番小さいのか、その次のを使うといい。
バンパイアバットの魔石も心臓。かなり小さいから見落とさないように。 討伐証明部位は羽が2枚セットで1匹分だ。これは本来の1匹分でなくても構わない。2枚で1匹分になるよ。 素材は血液。鮮度で値段が大きく変わるが、アリスさんのアイテムボックスなら、問題はないね。
あとは全てライムちゃん行きだ。 先に血抜きが済んでいるから、楽なもんだね」
「こんなに小さい魔石でも使い道があるんですね~?」
本当に小さいのに、マルゴさんの手は迷い無く魔石を探り当てる。
「魔石技師の手にかかると、この小さい魔石が固まって大きくなるのさ。限度はあるがね」
「じゃあ、面倒がらずに、きちんと採取しておきます」
「小さい魔石を採るのが面倒なら、実力をつけて大物狙いをすればいいのさ」
「なるほど!」
増血薬用の血液は複製すればいいし、そうしようかな^^
「でも、今は1個も無駄にするんじゃないよ」
「もちろんです!」
あとは2人で黙々とバンパイアバットの解体をした。
倒すときにバラバラにしてしまったせいで、魔石が58個、羽が55対と1枚しかなかった。残念だ。
「じゃあ次は今夜の食材のオークを♪」
「オークも食っちまうのかい? 良い値で売れるよ?」
「数頭分ありますし、ボアばかりでは飽きますから…」
色々な調理法で美味しくいただいているけど、さすがに飽きてきた。
(今夜はオークにゃ? 楽しみにゃ!)
ハクも楽しみにしてくれてるし、
「今夜はオークとホーンラビットにしましょう!」
決定事項として伝えると、
「楽しみだねぇ!」
マルゴさんも嬉しそうに笑った♪
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