女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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幸せな目覚め

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「今日は疲れたろう? ゆっくりと休んでおくれ」

「おやすみなさい」

 マルゴさんにねぎらわれながら部屋に入りおやすみのキスを受けると、急に疲れを実感した。

 思い出してみると、確かに色々なことが重なった1日だったな。 今日は複製を済ませたら、早く眠ろう。


 今夜の複製結果(残り3回分)
 ・マルゴさんにスライスしてもらった、山盛りオーク肉  → 失敗
 ・大皿のおむすび3種…を試す前に、残ったオークカツと焼きオークでおむすびを追加しておく。
  大皿に山盛りいっぱいのおむすび5種  → 大皿ごと複製に成功!
 ・マルゴさんが作ったホーンラビットの煮込み  → 鍋ごと複製に成功!
 ・何かに入っていると複製がまとめてできるようなので、果物で複製を試してみる。
  バスケットにりんごと木苺を山盛りに入れて、複製 → 失敗
  量を減らした、りんごと木苺の入ったバスケット → 失敗
  木苺だけを入れたバスケット → バスケットごと複製成功!

 入れ物に入れていても種類が違うとダメなのかな? 具材の違うおむすびは複製できたのに?  
 今後の課題だな。


「終わったかにゃ?」

「うん、まだまだ複製は分からないことがいっぱいだよ」

「のんびり検証するにゃ!」
「ぷっきゅ!」

「そうだね。 時間はいっぱいあるしね」

 ゆっくりと、効率的な複製の仕方を考えていけばいい。

「今夜は食べ物をいっぱい複製したから、アリスは偉いのにゃ♪」

「褒める所はソコなの!?」

「大切なことにゃ!」
「ぷきゅ!」

 食いしん坊な2匹らしい。微笑ましく思うと同時に思い出してしまった。

「ハクとライムも今日は大活躍だったね! ありがとうね♪」

「んにゃ~ん♪」
「ぷきゃ~♪」

「でも! つまみ食いはダメでしょう?」

「役に立ったのにゃ…」

「それとこれとは別! もうつまみ食いはしちゃダメだよ?」

 不服そうな顔をしているけど、しっかりと目を見据えて繰り返す。 しつけはその日の内に!

「つまみ食いはしちゃダメ!」

「わかったにゃ~」
「ぷきゅ…」

「よし!良い子だね! 今夜はもう寝よう。 明日はマルゴさんがパンを焼いてくれるんだよ。楽しみだね♪」

「楽しみにゃ~♪」
「ぷきゃ~♪」

 2匹を抱えておやすみのキスをしながらクリーンを掛ける。

「おやすみ!」
「おやすみにゃ!」
「ぷっきゅ!」

 明日も楽しい1日になりますように!










 パンの焼けるやさしい香りで目が覚めると、ハクとライムがすでに起きていて鼻をひくひくさせていた。

「今日も1日、幸せな予感がする~♪」

 パンの焼ける香りは幸せの香りだ。

「幸せにゃ~♪」
「ぷっきゅ~♪」

 しばらくの間、ベッドの上で幸せの香りを堪能した。

「おはよう!」
「おはようにゃ!」
「ぷきゅ♪」

 香りだけでは我慢が出来なくなって、幸せの素を求めて動き始める。

 寝覚めのクリーンを掛けながら手櫛で髪を整えた。 ブラシなんて贅沢は言わないから櫛が欲しいな。

「おはようございます! とってもいい香りですね♪」

「ああ、おはよう。 良く眠れたかい?」

「はい、ぐっすり! でも、マルゴさんはあまり寝ていないんじゃあ…?」

「年寄りは朝が早いんだよ。十分に眠ったさ」

 マルゴさんは「寝た」と言っているが、パンの仕込みの時間を考えたらあまり寝ていないと思う……。

「おいしい香りで目覚められて、とっても幸せでした♪」

「アリスさんの幸せは安上がりだねぇ」

 遠まわしに感謝を伝えると、マルゴさんは嬉しそうに笑ってくれた。 伝わったかな?

「焼き立ての内に、アイテムボックスに入れるかい?」

「是非! 数はきっちりと数えておくので!」

 マルゴさんの提案に甘えて、インベントリから出したバスケットに暖かいパンを移していく。この状態で複製ができたら、マルゴさんの美味しいパンがいつでも焼き立ての状態で食べ放題だ!

「家庭に、1度に28個もパンが焼けるオーブンがあるのは普通ですか?」

「ウチは亭主が大食らいだからね。このくらい焼かないと追いつかないのさ」

「旦那さまは幸せですね~!」

「そうかい? そうだと嬉しいねぇ」

 照れくさそうに笑うマルゴさんが可愛かった♪  

大食らいの旦那さまのお陰で、いっぱいパンを焼いてもらえた私たちはラッキーだな♪

「じゃあ、私の方もおむすびを…。 冷凍するんですよね? どこに出しましょう。 お借りしていたお皿に出しますか?」

 昨夜オークカツを乗せてそのまま収納してしまったお皿を4枚取り出す。もちろんちゃんとクリーン済み。

「いや、こっちのトレイに貰おうかね」

「はい、では28個選んでくださいね~! こっちから生姜焼きむすび、煮ボアむすび、焼き魚むすび、オークカツむすび、オーク焼きむすびです」

「どれを選んでも豪華なおむすびだよ。 半分の14個にしておいた方が良いんじゃないか?」

「どうしてです?」

「ただのパン1個と、この豪華な具のおむすび1個じゃあ、釣り合わないだろう」

 マルゴさんは肩をすくめたが、マルゴさんの焼き立てパンが“ただのパン”な訳がない。

「マルゴさんのおいしいパンに合わせてむすびました。 おむすびを“倍に”というなら納得しますが、“半分に”なんて聞けませんよ?」

 複製でズルをしたものだから、遠慮なく受け取ってください。 にっこりと笑顔で押し切る。

「…28個貰おうかね。 全種類を5つずつとオークカツむすびと…。迷っちまうねぇ♪」

 自分が作ったおむすびを楽しそうに選んでくれると嬉しくなる。 どこかでお店を開くのも楽しいかもしれないなぁ。

「生姜焼きむすびと煮ボアむすびを貰おうか!」

「はい! ありがとうございます♪」

「ああ、こっちもありがとうよ!」

 嬉しそうなハクとライムも一緒に、にっこりと笑顔を交し合った。 いい取引でした♪

「朝ごはんにしましょうか! おいしそうなパンの香りでお腹が空きました♪」

「にゃん!(ごはんにゃ!)」
「ぷきゃ~!」

 インベントリから炒飯をフライパンごと取り出してマルゴさんに渡す。 果物はいっぱい複製できた木苺を出すとして、スープの代わりは……。

 昨夜のホーンラビットの煮込みを出そうかな。複製しておいて本当に良かった。

「食器、使いま~す」

 お皿に木苺を、深皿に煮込みをよそって席に着こうとした時に、ドアがノックされた。

 ……食事の前の来客比率、高くないかな?
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