女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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<鴉> お披露目

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「切り口から雑菌が入らないように、この部屋を世界で一番清潔な場所にしています」

 自分たちに【クリーン】を掛けてから解体室に入り、解体室にも【クリーン】を掛けていると、みんなが不思議そうな表情かおをしていたので、簡単に説明をする。

「“感染症”の予防だね? ここまで徹底して【クリーン】を掛けないといけないのかい?」

「この解体室はマルゴさんがとても清潔に保っていますが、菌は目に見えない上に空気の中にも潜んでいますから。 徹底的に殺菌して、殺菌しすぎということはないんです」

 もう一度自分たちに【クリーン】を掛け、【鑑定】で『菌を確認できない、清潔な部屋』と出たのを確認してから、治療の説明をする。

「ルベンさんとルシィさんは、血を見ても大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」
「大丈夫よ」

 マルゴさんは聞くに及ばず。

「では、ルシアンさんは治療する方の足を作業台からはみ出させるようにして横になってください。両足が揃っているイメージを固めて」

 ルシアンさんは少し緊張をしているようだが、それでも笑顔を浮かべて頷いた。

「ルシィさんはこれを」

 クリーン済みのポーションを1本渡して、

「足を切り落とした直後に切断面に掛けてください。です。治療ではなく止血が目的です」

「わかったわ」

 ルシィさんは慎重にポーションの蓋をあけて、大事そうに両手で包み込んだ。

「ルベンさんはルシアンさんが痛みに暴れないように、押さえ込んであげてください。ロープで縛り付けてもいいんですが…」

「いい。俺がやる」

「はい、お任せします」

 ルベンさんはルシアンさんの胸の中央と健康な方の足の付け根に手を添えた。

「マルゴさんには血にまみれてもらいます」

「いつものことだね」

「はい。 マルゴさんは、ルシアンさんの足を作業台から出ている状態でキープして、私が膝上を切り落としたら、断面を上に向けるように持ち上げてください。
 これは出血を抑える為と、ルシィさんがポーションを使いやすくする為です。力仕事になりますが…」

「ああ、任せておきな」

 マルゴさんは気負うことなく、自然体で頷いた。

 インベントリから薪用の枝を出し、手ぬぐいで包んでクリーンを掛けてからルシアンさんに渡す。

「口にくわえてください。声を抑えるのではなく、歯を保護する為です」

「これも2度目だな」

「自分で足の処置をした時にも?」

「ああ」

「じゃあ、ベテランですね^^」

 笑って見せるとみんなも笑顔を見せた。こわばってはいたが、みんなが笑顔を見せる余裕があることに安心した。

(部屋に【遮音】の魔法を使うにゃ?)

(ハク、そんな魔法も持ってるの?)

(使うにゃ?)

(うん、お願い)

 スキル【世界の理】は利便性が高いなぁ…。 ハクがその気になって、出来ないことってあるのかな……?

「ルシアンさん、この部屋に【遮音】の魔法を使いますので、思いっきり痛がって、悲鳴なり怒声なりを上げても大丈夫ですよ」

 そう伝えると部屋に沈黙が落ちた。

 え? 私たちには声が聞こえないと指示出しに困る。 ハクに確認をしようと振り返ると、

「どこまで……」

 マルゴさんの呆れたような声と、ルベンさんの溜息が聞こえた。 遮音魔法の不都合ではなかったらしい。

 最後にインベントリから<鴉>を取り出す。

 クリーンを掛けてから周りを見回すと、視線が<鴉>に集まっていた。 

「直前まで、隠しておきましょうか?」

 決心が鈍ってしまったかと不安に思ったら、複数の溜息が聞こえる。

「こうやって見ると、本当に綺麗だねぇ…」

「ああ、ハウンドドッグ退治の時も美しいと思ったが…」

 2度目ましての大人組は声を出す余裕があったが、初めましての子供組はただただ見惚れていた。

(ビジュー! <鴉>が褒められてるよーっ!)

 嬉しくて、内心大声でビジューに報告した。

 落ち着いた頃合で声を掛けてみる。

「ルシアンさ~ん、両足は自由に動いていますか?」

「あ? ああっ、ちょっと待ってくれ。 魂を抜かれてた…」

「<鴉>は大切な人がくれた自慢の武器なんです! 見惚れてくれてありがとう♪」

 いくらでも待つから、ゆっくりとイメージを立て直してね~♪

 鴉が褒められると、ビジューが褒められたようで嬉しくて、私はご機嫌でルシアンさんの準備が整うのを待った。
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