女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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目覚ましは従魔の笑い声



「ふあぁ~」
「ふぁあ~」

 マルタに釣られて、私の口からも噛み殺しきれない欠伸がこぼれ落ちた。 ……眠い。

「ああ、おまえ達は昨夜一睡もしていなかったな」
「俺も眠い、ギルドの宿を取るか?」

 ベッドのある宿での宿泊は嬉しいが、私はもう、移動する時間も惜しい。

「アイテムボックスの預かり品については、明日10時頃に裁判所前で待ち合わせしましょう。 私はここで寝ていきます」

 首領の隠れ家は、置いている物を片っ端からインベントリに回収したから寝るスペースは十分にある。 屋根もあるし、ここで十分だ。 部屋にクリーンをかけて寝る準備を始めると、マルタも隣で寝る準備を始めた。 

「あたしもここで寝るわ」

 マルタの目も半分閉じている状態だ。

 男性陣は顔を見合わせていたが、1つ頷くと、荷物を広げて寝床の準備を始めた。

「…?」

 不思議に思っていると、苦笑が返ってきた。

「俺たちがアリスの護衛だって、覚えているか?  今からは俺とエミルが起きているから、安心して眠れ」

 ! ああ、そうだ。 みんなは護衛だったんだ。 うっかりしていた。 じゃあ、遠慮なく、お付き合いしてもらおうかな。

 敷物に上がり自分たちにクリーンを掛けると、羨ましそうな視線が飛んできた。

「クリーンでさっぱりしたい人、挙手~」

 声を掛けると上がる手が4本。 マルタは寝袋の中から手を出している^^

 順番にクリーンをかけて2匹とおやすみのキスを交わしたら、もう目を開けていられなくなった。

 明日は9時に裁判所。 この場所から30分ほどの距離だから、8時頃には起きていたいなぁ……。

 







 密やかだが耳に残る、複数の笑い声で目が覚めた。

 首元にハクのふわふわの感触。 しっぽを私の首の上でパタパタしている。 

 頭の下にはライムのぷにぷにボディ。 でも、いつもより少し薄いかな?

「ああ、起きたか。そろそろ8時だぞ」

 すぐ側で男性の笑いを含んだ声!?

 跳ね起きると、ハクとライムの笑い声が響いた。

(おはようにゃ♪)
(おはよう、ありす! ありすがさいご~)

 ああ、そうか。 昨夜は護衛のみんなと一緒に寝たんだった…。

「ん。おはよう。 ……なに食べてるの?」

(オムレツにゃ~♪)
(ちゅろす~♪)

 私が寝ている間に餌付けされていたらしい。  枕になったまま食事ができるライムは器用だ……。

「おはようございます。 うちの仔がお世話になって…」

 朝の挨拶とお礼を告げると、ハクはアルバロに、ライムはエミルにと、自分たちに特に甘い人の所へ行ってしまった。

 ちゃっかりしている2匹に笑いがこぼれる。 

 私が起きるまで側にいてくれたのは、やっぱり“護って”くれていたんだろうな。 頼りになる可愛い仔たちだっ♪

 元気にもぐもぐしている2匹を眺めながら、目覚めのクリーンを自分に掛けているとマルタが飛びついて来た。

「おはよう、アリス! 私の寝袋の毛皮がふわっふわになっていたのは、アリスの【クリーン】のおかげよねっ?」

 昨夜はマルタが寝袋に入った状態でクリーンをかけたから、寝袋ごと綺麗になっていたようだ。【クリーン】が寝袋を着衣だと認識したのかな?  自分が掛けた魔法だけど、よくわからない…。

「マルタ、それは本当か!?」

 イザックの確認に、マルタはアイテムボックスから寝袋を取り出した。 イザックが寝袋の中の毛皮を触り、驚愕の顔になると満足したように頷いて、

「ふわっふわでしょう!?」

 自慢げに言う。

「ああ、ふわっふわだ! 通常の【クリーン】は汚れを落とすだけで、ここまでの手触りにはならないはずだが…」

「そうよね? ふふっ、得しちゃったぁ♪」

 マルタが嬉しげに寝袋をしまっても、イザックは羨ましそうにマルタを見たままだ。

「イザック。 寝具を出したら、クリーンを掛けますよ」

 羨ましがるイザックがあまりにも幼げな表情だったので笑いながら提案すると、目の前に3組の寝具が置かれた。

 従魔たちを構いながらも、しっかりと聞いていたらしい。 クリーンを掛けるとそれぞれに感触を堪能し歓声を上げながら転がっている。 子供みたいに楽しそうな3人と2匹を、マルタと2人で姉のような気持ちで見守った。

 私とマルタの視線に気が付いて我に返った3人は、何事も無かったように寝具を片付けながら、部屋の隅に置かれた薪を指差す。 

「昨夜の分の薪だ」

 ああ、野営の際は全員で出し合うんだっけ…?

「皆さんは護衛の依頼を受けた側なんだから、薪代は私の受け持ちなのでは?」

「依頼を出したのは裁判官であって、アリスじゃねぇからな。 受け取っておけ」

 どうしようかと迷ったが、みんなも頷いているのでありがたくもらっておくことにした。 インベントリにしまうと満足したように笑っているので、これで合っていたらしい。









「じゃあ、今日も1日付き合ってくれるんですか?」

 落ち着いたら、マルタが朝ごはんを出してくれた。 近くの食堂で買って来たパンとスープを、この家のかまどで温め直してくれたものだ。

 ハードなベーコン・エピは顎がだるくなってしまったが、おかずが無くても十分に満足な美味しさだった。

「ああ、裁判官の依頼は“この1件が終わるまで”だったからな」
「きっちりと護衛はするが、アリスの邪魔にはならないから安心するといい」
「チュロスとオムレツの店には、手が空いた時間に行くことを伝えているから、安心してくれ。 焼き立てが買えるぞ!」

 朝から連絡をしにお店まで行ってくれたのか…。 そのお土産が、ハクとライムの“お目ざ”になったらしい。

「ありがとうございます! 楽しみです♪」

 頼りになる護衛たちと食事を楽しみながら今日の予定の確認をしていると、時間があっと言う間に過ぎてしまい、私たちは急いで裁判所まで走った。
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