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スキルの水晶は売り物になりません
しおりを挟む「アリスさんはお店を開くの? 契約してくれたら毎日配達するわよ?」
フェルナン君一押し個体の搾りたてミルクの味に感動して、50ℓの予定を60ℓに増やしバターも追加で購入すると、フェルナン君のお母さんが契約を勧めてくれた。
素直に「おいしいから減りが早いだけ。店は開かない」と答えると、嬉しそうだけど残念そうに笑いながら、
「残念だわ。とっても美味しいのに…」
と呟いていたので、マルタに持って行ってもらったシチューは気に入ってくれたようだ。
「なんだよ、母さん。何が美味いんだ?」
「うちのミルクを使ったスープ。 フェルナンがミルク缶を買うのを手伝ったお礼にってもらったの」
「母さん1人で食っちまったのか!?」
フェルナン君が悲しそうな顔になったので、「今日のお昼に食べた残りだけど、寸胴鍋にたっぷりと残っていたから大丈夫だよ~」と思いながら頭を撫でてあげる。
「ちゃんとみんなの分も残してるわよ~。 お鍋にいっぱい貰ったもの!」
「ほんとか!? ねえちゃん、サンキューな! ねえちゃんの作るものは美味いから楽しみだ!」
一瞬だけ悲しそうな顔になったフェルナン君だったけど、鍋にいっぱいあると聞いてすぐに元気を取り戻した。
お鍋を返してもらって帰ろうとすると、満面の笑みで、
「一緒に食おうぜ! 母さんの飯も美味いんだぞ!」
と誘ってくれたけど、明日の試食会の準備のために残念だけど断った。
牧場のごはん、食べてみたかったなぁ……。
「ダビが持っていた現金とギルドの預金に持ち物の売上金を足して2,550,283メレ。これはアリスの物だな」
アルバロの言葉に頷いて落札額リストとお金を受け取る。 思ってたより高額になった。
「盗賊たちの持ち物は、各アジトにあったものとこの家にあった物を全て合わせても4,738,700メレか。 まあ、金目の物は先に俺たちが分けちまったからこんなもんだろう。 これを頭割り」
「今回は5人で!」
「……わかった。これを5人で割ると、947,740メレだ。 悪かねぇな」
「ああ。他の盗賊討伐と比べるとかなり実入りがいい」
先に分けておいた現金や宝石にこれから受け取る家の代金などを合わせると結構な額になるから、みんなホクホク顔だ。
「取調べが終わった盗賊たちの、アイテムボックスの中身とスキルの水晶はどうする?」
そこに盗賊たちのスキルの水晶と内訳のリストを出すと、みんなは歓声を上げて品定めを始めた。
「身体能力向上のレベルが4もあるぞ!」
「物理耐性2かぁ。持っていると安心よね」
「剣術1か。 足しにはなるか?」
「アイテムボックスの容量が増えるな」
……いらないものを明日のオークションにかければいいかな?と思っていたんだけど、この分だと全て自分たちで使いそうだ。
「アリスは? この中で欲しいものは何?」
マルタに聞かれて改めてリストを見てみる。
「物理耐性と魔法耐性、後はアイテムボックスかなぁ」
ハクが「今持っているものと同じものは必要ない」と言ったから、他はいらない。
幸い【物理耐性2】は2つあったし【魔法耐性1】は欲しがる人がいなかったので私が受け取ることができた。 アイテムボックスを欲しがることを意外がられたが「料理の仕込み用に、時間経過のある低レベルのアイテムボックスが欲しい」と告げると納得してくれた。
納得してくれたけど、
「持っているものと同種のスキルは、レベルの高い方に吸収されるだけよ?」
と笑われた。 「一度試してみればいい」と言って渡してくれたから、問題はないけど。 ……インベントリとアイテムボックスだから、両方使えるよね?
保護者に聞いてみたけど答えてくれなかったので、お試ししてみるしかない。
護衛組は楽しそうに騒いでいるので、「明日の段取りを考えたいから1人になりたい」と伝えて2階に上がった。 今夜はしなくてはいけないことが多すぎる。
「【鑑定】」
名前 :アリス
年齢 :16
職業 :旅人 → 商人 New
レベル:12 → 13
HP :1,140 → 1,280
MP :3,200 → 3,400
攻撃力:145
防御力:490
従魔 :ハク(神獣・守護獣)
ライム(リッチスライム)
称号 :女神ビジューの加護を受けし者 女神ビジューの友人
神獣の主 異世界からの転移者
所持金:51,247,641メレ
スキル
身体能力向上 レベル4
物理耐性 レベル2 New
魔法耐性 レベル1 New
剣術 レベル4
魔力操作 レベル4
魔力感知 レベル5
鑑定 レベル5
隠蔽 レベル2 New
料理 レベル4 → 5
回復 レベル5 (リカバー)
薬師 レベル4 (診断)
クリーン レベル4 → 5
ドライ レベル2 → 3
ウインドカッター レベル2
特殊スキル
インベントリ レベルなし。容量無限。時間経過なし
リスト機能・ソート機能あり
マップ レベル4
複製 レベル3 8/8
隠蔽も耐性もちゃんと取得できているし、よく使うスキルはレベルが上がっている。 思ってたよりもお金持ちになっていてちょっとびっくりだけど、まだまだ足りないものがいっぱいなので油断はできない。
「なかなかの上がり具合にゃ~♪ この調子で頑張るにゃ!
……料理スキルと鑑定のリンクはまだだったにゃ?」
「そういえばしてないかも…?」
ハクに言われて早速リンクさせてみると【レシピ作成】スキルが発生した。
名前:レシピ作成
備考:見たものが食材かどうかがわかる
:食材をみると、何となく使い方がわかる
:作りたい料理のレシピが何となくわかる
「なんか、“何となくわかる”ってふんわりしたスキルになってるね…」
「料理のレベルが上がったら、もっと使いやすくなるにゃ」
まあ、何となくでも使い方が分かればいいかな。
後は【隠蔽】だけど……。下手に何でも隠すと人前でスキルを使うときに面倒だし、隠蔽の掛け直しをするのに時間がかかってもいけないから【称号】と従魔たちの【種族】だけを隠すことにした。
「それを使って複製をするのにゃ?」
今日買った帆布を敷いているのを見て、ハクが嬉しそうな顔になる。
「うん。これだといっぱい包めるから、いっぱい複製できるかな?って思って」
帆布の真ん中でインベントリのリストを開いていると、足元と肩に衝撃を感じた。
「偉いにゃ! いっぱい食べても大丈夫になるにゃ?」
「おいしいものいっぱい~!」
2匹の中では食べ物の複製をすることが決まっていて、“ご褒美のぺろぺろ&もふもふ”を受けてしまったからには、期待に応えるしかない。
今日はミルクを中心とした食材ばかりを複製することになった。
明日の試食会の準備もあるし、ちょうどいいよね!
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