女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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いわゆる“事後処理”? 2

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「我が領の兵を愚弄し、伯爵家の足元を見るか……っ」

 レイナルドは握りしめたこぶしを震わせ、私を射殺そうとでもするかのように鋭い眼光で睨みつけながら、低くかすれた声で私をなじった。

 訳が分からないなりに自分の言動を思い出してみるけど、領兵を馬鹿にしたり伯爵家の弱みに付け込んだ覚えはない。

 思い当たるのは、法廷兵さんたちの誇り高さに感心したことと、領兵の身代金の……。 ああ、そうか!

 私としては領兵にあてこすった訳ではないし、足元を見て身代金の値上げをした訳でもないけど、レイナルドからはそう見えたのか…。

(卑屈なのにゃ!)

 ハクは一言で切り捨ててしまったけど、私は態度に困ってしまった。

 余計な恨みを買うのは遠慮したいけど、あの5人の領兵を庇う理由もなければ身代金を値下げをする理由もない。 殺されかけた私たちとしては正当な金額だと思うからね。

 どうしようもなくてただレイナルドを見つめていると、マルタに腕を引かれて後ろに下げられた。

「ああいう男には、女が何を言っても無駄。 初めから女を見下してるからね」

 と言いながら、マルタは傍聴席の領軍の様子を見張ってくれているエミルの後ろに私を隠す。

「レイナルド殿。 己の言動を振り返りなさい」

 モレーノ裁判官が感情の篭らない声で言っているのが聞こえる。 振り向いてみると両ギルドマスターもレイナルドに対しているので、後は分別のある大人組に任せることにした。

 することもないので領兵の様子を窺ってみると、レイナルドと同様に私を憎々しげに睨んでいる人、法廷兵に囲まれて居心地の悪そうな人、じっと静かに成り行きを見つめている人と、みんなそれぞれだった。

 <領兵>としてひと括りにして見ていたことを少しだけ反省する。 感情に流されて“領兵=嫌い”になっていた。 視野が狭まると損をするぞ!と自分を戒めている間にレイナルドが落ち着いたらしい。

 モレーノ裁判官に名前を呼ばれて近づいてみると、領兵5名の身代金は2億メレで話が付いていた。

 死刑の執行が1週間延期されて、その間にレイナルドが領地に戻り裁判所宛に入金をする。 入金が確認できたら領兵は解放するが、入金が確認できなかったら死刑を執行した上で契約不履行を行った伯爵家の恥として世間に認知されることになるらしい。

 一緒に話を聞いていたアルバロとイザックも私たちに向かって頷いているので、何の問題もないだろう。 マルタもエミルも納得しているようだから、これで話は終了だ。

 私たちには目も合わせずに法廷から慌しく出て行くレイナルドと領兵たちを、なんとな~く見送った。











「モレーノさま! この度の迅速なご連絡に感謝いたします」

 宰相の言葉をきっかけに法廷兵さん達も退廷して行き、法廷にはほとんど身内感覚の人たちだけが残っている。

「今回の話の補足を少ししましょうか」

 とモレーノ裁判官が言ってくれたので、私は飲み物を用意することにした。

 あ~、なんだかすっごく疲れた……。 甘いもの…、さっぱりとした甘いものが飲みたいな~。

 インベントリのリストを眺めていると、蜂蜜とレモンが目に付いた。 よし、蜂蜜レモン水にしよう!

 水差し2つに直接作るとして、氷は…。

 買い取った氷を直接使うことに何となく抵抗を覚え、【アイスボール】を取得することにした。 

 インベントリからアイスボールの魔石を取り出した私をマルタが不思議そうに見ているが、説明は後だ。 さっさと吸収して自分に【クリーン】を掛けなおしたら、初めての【アイスボール】を手の平に出現させる。 エックハルトさんが見本を見せてくれていたからできた事だな。 外で試し撃ちをする手間が省けた♪

 アイスピックで手の平の上の氷を砕いてから、欠片を口に入れてみる。  どんなに不味くても、自分で作ったものだから諦めは付くハズ…!

 結構な覚悟を持って口にいれた氷はほのかに甘みがあり、カキ氷にするとそのままシロップなしでも楽しめそうだ。

(アリス! 僕も味見にゃ!)
(ぼくもたべる~!)

 食いしん坊の2匹にはただの氷は物足りないかもなぁ…と思いながら氷を分けてあげると、

(冷たくておいしいにゃ♪)
(ありすがおいしい!)

 2匹とも無邪気に喜んでくれたので少しだけ驚いた。  2匹の為に出しておいた練乳と蜂蜜をこっそりとインベントリにしまう。

(ありすもっとたべる~)

 “アイス”が言えなくて私の名前を呼んでいるライムも可愛いな~♪と思っていると、ハクまでが、

(アリスはおいしいにゃ! クリーンもいいけど、アイスは最高にゃ~♪)

 と言い出したので不思議に思って聞いてみると、私の作った氷は私の魔力の塊だから、従魔である2人にはとてもおいしく感じられるらしい。 従魔の生態って不思議だなぁ……。

 それにしても、アイス(氷)とアイス(クリーム)の呼び分けをきちんとしないとややこしいな!  次からは<氷>で統一してもらおう。









 魔法で出した氷がおいしいことに安心して蜂蜜レモン水をたっぷり作って振り返ると、待っていたとばかりに法廷の真ん中にいつものように敷物と天板がセットされていた。

 初めて参加のティト裁判官だけが不思議そうな顔をしているが、面倒見のいいマルタが説明をしてくれているから大丈夫だろう。 みんなにクリーンを掛けてから水差しを天板の上に置くと、イザックがそれぞれが出したコップやグラスに蜂蜜レモン水を注いでくれる。 砕いた氷もお鍋に入れて渡すとエミルがグラスに入れてくれて、薄い琥珀色の中に浮かぶ氷がとても涼しげな演出をしてくれた。

「皆さん、本当にありがとう! お疲れ様でした!」

 グラスを掲げながらお礼を言うと、みんなも笑ってグラスやコップを掲げ、一斉に口をつける。

「美味しい!」
「甘いのに飲みやすい!」
「聖女さまのお作りになる物はやはり天界の物なのか…?」
「こんなに冷たくて甘い飲み物が…」

 急いで作った蜂蜜レモン水は、蜂蜜の甘さが疲れを癒しレモンがすっきりとした後味にしてくれるなかなかのいい味に仕上がっていた。 

 満足のため息をつくと同時に水差しに残っている分の争奪戦が始まったので、急いで追加を寸胴鍋に作ることになってしまったけど、これも嬉しい悲鳴ってやつかな?

 時間稼ぎに出しておいた珈琲ゼリーもあっという間になくなりそうで慌てていると、モレーノ裁判官とエミルが近づいて来た。

 エミルは鍋をかき回すのを代わってくれながら、

「後は放っておけ」

 と言い、モレーノ裁判官が、

「話がすんだらアイスをいただきたいですね」

 とおねだりするのを笑って見ている。

 そうだった。 今回の話で良い結果が出たらアイスのおかわりをって、おねだりされていたんだった! 

 冷たいものばかり出しているとお腹が壊れないか心配だったので、エミルが仕上げてくれた蜂蜜レモン水はそのままインベントリにしまい込み、代わりに温かいカモミールティーを出すことにする。

 みんなに少しだけ拗ねた目で見られてしまったことは、まあ、想定内、かな^^
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